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「ゾウの時間 ネズミの時間」がめっちゃ浅倉透だった件

※この記事では浅倉透が出てくるコミュの内容に予告なく触れる場合がありますので、あらかじめご注意ください。





「ゾウの時間 ネズミの時間」というのは、本川達夫さん著書のサイズの生物学について書かれた本のことです。どうして浅倉透に生物学の本が関係してくるのかというと、実は果穂ちゃんとのホーム会話で、透本人の口から断片的に名前が出てくるんですね。

気になってググってみると、ゾウの時間まで入力したところで、「ゾウの時間 ネズミの時間」がサジェストされました。Kindle版を購入して読んでみると、これは浅倉透を紐解くにあたって非常に興味深い資料になるなと感じました。

という訳で、このnoteでは数多のプロデューサーを惹きつけ、惑わせてならないシャニマスきっての“おもしれー女”こと、浅倉透というキャラクターの成り立ちを、「ゾウの時間 ネズミの時間」を使って紐解いていきたいと思います。

シャニマスをやるにあたって、まず最初にアイドルのことを知ることになるシナリオは、W.I.N.G.の共通コミュになると思います。そんな透の共通コミュで、印象的な台詞の一つがこちらではないかと思います。

W.I.N.G.編「人生」にて

凡そ今をときめく17歳高校生の発言とは思えない()
これは諦念からの言葉なのか……。いずれにせよあまりポジティブな印象は受けない台詞だと思います。実際、『透の人生には深い悲しみが……』というような解釈も見たことがあるのですが、透の普段の態度、クラスメイトとのやりとり、大人であるプロデューサーとの接し方をとってもそうですし、何より幼馴染であるノクチルの面々との日々が、透にとって悲しみに満ちているというのはどうにも腑に落ちないところではあります。

このように、透のコミュは抽象的な台詞が多いため、捉え方によってかなり解釈が異なってくる印象を受けます。これは同じノクチルの樋口さんにも言えると思いますが、行間に自分の経験や考え方が入り込む“隙間”が上手く空けられているので、まんまと語らされてしまう。透はシャニマスの世界でも“否応なく周囲に語られる”様子が描かれているキャラクターなのですが、実際にゲームをプレイするプロデューサーたちにもそうさせてしまうというのは、本当に凄まじいキャラ造形だなと舌を巻きます。

少し話が逸れてしまいましたが、透が人生を長く感じる理由は、「ゾウの時間 ネズミの時間」の内容から説明できると考えています。本の内容を掻い摘んで説明すると、

・哺乳類の時間は体重の1/4乗に比例する(大きな動物ほど生理的時間が長くなる。生理的時間とは、動物がサイズによってそれぞれ異なる時間を持っていることを、物理的時間と区別して呼ぶ。“1/4乗則”に当てはまる例として、寿命・成長に関する時間、心臓が打つ間隔・息をする時間間隔、体内の循環に関する時間等が挙げられる。)

時計を見ながら毎日を時間に追われる現代人にとって、時間というのは常に一定であるという考え方が普通だと思います。しかし、心臓の拍動を時計として考えるなら、数年しか生きないネズミも、百年近く生きるゾウの一生も長さは変わらないということになるのです。

最初に紹介した透と果穂ちゃんのホーム会話ですが、まず果穂ちゃんが透に対してこう言っています。

透の周りだけ時間がゆっくりというのはどういうことなのでしょうか。サイズの生物学では、大きな(体重の重い)動物ほど時間が長くなるとされていました。透はもちろん人間サイズなのですが、透を取り囲む時間だけが自分の何百倍もある動物のものだったとしたら……。体感的な時間は異常に長く感じられるのではないでしょうか。とまあここまで一応書きましたが、細かい整合性は置いておいて、そういったコンセプトのもとに生み出されたキャラクターが“浅倉透”なのではないかと考えているわけです。

