CRAZY GAME 1

たぶん滞ってる企画みたいなののやつ📕
供養その2
台本として使っても🆗だけど、ゲームシナリオ向きに書いてます。

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“EMERGENCY“  “EMERGENCY“

画面いっぱいに現れた真っ赤な羅列は、一つの終わりを意味していた。

??
「呆気ないデスね…栄華を誇った都も、圧倒的暴力の前では、無力というコトですカ」

辺りに漂う紫の霧の中、床に転がる死体を踏みつける男は愉快そうに笑みをこぼす。

??
「これデ、残すトコロはメインディッシュのみ…フフフ…!今度こソ、素晴らしい舞台となる事ヲ祈って…(指を鳴らす)さぁ、新たなゲームの幕開けでス」




21XX年
東京都 某所 防衛省本部━━━━

国の安全、平和を守る機関はその日、これまでに無いほど慌ただしさを増していた。
険しい表情をしたスーツ姿の女性が、一台の高級車から降り立つ初老の男性に向かって走り寄る。

秘書
「城山防衛大臣!!」
頭を下げようとする彼女を手で制して、
城山
「挨拶はいい、状況は?」
城山は慌ただしさの中へと足早に飛び込んでいった。

秘書
「それが…説明した通り、ほとんど何もわからない状態で…あのメール以外、何も」

城山
「Wannihilation…だったか。いたずらにしてはあまりにも…」

既に深く刻まれた眉間の皺を濃くする。

城山
「それで…送られて来た国…アメリカとは、通信出来たのか?」

秘書
「いえ…どの回線もまったく繋がる気配がなく…個人の物も…」

城山
「ばかな…本当に、全滅したとでも言うのか!?」

Wannihilation…全滅…聴き慣れないその言葉は、その日いきなり、アメリカの国防総省から防衛省のあるメールアドレスにタイトルとして送られて来た。
悪戯で送られたとしても、国の中枢がハッキングされる事などあってはならない。
だからこそ確認しようとしたのだが…。

秘書
「…何が、起こっていると言うのでしょうか…」

言い知れぬ不安に襲われ、秘書は不安気に城山を見つめる。

城山
「…私達にできる事は、一刻も早く状況を確認する事だ。伝手でもなんでも使える物は使え!アメリカ在住の知人のいる者や、念の為、アメリカ以外の国にも連絡を!」

秘書
「は、はい!」





慌てふためく人々を、ソレは見ていた。

道化師のような笑みを浮かべ、楽しそうに嗤っている。

??
「私が撒いたタネは、上手く機能しているみタイですネ。いいことです!危機感を抱いてクダさい!!もっと!もっト!!」

さながらオーケストラを奏でるように、大仰に手を振り上げる。

グレイソール
「ワタしは、グレイソール・ブランシスト!素晴らしいゲームを生み出すこの国…日本で!たのシイ楽しいゲームを行えるこの日を…!ずっと待ってイマシた!…さぁ…今夜、タネを撒きまショウ。素晴らしいショーの前準備を…うフフフフフ…」

不気味な笑い声をあげながらグレイソールは空に溶け、辺りにはただただ静寂だけが残った。




東京都 某所


ピピピピっ ピピピピっ ←アラーム音
カチッ←止める音

「…ん……ふあああっ……あー……なんか…、めっちゃ変な夢見たなあ…」

ボサボサの髪をわしゃわしゃと掻いて、眠たそうに目を擦りながら少年はぶつぶつと呟いた。
時刻は6時半、登校時間にはまだまだ早い時間帯だ。

「もっかい寝直し…っても、あんな夢見た後だし…ちょっとなあ…」

なぜか酷く鮮明に思い出せる夢の内容に首を傾げながらテレビをつける。
画面の向こうからは、酷く…覚えのある話をするキャスターの声が聴こえてきた。

『夢の中に“グレイソール”なる人物が出てきて言うんですよ。ゲームを本格的に開催する前に、今夜、ちょっとしたチュートリアルを始めますって。私だけならただの夢だと一笑に伏す事も出来たのでしょうが…なんとこの夢、全国で見た!と言う人が相次いでるんですよ!』

