象とピンヒール
学校の説明会に行って「おおおっ」と感銘を受けました。
校長の話ではなくて、校長の履いている「ハイヒール」にです。
小柄でキリっと痩せた女性の校長は
「私はヒール履いてますけどね、歩くの早いですからね!ハッ」
と挑発的に宣言するやいなや、10センチ以上のヒールでカツカツと校内見学の先頭に立ち、我々、親軍団はそれを追いかけるのに小走りでした。
ハァハァ
今、こんな高いヒールはいているヒト、あまり見かけません。
「スニーカー」が世界的ブームになり、そのブームがパンとはじけることなく、緩やかなトレンドとして着地。
もはや「スニーカー=カジュアル」ではない。
エルメスでもプラダでもルブタンでもスニーカー出してますものね。
高級レストランでもヒールを履いた女性は少ないです。
ドレスアップした足元を見るとかっこいいスニーカー。
セレブリティたち、レッドカーペットでもドレスにスニーカーだし。
新聞のコラムでは
「ハイヒールに意味なし!女性をハイヒールから解放しよう」
という記事も見かけました。
男性のみなさん、ハイヒール履いたことありますか。
私は大学の入学式の時に初めて3㎝くらいのヒール靴というものを履いて、もーお、大変な目にあいました。
うっかり竹馬を履いて外出してしまったけど、戻るに戻れないよ!どうしよう、お母さん!
みたいな雰囲気です。
悲壮な顔をして電車を乗り継ぎ、命からがら...って感じで、目的地までたどりついたけど、髪が真っ白になっちゃったんじゃないかと感じるほどボロンボロンに疲弊しました。
足痛い・・・
足をかばおうとして、ヘンな歩き方するから股関節も腰も痛い...
肩も痛い、首も頭も痛いよ…
つくづく思ったのは、
大人の女性たちが平気な顔でパンプスを履いているように見えたのは徹頭徹尾まやかしだったということ。
誰も教えてくれなかったじゃん!
全然平気じゃないじゃん!
大人たちには、顔と口に出す不満と、顔と口に出さない不満があるのだと思い当たりました。
月日は過ぎ。
慣れるものですな。
いえ、慣れたのではなく、「ただただヒールを履いて立つ」ことから始めた不自然な訓練のたまものであります。
そう、アタシは努力した!
家の中で、フローリングの床に傷付けながら、ハイヒール履いてウォーキングの「訓練」をした!
パンプスでカッコよく颯爽と闊歩したかったからさ!
パリコレモデル風ど根性で頑張った!
今では15㎝のピンヒールで、バスを追いかけて走ります。
おい待てよコラー!ってな。
ピンヒールで走る
ということは、
瞬間的には「ヒール底面積1㎠」に「全体重」が載るわけですが、案外と平気です。地面とヒールがきっちり「垂直」であるかぎり、意外といけます。
しかし、その1㎠の下の足の持ち主が、平気な顔をしていられるかどうかは、もちろん全く別の問題で、万が一、1㎠が「ふんじゃった」場合「ふまれちゃった」人は、なんていうか、冥府魔道、阿鼻叫喚。
よく「象とピンヒール、踏まれたどちらが痛いか」というハナシがありますけど、これは断然象よりピンヒールが痛い。
ピンヒール履いた象に踏まれたらもっと痛い。
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