ムクドリの観察

ムクドリが芝生の上で群れをなして何やら啄んでいる。あたかもローラー作戦で芝生の餌をありったけ食い尽くそうとしているようだ。

ここは大学病院に隣接している庭だ。
所々にベンチなども設置されているので、以前は待ち時間に憩うのにもってこいの場所だったのだと思うが、今は近くの出入り口が封鎖されているせいか人間は私しかいない。

遊歩道をたまに人が通り過ぎるが、人間が通ってもムクドリたちはローラー作戦をやめない。
先ほど芝生の中腹にいた群れは、今や芝生の端っこまで進んでいる。

端まで食い尽くしたムクドリたちは、そこからはグループに分かれたようだ。大多数のムクドリはローラー作戦でもと来た芝生を引き返し始めた。

他のグループは更に芝生の端を攻める組、遊歩道を挟んでこちら側の芝生に移動する組などがあった。

ローラー作戦を続行していた多数が、もうこの芝生に食い残しはないと判断したのか、少し離れた向こうの芝生に羽ばたいて移動をすると、それまで各々で啄んでいた組もそれを追って向こうの芝生へと飛び立っていった。

そして私の視界からムクドリは消えた。