医者になって少し学んだことー接待というもの②ー

研修医の身分として仕事が始まりますと、医局担当の各製薬会社のMRさん達から、早い段階でご挨拶を頂きます。そして、ボールペン、対光反射を調べるためのペンライト、意識分類表記載のカード、薬剤手帳等、業務に有用なものを無償で頂きました。医師生活そのものをまだ理解していないため、深く考えることもなく、自然に受け取っていたように思います。当時、ちゃんと「有難うございます」が言えていなかったような気もします。また、当時は電子カルテが存在せず、全て手書きのため、特に三色ボールペンはナースにプレゼントすると喜ばれ、ご機嫌取りも兼ねて可能な限りMRさんに頂いたりもしました。医者もナースも国家公務員のような身分なので、揃いも揃って薬剤名、会社名がしっかり入ったものを平然と使っていたのは、今思うと異様な光景です。現在では特に公立病院では、カレンダー、ボールペン等一切授受が禁止されています。当然と言えば当然です。また、当時は今ほどインターネットが発達しておらず、あまり良い教科書もなく、勉強のためには医学論文が必要でしたが、入手するのは一般業務での多忙さもあり、困難であったため、まず検索用のワードをいくつかMRさんに伝え、その後、印刷された多くの候補論文要旨を提示されます。で、じゃあこれとこれお願いします、と丸をつけ、都会の図書館等から入手して頂いていました。私一人でも、担当した患者さんの疾病に関する論文、学会発表用、論文作成用等で膨大な数をお願いし、それらは全て製薬会社の負担でしたので、全国規模で考えると膨大な費用であったことが容易に想像できます。その後は企業の過剰な負担から、まずはその会社の製品に関連した論文であれば依頼OK等の条件が付くようになり、やがて全面禁止になりました。当たり前ですね。ネットが発達すると有料のものも含め、簡単に論文が入手できるようになったので、モラルとは別として、その依頼はいずれにしても自然となくなっていたと思います。ーつづくー

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