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それで、結局どんな車両を買えばいいの?

トライアルに興味が出て、自分の方向性もある程度決まって来るといよいよ車両の購入検討に入ります。そこで今の時代、皆さんは恐らくgoogle先生に聞いてみることでしょう「トライアル 自転車 おすすめ」とか。

現代は情報が溢れすぎていて食傷気味になってはいませんか?私は調べものをしていると、多すぎる情報を処理するだけで疲れてしまいます。欲しいモノであれば余計に、高いモノであれば尚更に。トライアル自転車を購入しようとすると、いくつか通販サイトを見つけられると思います。そこで初めて「販売されているトラ車」を見ることになるのですが、聞いたこともないメーカー、思ったよりも高い車両価格、そして全く分からない違い。そこで私なら更に車両紹介をしている動画、ブログなどを調べます。調べて調べて調べまくって、少し分かる事は「どうやらオリオンというトラ車が安いみたいだ」「Amazonでもよくわからないけど安いトラ車が売っている」「この40万もするトラ車って何がそんなに高いのだろう・・・」「このメーカーなんて読むんだろうか」「見たことも聞いたこともないメーカーのパーツが使われているけど、大丈夫なのだろうか」・・・そんな感じになるかもしれません。対象物がぼんやりとしすぎていて、輪郭をハッキリとさせるのは極めて困難だと思います。

偉大な哲学者カントは言いました。人間は経験した事柄でないと想起することができない(アプリオリに対する私の意訳)と。自転車という枠から結構はみ出しているトライアル自転車は、あまりに見たことが無いので想像を膨らますのも難しいと思います。私自身、高校時代にトライアルに興味を持ちましたが、見たことがあるのは雑誌の中かTVだけでした。どこで売っているのかも分かりませんし、乗っている人にも会ったことがありませんでした。なのでトライアルっぽい遊びをしていても、全く的外れな遊び方をしていたのです。当然ですよね、ほとんど情報が無いのですから、自分の知っている遊び方の枠組みの中でしか組み立てる事ができなかったのです。当時はダートジャンプをやっていたので、その派生系でバニーホップで段差に乗る、ホップでバランスを取ってみる。そんな程度でした。車両はダートジャンプ用のハードテイル。クロモリにフロントサスペンションを付けた重たい車両でした。ギア比の事など当然知らず、重たいギアで遊んでいました。

当時に比べればYoutubeなどの動画サイトがありますから、今の方が何となく想像はしやすいかもしれません。ですが近場の自転車屋さんには置いてないので現物は見られません。動画や通販サイトだけで判断するには高額な買い物です。そりゃ、躊躇しますよ。あまりにリスキーな買い物だと思いませんか?

前置きが長いですね。
前回、どうしてもストリートをやりたい!という人以外は、迷わずコンペモデルを買うのがいいと言いました。そこで初心者の方は「入門機はどれだ?」と探すでしょう。日本でのトライアル入門機は長らく「オリオン」という車両が担ってきました。残念ながら今は生産しておらず、新車で手に入れるのは困難です。最後の定価は7万円台。安くて頑丈、機械式ではあるもののディスクブレーキ仕様で低重心。車体重量が割とある事も初心者にとってはバランスが取りやすく人気のトラ車でした。願わくばオリオンの後継者が欲しいところですが、昨今の物価高や円安の影響で10万円以下でトラ車を買うのはほぼ不可能です。恐らく今、日本でトラ車の新車が10万円以下で手に入るお店はありません(オリオンの在庫車があれば別です)。中古は素性が分からない限りは辞めておいた方が良いです。ネットで8万で購入したという車両の修理代が8万かかった事もありました。自転車に相当無理をさせる遊びなので、初心者ほど新車を買った方が良いです。

