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飲食店の未来のために、建築・デザインチームが今できること

株式会社NODの溝端友輔と申します。
僕らNODは、建築マネジメント・空間プロデュース・不動産コンサルティングの3軸をベースに、場作りをサポートする空間設計・デザインチームです。 僕らはこれまで、 広い意味で「場」という存在に真っ直ぐ向き合ってきました。

そのひとつとして、【飲食業許可】【製造・加工業許可】を兼業した飲食店の形をつくるプロジェクトを夏の開業に向け進めています。

ここでは、飲食店をベースとして、製造・加工業許可の取得とオンライン店舗の設計を行うことで、場所の制約に縛られず、全国への販売チャネルをつくることができます。実店舗は、より消費者体験に集中する環境を整えることが可能となり、店舗自体の価値を高めることができます。同時に、動線データとPOSデータを収集することでデータ自体に価値が生まれ、多様なキャッシュポイントを生み出すきっかけになります。ここから、リアルとデジタルを融合した新しい不動産の形を目指しています。

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このnoteをきかっけに立ち上げたのがGROWND nihonbashiです。
興味ある方はこちらもぜひ読んでみてください。
https://readyfor.jp/projects/GROWNDnihonbashi
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日々状況は悪化している新型コロナウイルスの影響下で、多くの飲食事業者さまから相談をいただく機会が増えました。

僕らは今、上記のプロジェクトで得たノウハウを元に
・飲食業と製造・加工業の兼業のための改修工事と申請
・オンラインショップの開発と設計
・感染症対策のためのオペレーション計画
などのサポートをすることで、デリバリーやテイクアウトだけではない、飲食店の新しい選択肢をつくろうとしています。

同じ悩みを抱える多くの飲食事業者さまに見ていただければと思い、その手法とプロセスをこのnoteにまとめました。

【製造・加工業許可】という選択肢とその可能性

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食品衛生法では、飲食店営業について業種別に必要な基準を満たさなければいけないと定められています。

一般的な飲食店は、調理業の中の飲食店営業許可を取得しています。飲食店営業許可を取得している店舗であれば、① 厨房を区画すること ②必要な設備を準備すること普段提供している食品などの小規模な【製造・加工業許可】の追加取得が可能です。(※各自治体によって対応が異なります)区画の基準は区によって異なり、区によっては改修工事がほとんど必要ない場合があります。
参照資料:営業許可制度の現状についてー厚生労働省

【飲食業許可】のみでは、その日中に消費できるものしか販売ができませんが、【製造・加工業許可】を取得することによって梱包された商品を全国へ販売することが可能になります。

飲食業許可のみでは、その日中に消費できるものしか販売ができませんが、製造・加工業許可を取得することによって梱包された商品を全国へ販売することが可能になります。

〈業種別、製造・加工業許可と製造可能食品の例〉
▶︎菓子製造:手作りのデザート、ジャム、シロップ等
▶︎そうざい製造業:カレー、おかず、スープ等
▶︎めん類製造業:生めん、ゆでめん、乾めん、そば等
▶︎ソース類製造業:果実ソース、ケチャップ、マヨネーズ等

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①【製造・加工業許可】を取るために必要なこと

製造・加工業許可を取得するためには、厨房の区画と必要な設備を整えることが必要です。必要な条件は区によって異なりますが、最低限の対応で可能な場合がほとんどです。
下記の資料を準備し、役所へ事前相談を行う必要があります。

〈役所へ事前相談する際に必要な資料と準備事項〉
1. 店舗の簡易図(飲食店営業許可申請時の図面)
2. 店内写真 or 動画
3. 製造する食品のリスト

② 必要な衛生管理について

【飲食業許可】と【製造・加工業許可】を兼業するには、より衛生管理の徹底が必要となります。下記は衛生管理の計画における一部です。各許可業種によって計画を検討する必要があります。

〈衛生管理計画の一例〉
- 作業場所の区分
   飲食業の調理と製造加工の場所は分けて作業を行う。

- 作業時間区分
   飲食業の調理と製造加工は時間は分けて作業を行う。

- 設備の衛生管理
   製造のための作業場内は毎日作業終了後に必ず清掃するとともに、原材料、製品、仕掛品の保管場所は常に清潔に保つ。

- 防鼠、防虫対策- 防鼠、防虫対策   
   ねずみやゴキブリ、ハエ、などの昆虫の侵入や発生状況を毎日目視確認する。   

- 機械・器具の衛生管理
   機械類は毎日作業終了後に、特に取り外しの出来る部品は取りはずして異物混入を防止する観点から部品の破損、脱落などを点検の上で、洗浄消毒物混入を防止する観点から部品の破損、脱落などを点検の上で、洗浄消毒後、乾燥させる。

- 冷蔵庫、冷凍庫の衛生管理- 冷蔵庫、冷凍庫の衛生管理   
   冷蔵冷凍庫の温度は必ず毎日始業時と終業時に確認する。冷蔵冷凍庫の温度は必ず毎日始業時と終業時に確認する。冷蔵庫内は常に整理整頓し、清潔に保つ。

- 従事者の衛生管理- 従事者の衛生管理
   従事者の手を介した食中毒菌等による汚染を防止するため、定期的な手洗いを行う。従事者の手を介した食中毒菌等による汚染を防止するため、定期的な手洗いを行う。冷蔵庫内は常に整理整頓し、清潔に保つ。

- 従事者の衛生管理
   従事者の手を介した食中毒菌等による汚染を防止するため、定期的な手洗いを行う。

参考資料:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画
(※「菓子製造業における衛生管理計画」資料)


③【製造・加工業許可】取得までのプロセス

製造・加工業許可を取得するには、下記のプロセスが必要です。許可取得は、約2週間〜1ヶ月ほどで完了します。

1. 製造する食品を検討
2. 保健所へ事前協議
    ・厨房の内装工事必要有無の確認
    ・必要な追加設備の確認  等々
3. 必要があれば内装工事、必要な設備導入
4. 保健所へ申請(工事完了or営業開始の10日前が目安)
5. 行政検査、許可取得

上記のプロセスを経て、飲食業許可と製造・加工業許可を兼業した飲食店の形をつくることができます。製造・加工業を取得後に販売チャネルの作成・開設を行うことが可能になります。販売チャネルの多角化によって、提供できるサービスの幅も広がり、結果として実店舗の価値向上に繋がると考えています。

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コロナに負けない、これからの時代における飲食店の形。

明けるのかも分からない危機的状況の中で、飲食店への客足は確実に減っていきます。
だからこそ、”実店舗の集客に依存しない飲食店の形”が必要です。
お店の味を求めて、いつもの店舗へ訪れることが本当に難しい時代が来ています。

実店舗と共にオンライン上に店舗をつくることができれば、お店の味を提供できるチャネルの多角化を図っていくことができます。そうすることで、いつものお客さんはもちろん全国どこにいても好きなお店の味を求めることが可能になります。

オンラインで店舗を持つことにより、実店舗ではより1人1人の顧客体験を高める動きへシフトし、店舗が本来持っているリアルな「場」の可能性を拡張したいと思っています。

少しでも多くの飲食店の未来に、NODは建築・デザインチームとして今できることを、精一杯お手伝いさせていただきます。

僕らの連絡先とGoogleフォームまで、お気軽にご相談ください。
また、もし皆さんの周りに困っている飲食事業者の方がいたら、このnoteを共有していただければ嬉しいです。
この危機的状況を、共に乗り越えていきましょう。

株式会社NOD | BREAK NEW GROUND


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