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空の青さを知る人よ ; 君の、夢を追いかける姿が一番好き、だから。

久々に劇場アニメ!
ということで、あの花、ここさけとヒットを飛ばす超平和バスターズの第三弾、空の青さを知る人よ、を観てきました。


どういう話かを全然調べずに行きましたがとってもよかった。
泣きました。
日曜の朝8:00台というのに結構な人でした。

不思議に巡る片思いを繊細に描く

秩父の村で、ミュージシャンを夢見る高校生の「しんの」、その恋人でマネージャーの「あかね」、年の離れたあかねの妹「あおい」。
そしてその周辺人物たちが織りなす、優しい片思いループのお話。

事故で両親を無くし、学生ながらまだ幼い妹を育てる、あかね。
上京してミュージシャンを目指すから付いてきてほしいというボーイフレンド、しんのの誘いを断り、秩父に残ると答える。
しんのにベースの才能を褒められ、自らもその背中を追いかけて音楽を目指しながらも、自分があかねの負担になっているのではとずっと気にかけている、あおい。

一人東京に行ってしまった、しんの。
公務員となり、村で妹と暮らす、あかね。
あかねを苦しめたくない、秩父から出たい、音楽をやりたいという様々な思いが交錯する、あおい。

しんのが旅立った後も、ずっと特定の恋人を作らず、幼馴染のみちんこに好意を寄せられながらも、気づかぬふりを続けるあかね。
やがて、あかねたちは、みちんこが仕掛ける地方振興の一環で、秩父に演歌歌手を招くことになる。
その歌手のバック演奏として、そこにはなんと、ギタリストを目指して村を出たしんのがいて…

一方で、しんのたちが練習していたお堂で今も練習を続けるあおいは、突如現れた高校生の頃の姿のしんのと出会う。

高校生のしんのはなぜ現れたのか。
あかねの真意はどこにあるのか。
あおいの夢の行方はどうなるのか。

あかねに想いを寄せるが故にしんのを引き合わせた、みちんこ。
無茶苦茶な行動をするあおいを、子供ながらに黙って支えるツグ。

30代になったしんのとあかね。
あの高校の時の別れから10年以上が経って、共に恋心と夢と独立心のはざまで揺れながら、その距離は、近づくのか、遠のくのかー…

舞台はまたまた秩父

「あの花」こと「あの花の名前を僕たちはまだ知らない」を観ていた人は「おっ」となりそうですが、またまた舞台は秩父。
私の地元もそちらの方なので、知っている地名がちょこちょこ出てきてほっこり。

それにしても、作画崩壊がない完璧っぷりもさすがながら、背景の緻密さが本当にすごい。新海さんとはまた違う、素朴な、写真的な。
かなりロケハンして、写真撮って、一つ一つ描き起こしているのだろうなぁと思う、丁寧な塗りでした。あの花で秩父ロケに行った時の写真も使ってるのかなぁ…とか舞台裏もちょっと考えてしまったり。

あの花の影響か、なんとなく私はA-1 picturesの印象が強いけど、プロジェクト型だし、大手のプロダクションほとんどエンドロールに出てくるし、かなりお金張ったのだろうか…なんて。

作中でセブンイレブンがはっきり描写されていて、エンドロールでもLOTTEとセブンがスポンサーで入っていて、こうやってお金集めたから、主題歌にあいみょん、演歌歌手の声優に松平健という豪華配役が叶ったんだろうなぁ…とはちろりと思ったけれど、それでこのクオリティが維持されるなら、こういうスポンサー方式もっと活発化すればいいのになぁと。
(天気の子は日清とか広告めっちゃ入ってるやんみたいな意見もありましたが)

[ 以下ネタバレ ] アナ雪にも似た、様々な”愛”の描写

ひと昔前の映画も漫画も、男女が恋に落ちて、他の人に目が行きながらも、誰か一人と結ばれる、それが愛、という描写ばかり。

それが”恋愛”の固定概念だった。
相手は異性でなければならず、ゴールは結婚であると。

LGBTは左ききの人と同じ、13人に1人くらいの確率で存在すると言われ、生涯未婚率も高くなっている昨今。
女性はか弱くて、主人公の男性に助けられて、恋に落ちたらハッピーエンドというのはちょっと違うのではという風潮が映画でも、ここ3-5年くらい高まっているように感じます。