【購入場所について】

できれば実店舗で購入したいところですが、日本でトライアル自転車を常時取り扱っているお店は非常に少ないのが実情です。私のお店が東京都では唯一のトライアル自転車を常時扱っているお店です。近隣(といっても遠い)ですと石川県のグリーンサイクルさん、神奈川県のまめつぶハウスさん、静岡県のマイロードなかのさん。くらいです。過去に販売した事がある、もしくは頼まれれば仕入れて販売する。という自転車屋さんもあるかとは思いますが、一般的な自転車の納車整備とは随分と勝手が違うので、お店選びは慎重にされた方が良いでしょう。他店様に対して物言いをするつもりは毛頭ございませんが、残念ながら勝手が分からずに(悪気無く)不完全な状態で納車されてしまったケースを何度か見てきました。トラ車は納車整備に物凄く手間がかかるので、一度は売ったものの二度と取り扱わない。というお店さんもあります。私も納車整備は凄い手間がかかるので、常に「トラ車ってなんて面倒なんだ!」と思いつつも完成してしまえばその状態にうっとりします(笑)まあ変態なわけです。

通販の場合はどうでしょう。最大手の通販サイトは日本のトライアル界のパイオニアですから、ノウハウの蓄積は随一ですし組立もしっかりしています。ですが高い買い物なので、できれば今後も付き合えるお店で購入したいという方は多いでしょう。車やバイクの旧車のように、専門店と呼ばれる場所は遠くても行く価値があると思います。ですので、できるだけ専門店やトライアル自転車の知識や経験が豊富なお店で買う事を強くオススメします。

【オススメのメーカー】

迷わず「JITSIE」一択です。「ジットシー」と読みます。(たぶん)
ベルギーにある、オートバイトライアルのパーツなどを作ってる老舗メーカーで、2015年くらいから?(定かではありません)自転車の製造も始めました。

オススメの理由その1:癖の無い乗り味
JITSIEは言い換えれば無難な造りをしており、ジオメトリーも尖った部分がありません。いわば「教習車」。最初にJITSIEから始めれば、上達も早いですし変な癖もつきにくいと考えられます。世界選手権でも多くのライダーが乗っており、世界的にも人気のメーカーです。とあるエリートライダー曰く「意のままに操作できる」車両だそうで、入門用として現状は最高の1台だと思っております。

オススメの理由その2:コストパフォーマンスに優れている
JITSIEのトラ車は通常モデルと「RACE」モデルとに分かれています。ですがRACEモデルは通常モデルとの価格差が倍くらいありますので、入門機としては導入費用がかかりすぎます。通常モデルのvarialというモデルでじゅうぶんです。フレームからタイヤまで自社製品で揃えてあるパッケージなので、JITSIEの完成車を購入すればほぼ交換する部分はありません。そのまま大会に出られる程のスペックなので、練習して上達した後もしっかりと楽しませてくれます。普通のスポーツ自転車でも手抜きしてくるペダルやリム、タイヤといったパーツもすべてRACEモデルと同じモノを使用。国内定価20万オーバーですが買って後悔しないトラ車です。

オススメの理由その3:軽い
完成車で約8kg(varial20 Disk 1010mmモデル)。かなり軽いです。軽さはトライアルに於いてかなり重要な部分。身体への負荷を軽減できます。軽いので操作性も良く、練習もしやすいです。

オススメの理由その4:メーカーが大きい
JITSIEはオートバイトライアル界で既に成功を収めている企業なので、経営面で安心できます。新興メーカーが現れては消えてを繰り返しているトライアル自転車界の中では最も安定しています。パーツの供給やアフターフォローを考えた時、来年には無くなっているかもしれない新興メーカーよりも、実績も安定もあるJITSIEの方が売る側も買う側も安心できるのです。

以上の理由から、コンペモデルで悩んだらJITSIEを購入すれば間違いないです。今後、新しいメーカーが出て来てその座を譲る日が来るかもしれませんが、今の所は入門機としてJITSIEを超える価格・品質・安心感、発展性が揃っているメーカーはありません。18インチ、20インチ、24インチ、26インチとサイズ展開も豊富ですので、これからトライアルを始めたいお子さんにも最適です。親子でお揃いにして乗っている方もいらっしゃいます。

本当はもっとトラ車を扱ってくれる自転車屋さんが増えて欲しいのですが、なかなか手間がかかるのとノウハウが分からないので普及できておりません。需要があれば自転車屋さんを集めて「トライアル自転車組立整備講習会」などやってみたいですけどね。もちろん有料で!

長くなりすぎたので、トラ車選びについてはこの辺りでおしまいです。よい一台に巡り合える事を願ってます!


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