幻花燈ーまぼろしのはなのともしびー
good to the taste蒸篭の縁にからしを塗り添えて肉まんを食べていたら 同じ様に蒸篭に入って肉まんの向うに控えていたあんまんが「たまにはおれにもからしを塗ってくれ」と云う
肉まんをつまむ手を休めて あんまんに眼をやった
「くれ、くれ」
「あんこにからしを塗って食う者があるか」
「たまにはいいだろうよ」
「おまえはいいだろうが、おれの都合がよくない」
「ちょっと蒸篭の縁に塗ってくれよ。肉まんにやってやれて、なんでおれにはやってくれないんだよ」
「手間の