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朝霧の中、南に流され思い出すのはお魚板とS氏のこと

 波乗りの頻度が増える毎に肩の痛みが和らいできたノックです。

 さて、今週は水曜日の早朝にMさんと海に行く約束をしていましたが、何やら低気圧が接近していて荒れるとの予報だったため、急遽、昼休み中に職場で作戦会議を開き、1日前倒して火曜日の早朝に海に行くことにしました。そうと決まったら仕事をちゃっちゃと片付けて家に帰ろう。
 そして本日。出発時間を先週よりも10分早く設定して海へGO。


朝霧

 行きの車の中でも何となく想像できたが、海に着いたらやっぱり霧がかかって視界が悪い。とにかく見えない。波チェックしてもよく分からんので、まあ、まずはウェットに着替えて海に入りませう。



 砂浜を歩いても歩いても白い風景が続く。一番乗りだと思った河口には、すでに4人の先客が。Мさんと私は彼らから少し離れた場所で波待ちをする。波はパワーなく、たまに来るセットはインサイドで割れる早い波で乗ってもなかなか横へは滑れない。先日、ボードが破損したМさんには、私の緑のフィッシュボードをお貸ししました。最初は扱いに戸惑っていたМさんもだんだんと慣れてきてパワーの無い波を上手くキャッチして乗っていましたね。私は波と波長を合わすことがなかなかできず苦戦。最後はテイクオフの練習だと思って割り切って楽しみました。
 残り時間が少なくなっていく中で、Mさんが私に近づいてきて、「けっこう流されてるかも、、、」と話しかけてくる。ああ、そういえば先客の4人の姿も見えなくなっている。岸は見えていたものの、今自分たちがいる場所が河口の北側なのか南側なのかが分からない。場所を確認しようと岸に上がってみると、入った場所から南側に100m近く流されていた。視界が悪くて気が付かなかったけど、流れがあるときは注意しないといけないな。

 
 

フィッシュボードとSさんのこと

 時間が来たのでそこで今日は終了。2人で駐車場へ向け砂浜を歩く。歩きながら、Mさんが先日壊れたサーフボードを、そのボードを購入したサーフショップに持って行ったときのことを話してくれた。そのサーフショップは仙台市内でも古くから営業している店で、東日本大震災前には市内に3店舗を構えていたが、震災後に1店舗を閉めて、現在は2店舗が営業している。Mさんと私が通っていたのは、その閉めてしまった店舗で、当時そこで働いていたSさんという店長さんには2人ともとてもお世話になった。Mさんは彼から何本も板を買ったし、今日私がMさんに貸した緑色のフィッシュボードもそこで購入したものだ。店が閉められた後、Sさんはどうしているのか。サーフィンはまだ続けているのか。Mさんは社長に尋ねたところ、Sさんはもう海には入っていないということだった。私は2年前に仙台に戻ってきて海にも頻繁に行くようになったのだが、そこでSさんに似た人を見かけたことが何度かあり、もしかしたらその人がSさんなのではないかと密かに期待していた。今度海で見かけたら声をかけようかと思っていたので、Sさんが海に入っていないという社長の話にちょっと驚いた。そうか、海で見かけたあの人はSさんじゃなかったんだ。
 Mさんも私も、当時Sさんから購入したボードを今も大事に乗っている。私が乗っている緑のフィッシュボードと同じ型で黄色のフィッシュボードをMさんも持っていたそうだ。社長の話だと、当時流行し始めたフィッシュボードを、福島のシェイパーさんお願いしてに試験的に3本削らせたもので、そのうちの2本をMさんと私が持っていたということだ。そうか、福島で削られたボードだったんだ。何か縁を感じる。「このボードに乗ると、当時のことを思い出すんだよね」と、板を小脇に抱えながらMさんは言う。社長は商売っ気が強い人だと聞いていたが、Mさんが大事に乗っているボードを見た時には、とても嬉しそうな顔をしたとのこと。でもそのすぐ後に新しいサーフボードを勧めてきたところが社長のしっかりしてるところだね。
 そんな話を聞いていたら、私も久しぶりにサーフショップに行って話がしたくなったな。



おわりに

 サーフボードが壊れたことで、Mさんは久しぶりにサーショップに足を運んだ。そこは私たちが通っていた店舗ではなかったけど、Sさんを知る社長の話が聞けたことで、Mさんと私は当時の想いがよみがえりました。海から離れてしまったSさんと会う機会はもうないかもしれない。でも、当時のこと、Sさんのことは、フィッシュボードに乗るたびに思い出す。新しいボードも魅力的だけど、海で長い時間を共に過ごしてきた緑のフィッシュボードには、そんな想いが詰まっている。最先端の技術や素材が使われている訳でもない。デザインだってパッとしない。でも、たぶん私はそのボードを一生手放すことができないと思う。

 サーフボードはサーファーにとってただの道具以上のモノなんだろうな。Mさんとの会話から、そんなことを考えました。



おわり

 

サポートいただけたら、デスクワーク、子守、加齢で傷んできた腰の鍼灸治療費にあてたいと思います。