惚れたもの


物語の中には真実も偽りもどちらも存在する


ある人にとっての紛うことのない真実は

ある人にとっての疑いようのない偽り


人間はどうしてこうも傲慢になれるのだろうか

自分の見えているものはすべてかい?

そこに、想像力の入る隙間は、一寸たりとも存在しないのかい?


あなたがそう信じてまで欲しいものはなんだい?

自分の命がかかっているの?

それとも親のかたき?

あなたはなにを理由にそれを信じているの


私たちにとっての真実は自分にみえるもの

私たちにとっての真実は自分の信じたいもの

私たちにとっての真実はうごめく世論のもの


そんなかなしいことがあるものか



私にとっての真実は私の想像力が果てるまで変遷しつづける

事実と真実は必ずしもイコールではない


なにも正しいことはないしなにも間違っていることはない


人間は想像力をもつ


人間は考えてしまう


人間は感じてしまう


大変だけれど、それでいい



だからこそ自分と自分の惚れたもののために

それをつかいたい



愛した人はふっと消えてしまうかもしれない


今日もそこにいてくれてありがとう

尊い人よ