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ある秋の日、私は神に出会った

みなさんこんにちは。今日も晩酌で良い感じにホロホロになっているnock3です。

先日、noteサーフィン部で運営している『波待ちラジオ』でパーソナリティの1人であるトレーナーの近藤さんが、『車上荒らしパンツの行方』と題して、近藤さんのパンツが被害に遭った顛末をお話しされていました。

被害に遭ったにもかかわらず、トモさんと軽快にトークしていた近藤さん。とっても素敵です。

途中、車上荒らしの手口についての話題になったとき、私は十数年前のある出来事を思い出しました。今日はそれについて書きたいと思います。


トラブルは突然に

それは子どもが生まれる前の話。当時私は宮城県南部の岩沼市という街にカミさんと2人で暮らしていました。自宅は海から30分ほどだったので、サーフィンを始めて2年目くらいだった私は週5くらいのペースで海に通っていました。平日は仕事前に入って、週末は午前中いっぱい海にいる。今考えると贅沢すぎる波乗りのライフ。その日は確か土曜日で、ちょっと遅めに出発して、宮城県南部の『吉田浜』というポイントへ向かいました。

ちょっと出遅れたので、波チェックして乗れそうな波を確認したらすぐに着替え、ワックスアップし、リーシュも着けて準備万端。車の荷台のドア閉めて砂浜に駆けだす。板を砂浜に置いて準備体操をしようとしたその時、ある違和感を覚えた。そして、ムネのあたりを触って、車の鍵を持ってくるのを忘れたことに気がつきました。イタタタタ、おでこに手を当てながら引き返し、車に戻って荷台のドアを開けようとレバーを引いてみると、何故かドアが開かない。あれっと思って何度かやってみても開かない。しばらくして、ふと思った。

あ、これ、鍵を車内に閉じ込めちゃったかも。。。

この瞬間、血の気が引くのが自分でも分かりました。たぶん、ちびまる子ちゃんみたいに顔に線が出ていた事でしょう。突然降りかかってきたトラブル、さあ、どうする?


パニック状態

鍵を閉じ込めちゃった事実は確認できた。でも、この状況をどう打開すればよいのか。とりあえず、携帯電話でJAFに電話するか。。携帯電話は車の中だ。。。針金で鍵穴をカチャカチャする?いつの時代の盗っ人だ。そもそも針金も無いわ。その辺の石で窓ガラスを割る?これは最後の手段かなあ。

いろんな事を考えてみるが、妙案は浮かばない。八方ふさがりに気持ちも焦ってきて、

よし、1度海に入って落ち着いてから考えよう!

なんて思って板を持って再び海に駆けだすが、よくよく考えれば海から上がり、水で濡れた状態で涼しくなった秋風に当たり続けたら、それこそ命取りだわ。。。自分自身に「冷静になれ!おれ!」と声をかけ、また車に戻る。

そう、もう私は完全にパニック状態に陥っていたのです。


神、現る

海に入ることをギリギリで回避した私は、自分の車以外にも何台か車が駐まっていることに気がついた。おお、そうか!ここは誰かに助けを求めるしかないのだ。

自分の車の後ろで体育座りをしながら待つこと約20分。一人のサーファーが海から近づいてきた。歳は私よりも少し上だろうか。短髪の見た目も爽やかな人でした。私は迷わず声をかけた。

「すいません、鍵を車に閉じこめてしまって困ってます。助けてください。」

もう、困りすぎてストレートすぎる物言い。それに対してその爽やかサーファーは、「えっ、そうなの?携帯電話は?」と言うので、「車の中なんです。」と言うと、

「じゃあ、知り合いの車屋に電話してあげるよ。」

と言って速攻電話してくれた。そして、

「今、車屋くるから。車も教えておいたから、あと、おれ帰るね。」

と言って、自分の軽自動車にサーフボードを載せて颯爽と帰って行った。私は何度もお礼を言って見送りました。

この人がいなければ私は浜辺で途方に暮れていたし、寒さで体を壊していたかもしれない。彼は本当に命の恩人、その時の私にはまさに『神』でした。ほんとうに助かりました。この場を借りて再度御礼申し上げます。



教訓

鍵を車に閉じこめる。これはもう、波乗り以前の凡ミスです。これ以降、私は波乗りの前には、車のドアをどこか必ず開けながら準備をして、自分の身体に鍵を身につけていることを確認し、鍵を閉めたら「鍵、良~し!!」と指差し確認をして車を離れることにしています。今は電子キーが普及しているのでスペアキーを身に着けて海に入る人も減っているとは思いますが、鍵の管理は超大事ですので最大限の注意を払ったほうが良いと思います。波乗りのトラブルは、海の中だけで起こることではありません。

そして、この経験での私の一番の後悔は、窮地を救ってくれた『神』の連絡先を聞かなかったことでした。

連絡先を聞いておけば、その後にお礼もできたのですが、それは10年以上経った今もできていません。その後も何度かそのポイントに行ってみましたが、私は『神』に出会うことはありませんでした。

感謝の気持ちを伝えられなかったことはとても残念ですが、この経験から私は、海で困っている人がいたら、必ず声をかけることを心がけるようになりました。私のこの行動が、巡り巡って再び『神』に届いて欲しい。そんんなことを思いながら海に通い続けています。


サーファーは全員良い人だとは思っていません。でも、せっかく同じ海で時間を共にするサーファー同士、思いやりの気持ちを持って接したい。そんな行動を続けていけば、『サーファー=チャラい』ではなく『サーファー=優しくて親切』というイメージが広がって行くのではないかな。

明るいビーチカルチャーの未来のために、そうあって欲しいと切に願います。


おわり




サポートいただけたら、デスクワーク、子守、加齢で傷んできた腰の鍼灸治療費にあてたいと思います。