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「レキシツアー2022 土偶サスペンス劇場〜消えたレキシ男爵〜」in 神戸で観た伝説

(日本で唯一無二の音楽ユニット「レキシ」のコンサートレポートです。知らない人にも分かるように、実際に見た世界をほぼネタバレなしでご紹介いたします)

ジブリ


スタジオジブリ名作「風の谷のナウシカ」に、感動の名シーンがある。ご存知の方は思い出してほしい。

大ババ様と呼ばれる盲目の老女は、丘の上で声を震わせながら古き言い伝えを口にする。

『その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし』

……

5月26日(木)の夜


私はいつもより少し早歩きで神戸のとある場所へ向かった。

「レキシツアー2022 土偶サスペンス劇場〜消えたレキシ男爵〜」in 神戸国際会館こくさいホール。

テテッ♪テテッ♪テーーーテーーー♪
レキシとは……ボーカリストは池田貴史(イケダタカシ、以降「池ちゃん」と呼ぶ)。アフロ頭で大きなサングラス、口の上に八の字ヒゲがトレードマークの音楽ユニット。

ステージでは羽織はかま姿で歌うのだけれど、歌の合間のMCは「見た目通り」で全力ふざける。初めて観た人は"ビックリするくらいふざける"のだ。

でもあ〜ら不思議☆大人が全力でふざけ続けているのを見ていたら、嫌悪感を通り過ぎて不思議なことが起き始める。「カッコ良く」見えてきて、やがて完璧なるふざけた世界観そのものが「快感」に変わっていく。

レキシの曲


レキシの歌は日本の歴史の史実を絡めてくるのが特徴だ。

例えば曲名紹介すると、
年貢 for you、きらきら武士、憲法セブンティーン、たぶんMaybe明治……

曲名とは裏腹に、歌詞がとてもロマンティックで、全曲メロディアスもしくはダンサブル。そのうえ歌がやたら上手い。

トークが面白くて歌が上手いのは「さだまさし」さんの系譜だと思う。現に、業界人からも敬意を込めて「才能の無駄遣い」と呼ばれているほどだ。

盛り上がるアツい曲

レキシのコンサートで必ず盛り上がるアツい曲がある。
「狩りから稲作へ」
(この近代日本にはあり得ない歌のタイトルだ)

歌詞が「縄文土器 弥生土器 どっちが好き? どっちもドキ」で始まるまさかのラヴソングだ。

中盤では「稲作中心 稲作中心 日本の歴史」「稲穂の実るとき あなたが好き 稲穂の実るとき わたしが好き? どっちもドキ」が出てくる。(ちょっと何言ってるか分かんないですよね? ごめんなさい!)

人気No.1グッズ

コンサートは慈善事業ではありません。
It's Business!!
会場のロビーエリアではツアーグッズが大量に売り出されて、ファンはほしいものを買って、売り子は売れてホクホクの笑顔にどちらもなれるLOVE&PEACE。

コンサートを盛り上げる数あるグッズの中で人気No. 1なのは、みんなで一緒に振れる手旗でもなく、振り回せるタオルでもなく、INAHOだったりする。ええ、ご想像の通り根本からシュッと稲が伸びて、たわわに黄金色の実りを蓄えた、あの「稲穂」です。しかもLEDで光るという。

始まる

会場のライトが落ちて、スポットライトに照らされてレキシメンバーと池ちゃん登場。

登場だけで盛り上がる会場は、コロナ禍‬に阻まれた二年半、待ちに待った観客の気持ちが全開で表れているようだった。

ちなみに、私が駆け込みで購入できたチケットは一階席最後列通路の立ち見席で、ステージと客席までが一望できた。(これが逆に良かった)

そして、イントロで分かる「狩りから稲作へ」のピアノが始まる。

が、そこからフリーの掛け合いトークで数分間ふざけ続けて、一向に始まらずに焦らされる観客。

突如そこから堰を切ったように曲が始まると、観客が取り出していく例のINAHO。リズムに合わせて振る人がどんどん増えていく……

嘘だろ? 見渡してもほぼ全員が持ってるじゃないか! 目測で9割9分の人がキラキラと黄金色に光る稲穂と身体を揺らしていた。

何だコレ!? う、美しいじゃないか……

ステージ中央にはいつものはかま姿で青いマントを羽織っているアフロ頭の男(池ちゃん)が、観客の期待に応えるような美声でリズムに身を任せて気持ちよさそうに歌う。

そして伝説へ

瞬間、神戸のコンサートホールであの言い伝え現実が重なった。

目の前の客席一面には黄金の草原(キラキラと光る稲穂)が広がり、青い服を着て横たわった少女ナウシカ……ではなくてヒゲアフロの男が、無数の王蟲(オーム)の触手……ではなくて、一曲でひとつになった観客のたかぶる気持ちの上で高く高く掲げられてゆくようだった。

不覚にも「狩りから稲作へ」という曲名の歌で、感動している自分がいた。

このスーパーパラドックスな不可思議ワンダーランド、マジで癖になる。

まだまだ続くレキシツアー2022。
会場で観ることができる人は期待に応えてくれます。もしもチケットが取れる会場があれば、遠方でも行くことをオススメします☆

よろしければサポートお願いいたします。コーヒーを飲んだりして創作のチカラにさせていただきます☆