特に最初に強く感じたのが「アナと雪の女王」。
ある意味でプリンセス信仰の先駆けを作ったとも言えるディズニーが、主人公の女性の愛の源泉を、妹への無償の愛として位置付けたのがとても印象的でした。(ラプンツェルもこのメッセージ強かったですね)

アナもまたエルサを深く愛しているのがいい。
これは家族愛にも同性愛にも近親愛にも捉えることはできて、そのどれであってもいいと思うし、そうとらえうる描写をディズニーがしたことにとても意味があると思っていて。

STAR WARS ep.8で、このGAPの広告的なWorld Love & Peaceが表現された時は正直ちょっと「うっ」と思ったけれど、多様性の中にそれらを位置付けたことは、とても勇気があることだと思うし、すべき人(=意図的かどうかはさておき、社会的観念を植え付けていくことを行う立場にあるメディアや創作者)がそういう選択をすることをとても尊く思う。

しんのからもあおいからも見えなかった、あかねの愛

この「空青」でも、姉は自分のせいで”こんな田舎”で”こんな平凡”な”公務員や寄り合いばかりの生活”に閉じ込められていると思っているあおいに対し、義務などではなく”妹を愛して止まず、彼女のために生きることを自分の誇りだと思っている”あかねの心情が、後半の洞窟のシーンあたりからゆっくりと、解かれるように描写されるのがとてもいい。

「私の独立心はそんなにない?」
あなたがたが私をそう思っていることは知っている。
でもそんなの、強制なんてされなくても、私は最初からあおいを選んでんだ。

どうしておにぎりがツナマヨではなくて、こんぶだったのか。
しんのですら、あおいのために、あかねは義務感で村を選んだのだと思っていた。

そうではなくて、しんのは最初から、あかねにとって2番目だった。
それでも、そこはしんのの場所だったから、誰にも譲らない。
誰かがが2番目に座ることはない。

だからいつまででも待つ。
おばさんになっちゃったからと恥ずかしがるあかねの姿が全てをものがたる。
こんなに時間が経ってしまったから、私もこんなに歳をとった。
あなたはそんな私をもういらないっていうかもしれないけれど、私はあなたが好きで、だから誰のものにもならずに、ここにいるという雄弁な告白。

これでも、色々試したんだよ。
あなたがそばにいようがいまいが、私の人生なのだもの。
他の人を好きになれるかもしれないと思った時もあった。

あおいに、彼氏がいたこともあると告げるあかね。
キャバクラの女性陣が押しかけた時の、しんのを見る据わった眼差しが、めちゃくちゃ可愛い。
好きな人にしか、あんな顔、しない。

しんのは知らない。
あかねはあおいを愛しているけれど、キラキラ輝いていたしんのも、ぐしゃぐしゃに自尊心がなくなった慎之介も、ずっと変わらずに好きなことを。

嫌いだからホテルでの誘いを断ったんじゃない。
そんなになっても好きだから、だから、そんな誘い方をするあなたでいて欲しくないだけ。

だからきっとエンドロールで結婚したのだろうなぁと思う。
しんのが顔をあげさえすれば、あかねはずっとそこにいた。

夢を追うあなたが好き、たとえ隣に私がいなくても

あおいもあかねも、思っていることはこれに尽きると思う。

あおいは途中まで自覚がないけれど、クラスメートと言い合っているときに、ぽろっと「しんのが好きだ」と口から出たことで、見ないようにしてきた気持ちに向き合わざるを得なくなる。

ずっとそばにいて自分を愛してくれる姉が大好きで、今もこれからも自分の方を見ていて欲しくて、それでも前を向いていても欲しくて、あかねにどうして欲しいのかわからない気持ちを、思ってもいない言葉ばかり並べて吐き出してしまう描写も、高校生らしくてとってもよかった。

しんのは、愛というよりは自分に向き合っていて、ここが高校生のしんのとあおいでシンクする。
しんのは、自分の全ての根底にあかねの愛があると無意識下で知りながら、自分のやりたいことを叶えたいという純粋な夢への渇望と、好きな女にいいとこ見せたいという気持ちと、ぐしゃぐしゃに入り乱れた状態で、高校生の”あの時”に立ち尽くす。

ベーシストになったらあかねを迎えに来るのだと決めて村を出て行った手前、部分的にはかなったけれども、目指したほどの自分になれなくて挫折して。
気づけば、もう30歳もすぎた。
けれど、まだ彼女の前に帰る資格が、自信が、自分に持てなくて、まっすぐ彼女に向かっていけない。