ここまでの話を踏まえて、ここからは、「ゾウの時間 ネズミの時間」から引用していそうな透の描写を拾っていきたいと思います。

・クジラの動画

アジェンダ283より

ご存じ海洋哺乳類である鯨。特にシロナガスクジラは、現存する地球上最大の動物だそうです。シロナガスクジラには“4つの亜種”が認められているとか。


・へんなジャングルジム

W.I.N.G.より

見た目は普通のジャングルジム。でものぼってものぼってもてっぺんに着かない。実は後述する“袋小路”の例で出そうと考えてたんですが、なんでジャングルジムなのかなぁって思ってたんですよね。それで思いついたのが、ジャングルジムって登る時に“構造物の中に入る”って見方もできると思うので、もしかしたら透が囚われている“本当の体の大きさ”を表しているのかもしれませんね。てっぺんに着いたらどうなるんだろう……。


・省エネ

天塵より

省エネというのは、実はサイズの大きな動物の特徴のひとつです。体重が増えれば、体重の1/4乗に反比例して酸素消費量は減るのだそうです。(エネルギーは食べたものを酸化させることにより得られるため、酸素消費量が必要なエネルギーの指標となります。)

大きいということは、それだけ環境に左右されにくく、自立性を保っていられるという利点があります。

ちなみに、寿命はサイズによって大きく変わりますが、一生に使うエネルギー量は体重一キログラムあたりにすると一定になるそうです。短い命は激しく燃え尽きると言えるのかもしれません。

G.R.A.D.より


・袋小路

天塵より
【ハウ・アー・UFO】より
【まわるものについて】より
「海に出るつもりじゃなかったし」より

透のコミュには、透が“現状の閉塞感のようなものから脱したいと考えている”と思わせるものが数多くあります。実はこれも、サイズが大きな動物の特徴が現れていると見ることができます。まず、「同じ系統の中では、大きなサイズの種は進化の過程で、より遅れて出現する傾向がある」という“コープの法則”があります。巨大なアフリカゾウも、祖先はイノシシほどの大きさだったそうです。体が大きければ恒温性に優れていたり、捕食されにくかったり、行動範囲が広がったりと有利な点も多いですが、寿命が長ければ突然変異によって新しい種を生み出す可能性を犠牲にしているということにもなります。

ゾウの骨格系は重い体重を支えるために、かなりの無理をしている。無理を押して捕食者に食われないよう、頑張って大きくなっているのである。捕食者がいなければ、なにもこんな無理をしてまで、大きいままでいることはない。

非常に大きいということは非常に特殊化しているとみなせ、これは進化の袋小路に入り込んだことを意味しているだろう。

ゾウにしてもクジラにしても、巨大なものは、人間が獲る獲らないにかかわらず、近い将来の絶滅が運命づけられている

それともう一つ、“島の規則”というものにも触れておきたいと思います。動物は島に隔離されると、サイズが大きなゾウのようなものは小さく、逆にネズミやウサギなどは大きくなるという規則があるそうです。狭い島では肉食獣を養えるだけの草食獣の数が足りなくなり、肉食獣は生きていけないけど、草食獣は生きていけるという状況が発生します。そういった状況下では捕食者がいなくなります。

偉大に見えるゾウも、できれば「普通の動物」に戻りたいのであろう。〜だからこそ、捕食者という制約がなくなると、ゾウは小さくなり、ネズミは大きくなって、哺乳類として無理のないサイズに戻っていく。これが「島の規則」の一つの解釈である。

G.R.A.D.より
Landing Pointより


・お腹減ってる?(おまけ)

大きな動物は燃費は悪くないとはいえ、食べる量の絶対数が大きいですからね笑

いかがでしたでしょうか()
シャニマスのシナリオは毎回引用元がちゃんとあってそっちも楽しめてしまうという本当に素晴らしいコンテンツですね。「ゾウの時間 ネズミの時間」も、普段本を読むのが苦手な僕でさえ楽しめるものでしたので、是非お勧めしたいと思います。「海に出るつもりじゃなかった」もめっちゃ面白かった。慣れない文章を長時間書いて頭が痛くなってきたので、今回はこの辺で失礼したいと思います。最後まで読んでいただいた方は本当にありがとうございます。ノクチルのことで何か感想があれば是非コメントいただけたら幸いです。

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