まるで物語の中の話みたいだなあと思いながら、少年は顔を洗いに洗面台へ向かった。

冷たい水を顔にかけながら、今日の予定を思い出す。

(そういえば今日、勝行がサイレントエリスをしに来るんだったっけ)

サイレントエリス…それは約10年程前に流行ったロールプレイングゲーム。
王道ストーリーを軸としながら、当時のゲームにしてはクオリティの高いグラフィックに、戦闘スタイルが特に高評価を受けたゲームだ。
キャラ設定も良く、特にヒロインについては未だにコアなファンがいるくらいの人気作。

「…結構古いゲームだけど、リメイクやらアーカイブやら、色々出してくれるからありがたいよなぁ」

独り言を呟きながら買い置きの食パンを焼く。
焼いてる間に制服に着替えて、昼ごはんの菓子パンを鞄に入れたら、パンの焼ける音と匂いが漂ってきた。

バターを塗ったパンと、冷蔵庫から出した牛乳をコップに注いで手を合わす。
つけっぱなしのテレビからは、先ほどの夢についての議論が交わされていた。

「…ま、夜になったら何かわかるだろうさ」

他人事のように呟いて、ご馳走様と手を合わせた。

その日は暑かった。
湿り気のある風が頬を撫で、肌を伝う汗が不快感を増長させる。

きっと今日は雨が降るのだろう…憂鬱な気持ちで、少年は通学路を辿る。

??
「よっ!潤也!」(背中を叩く)

潤也
「わっ!!か、勝行!?あー、びっくりしたー」

勝行
「ぷっ、相変わらずビビりかよ。はよー」

潤也
「そうだよ!ビビりだよ!わかってんならやるなよ…」

バクバクと音を立てる心臓を抑えながら、2人仲良く歩を進める。

どこからか聴こえてくる蝉の声に、夏の訪れを感じる…。

勝行
「そういや、お前も見たのかよ?あの夢」

夢?と首を傾げながら、そういえば朝のニュースでもやってたな、と思い直した。

潤也
「なんかあちこちに同じ夢を見てる人がいるみたいだよね。ゲームって単語には惹かれるものあるけど」

そんな事を言うと、また背中をバシッと叩かれた。
抗議を込めて相手を見ると、何故か呆れた顔を向けられた。

勝行
「お前、これがかなり異常だってわかってんのかよ?」

以前からあまり深く考えないというか、自分や周囲に実害が無ければ良いじゃないかと思う性格が、こんな所でも発揮されてしまったらしい。

とは言っても、特に何も思わないのだけど…。

潤也
「まぁ…確かに異常だよね。僕ら皆チップを埋め込まれて、何かの電波でも受信してるのかな」

そんな事あるわけないか、と乾いた笑みを浮かべる。
さすがにそんなこと、誰も信じない。

勝行
「あ!そうか、なるほど!て事は…身体検査の時にでもチップを埋め込まれたのか!?」

…前言撤回。
バカはどこにでもいるものだ。



東京都 某所 誠友高等学校


別に、勝行は馬鹿というわけじゃない。

勝行
「おい見ろよコレ!昨日風呂に入った時は…こんなアザ無かったぞ!おい」

ただ素直で、ちょっとした嘘も信じやすいだけだ。

勝行
「…なんだよ、その可哀想なものを見る目は」

潤也
「別に…素直すぎるのも考えものだなって」

勝行
「?お前が何を言いたいのかわからん」

潤也
「わかんなくて良いよ、あ、チップの話は嘘だから」

勝行
「お前覚えてろよ」

他愛無い話をしながら歩いていると、メールの通知音が鳴った。
音からして、学校側から支給された端末の方だ。
慌てて画面を確認すると、タイトルの通知が見えた。

潤也
「…臨時休校のお知らせ…」

勝行
「まじかよ…。少し早めに出た日に限って」

2人揃ってため息を吐きながらよろよろと踵を返す。
少し日差しはマシになった代わりに、空を分厚い雲が覆っている…。

潤也
「こっからだと僕の家のほうが近いし、雨に降られるかもしれないから寄ってけば?…あれ、やるんだろ?」

その提案に、ニヤリと笑みが返された。

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