【ライブ・レビュー】アンダーグラウンド・シーンの現場から㉓ アボカドチーズ(梶山真代・島千晶)

梶山真代 (fl)
島千晶(p)
2024年7月7日 豊島区東長崎・某所

梶山真代さんのクラシックのミニ・コンサートへ。自分はクラシックは未知なので批評とかいうことはなく、ゆっくり楽しんできました。だからレビューなどは書けないのだが、自分がクラシックを聴くのは珍しいことだし、記録していかないとどんどん忘れてしまうので文章を残しておく。会場はお客さんが入っても最大10名程度の規模なので、これも「アンダーグラウンド・シーン」の一部ではあるだろう。

この日は自分が知らないいろいろな作曲家の曲が出てきて、「クラシック」と言われている音楽の多彩さ、奥深さを知り、でも勉強臭さや啓もう臭はまったくなく、素直に楽しめた。不思議なメロディに瞑想的になったり、リズムに乗った離れ業的なテクニックには目を見張る。演奏する側にはかなりハードなレパートリーをそろえてきたのだろうが、見事吹き切りました。最後の曲だけちょっと疲れたかな。

自分は学校の授業で「先生の偉そうなうんちく」をひたすら延々と聞かされて、クラシックが嫌いになってしまったのだが、こういうものを知らないのはもったいない。じつは祖父はクラシック・レコードのマニアだったのだが、「子供にはバッハとモーツァルトとベートーベンの代表曲だけ聴かせておけばよい」という方針だったようで、自分もごく幼いころは面白がっていたものの、いささか耳タコでもあった。これを機会に再入門。

梶山さんのフルートはお上品にそつなくこじんまりとまとめようというものではなく、楽器を鳴らし切ってどこまで歌わせられるか、しかもそれを丁寧に仕上げきれるか、という「際」を攻めてくる演奏。「減点法」の好きなクラシック・ファンにとってはところどころ引っかかるのかもしれないが、クラシックというものの音楽としてのすばらしさがストレートに伝わってきた。さすがに本分とする曲演奏だけに彼女のかけがえのない個性と技量が染み入るように感じられる。

ピアニストも一級品で、ピアノは状態の良い(だろう)ベーゼンドルファーだ。いつものライブハウスのピアノとは雲泥の差。そして目くるめく指先の動きは嘆息するしかない。プロのクラシック演奏者はこのレベルです。「本物」を目と耳に焼き付けておく。年に一回はこういうものにも足を運ぶべきだねえ。

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