【小説】不二山頂滞在記【54枚】
一
「パ―ト募集 巫女 十八~二十一才迄」
平衡(へいこう)を失した筆蹟の求人広告が神社の鳥居に貼られていた。それに目を止めたおれはしぜんと、その上に張られていたチラシにも目を向けた。
「不二山登頂者募集 急募 日給五千円」
なんだろう。これ。
詳細は社務所までというので、のこのこ行ってみると、境内は昼間三十九度あったとは思えないほど涼しい。五百円とか千円とかいった値段のついたお守り見本の向うにジャージ姿の男がいた。
話しかける前にその男がこう勧誘してきた。
「そこ