あおいからすると、そんな男はダサくて、かっこ悪くて、大好きな姉を傷つけて苦しませて。
しかも、キラキラしていて、自分を認めてくれて、何よりも、大好きな姉を、自分にもできないような笑わせ方をすることができる、そんなしんのをかっこいいと、憧れと恋心が入り交ざったような気持ちで思っていたのだから、なおさら失望する。

自分だって姉のために恋心に蓋をして。
あかねだって、しんのの夢のために我慢をして送り出したはずなのに。
なのにプロポーズもできずにこんなザマかよ!と思うあおい。
そんなこと、俺が一番わかっていて、一番苦しいんだと思うしんの。

全部わかっていて、メジャーデビューしようがしまいが、しんのが好きなあかね。
あかねは、ただ、メジャーデビューをしたいというしんのの夢を応援したいだけ。無理せず、楽しそうに夢を追いかけるあおいの姿を見たいだけ。

井の中の蛙かもしれないけれど、空の青さを知っている。
卒業文集であかねがそれを書いたことをもちろん、しんのは知っているから、しんのの最初のCDのタイトルは「空の青さを知る人よ」。
あかねへの恋文でもあるそれを、何も連絡がなくても、もちろんあかねは聞いている。

ねえ、歌って。
私を想いながら作ってくれた、それを聞かせて。
それを広めるために旅立つあなたを、笑って送り出したいのです。
後ろ髪なんか引かせたくないから、あなたの前で泣いたりしない。
しんのが去って、一人、階段で泣くあかねの姿はとても切なくて、あおいは改めて、あかねのしんのへの気持ちを知る。

蓋を開けてみればみんながとても深く想いあっていて、君の、夢を見ている時の、そのキラキラした瞳が好きで、だから、僕らは自分の気持ちにも蓋をして、ここで、夢を追いかける君を想っているね、と。
だから、愛の国、ガンダーラ。
こんなメッセージで、これが「あの花」とも被って、本当によかったです。

そして、周囲の皆さんの大人っぷりがいい。
(自分もそれぞれ彼らへ片思いしている反面、彼らの想いがはたから見るとわかるものだから、それを大事にしようという優しい眼差し)

特に、これを言わずとも全てわかっていて、しんのに対してまっすぐ、年齢差まで客観的に理解した上で「あおいが好きだ」と告げるツグが、もうめっちゃかっこよかった。(この人一番男前でしたね、すごい好き)

「おにぎり。今度は、こんぶじゃなくて、ツナマヨを作ろうかな」
と、自分もシスコンだったことを自覚したあかねが、しんのに告げるのも、すごく静かな告白でとてもいい。

エンドロールでちゃんと結婚していて、もう、しんの大勝利ですよね。
あんなにこじらせて、なし崩しに寝たらどうにか、モノになった気がして、自分も認められて、なんとかなるんじゃないかって。無茶苦茶な誘い方するくらい自信がないまま恋心を残してたのに、あかねが結婚もせずにしんのへの気持ちも変わらなかったのってラッキーだったんではないかと。

まぁ、あかねは、情に流されてみちんこの誘いを受けるような人ではないでしょうけども。あの2人のしんのが来なかったら、あかねはあかねでシスコンこじらせて、あおいとの仲も微妙だったのかもしれない。

村の誰にも言えないあおいの気持ちを、高校生のしんのが受け止めて、うまくこの片思いループが昇華していく様を2時間たっぷりかけて描いて。
しんのが現れた理由はこれだったのだと示しながら、大人たちへ「昔の自分の気持ちを見ないふりしないで」というメッセージを伝えているのだろうなぁと、思って、涙が出ました。

今後楽しみなアニメ

とりあえずツグが主人公のツグあおスピンオフが小説か何かで読めたらめっちゃいいなと思いつつ笑

直近ではとにかくアナ雪2が観たいです。

ヒロアカとかルパンも予告してますね。
今日初めて劇場予告を見れたFate stay night / heaven's feel #3も早く観たい

第一弾も第二弾もしっかり劇場で観たけれど、ああ〜やっと終わるぅうという気持ち。またAimerさんの主題歌でグッときちゃうんだろうな〜と今から楽しみです。

とりあえず「空青」はとってもおすすめ。
絵も美しく、あいみょんの歌も胸に響くので、この秋空の休みの日などに、映画館で見て欲しい。

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