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#出版業界

【小説】コミック編集部。【128枚】

一 『お仕事は、なにをなさっているんですか?』との質問から始まる会話の流れは、人それぞれに決まったパターンができているものだろう。  教員や公務員や税理士などと答えれば、一言で説明できるうえに社会的な地位も示せるだろうし、サラリーマンや職人にしても、『自動車の営業です』と答えたり、『料理屋で板前をしています』と答えたりすれば済むのだろう。  自分の場合は、『漫画の編集者をしています』との答から始まることになる。  国勢調査ならばそこで済むのであるが、『どんな漫画なんですか』

雑誌と書き言葉

書き言葉を支えているのは、出版業界なわけでして、それが縮小してゆけば、国語が消えてゆきます。テレビの影響で方言が消えて行ったように。 国語が消えてゆくということは、日本人としての、とは言うにまたず、その人のアイデンティティが薄まっていくということですよ。 WEB上の文章は、データを情報化したもので、マニュアルを求める消費者にとってはそれで十分なのかもしれない。 でも、「編集」の目を通していない文章が増えていくと、自分をますます目的に対する手段と化すような、機能としての人間に、