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大阪デクショナリー1

大正区、港区、西区の大阪西部エリアを中心に、年に2回発行しているフリーマガジン「Lifes」の中で連載している、絶滅して欲しくない大阪弁を思いつくまま紹介しているマイ“デ”クショナリーです。


【あ行】

阿倍野 

天王寺と隣接する南部の主要ターミナルエリア。
キタ、ミナミについで大阪第三の繁華街と呼ばれるらしい。ここら辺は大胆に言えばハルカス以前、ハルカス以降で分けられる。
以前は天王寺は賑やか、阿倍野は静かみたいに僕らは例えていた。それがハルカスをメインとした阿倍野再開発が行われるようになってのんびりとした下町エリアは立ち退きなどで徐々に失われ、今はあべのキューズタウンがドドーンと完成。すっかり様変わりしたけれど、チンチン電車だけが阿倍野のノスタルジーを残してくれています。そのチンチン電車もリノベーションを施されずいぶんオシャレになってる。

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当てもん

くじ引きのこと。
 その昔、小学生や中学生がたむろしたり通るような界隈にはどこでも駄菓子屋があった。そこには駄菓子はもちろんだが、将来のギャンブル好きを育てるためか、売上アップのためか妙に射幸心をくすぐり煽る“当てもん”がたくさん揃えられていた。自分はスーパーボールくじが好きやった。あと、ベビーカステラが串団子みたいになっていて、串の一部が赤く染められてたらもう一本というのもたまらんかった。

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おったん

おじさん、おっさん、おっちゃんのこと。
おじさんには礼儀を感じ、おっさんには、少し卑下が感じられ、おっちゃんには親近感を抱く。ではおったんとは?正直、あまり日常では聞かない。上方落語の噺やナニワの喜劇王、藤山寛美が出ていた頃の松竹新喜劇の芝居でよく聞いた。年端もいかない子どもが突然、大人を負かしたり、諭したりする場合、おったんの方がしっくりきた。あと、落語の「桃太郎」も相手は父親だけど、おったんが本当は似合う。おっちゃんも言えない舌足らずな子どもが大人を負かすカタルシスにはおったんと言う響きがよく似合う。

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【か行】

かなん

大変の意。
病院の待合室、道端、電車で年齢を重ねた男女がよくこの言葉を挨拶がわりに使っている。「もうありとあらゆること、かなんねん」「わかるわぁ」「私、ヒザかなんねん、あんたは?」「私、目ぇかなんねん」と言ったやりとり。かなんからさらに深く具体的に聞こうとするのは無粋。“かなん”ですべてを察するのが関西人。


関東煮

おでんの関西的言い方。
元々は煮たり焼いたりした素材に田楽味噌を塗ったのがおでんで、関東煮は、醤油作りの盛んだった関東から大阪に伝えられ、おでんと区別するために名付けられたという(諸説あり)。あと、広東煮と書いているところも。関東煮という言葉はなぜか初詣やえべっさんに並ぶ屋台に合うような気がする。とろろ昆布などトッピングしたものより、練りからしが寿司の湯のみや丼鉢に入れられ、割り箸が突き刺さっているのをべったり皿に塗りつけて食べるのが好き。

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環状線

大阪駅から天王寺駅外回り、内回り合わせ19の駅からなる環状線。

東京の山手線と比べがちだけどここは独特の空気感を持っている。現在は発車メロディがその駅の特徴をイメージしたものになったり、駅舎が綺麗になったり、トイレが綺麗になったり電車両がリニューアルされたり、一駅ごとのドラマを作ったりと大阪環状線改造プロジェクトが次々と実施されている。それはそれでいいとは思うけれど、環状線のもっちゃりさもどこかに残しておいて欲しい。そういえば鶴橋駅構内にある立ち食いうどん屋さんには韓国冷麺があるのを見つけた時はさすがと思った(今はない)。

かんにん

謝罪の言葉。

と言っても形式ばった感じではなく、許してね~というフレンドリーな意味合いがこもっている。かんにんやで、ほんまかんにん、かんにんえ的に使うと、相手はきっと、もうしゃあないなぁ、そない怒ってないよという広い心になるはず。

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【さ行】

寒いぼ 

鳥肌が立つこと。
寒いぼの方が直接的で生々しい。しかも立つのではなく、出ると続く。寒いことこの上ないことにいぼが出るという、想像するだけでビジュアル的にショッキング。

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しばく

相手に対して暴力で制裁を加えること。
ま、暴力以前の威嚇やいなす言葉でもあります。もう一つは最近でこそ使うことも減ってきましたが、茶(喫茶)をしばく、牛(牛丼)しばく、かしわ(鳥=ケンタッキーフライドチキン)しばくと言った、飲んだり食べたりする時に使っていました。さすがにスタバしばく、パンケーキしばく、病院しばくは合わないと思います。


『せやねん』

そうだよって意味。
だが、関西人にとっては毎日放送で毎週土曜日、朝9時30分から12時54分まで生放送されている情報バラエティ番組のタイトルとして親しまれている。トミーズ司会で、一週間にあった事件など出来事をゲスさ満点のお金視点で取り上げたり、グルメや売れてるもん、若手や中堅の体を張ったロケもんなどのコーナーが関西人の琴線をくすぐるキーワードでくくられている。で、この番組が終わるとすぐに『吉本新喜劇』がオンエア。関西人の土曜日として完璧なルーティーン。

【た行】

たいたん

煮物のこと。
関西では親しみを込めてこういう。ただ言葉で発すると違和感がないのだけど、字で書くとなんだか違和感を感じていた。たいたんなのか、炊いたんなのか、煮いたんなのか。諸説あるけれど個人的にはひらがなで“たいたん”が可愛くて好き。

たぬき

誰がなんと言おうと甘だしで煮たお揚げさんが乗ってるそばは、大阪ではたぬきです。

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ダボ

アホとかよりももっとひどく汚い罵り。

自分が仕事でヘマをやらかした時に上司が「何しとんねん!このダボ!」と叱責された。怒られてることはわかったけれど、ダボが何のことかわからず、だけどどういう意味ですか?とその時は聞くこともできず長らくモヤモヤとしていたのだけど、後日、大阪の枚方から尼崎などで使われてる言葉と知った。

【な行】

なんぼ

いくらですか?の意味。
ただ貨幣価値だけではなく、あらゆる事象の物差しとしても使える便利な言葉でもある。ケンカ売る相手にはなんぼのもんやねんや、重さに対して目方なんぼ?距離にも。もちろん貨幣価値を探る時が一番輝く言葉。「で、なんぼなん?」「なんぼになるん?」「なんぼやったん?」「あれ、これ、なんぼ?」とあくまで相手の言葉を待つニュアンスだけれど、実は安くなるんやろねというプレッシャーも併せ持っている。

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虹のまち

千日前通り地下に設けられた地下街のこと。
現在はなんばウォークという名前に改称されている。1994年までは虹のまちと呼ばれ、個人的にはこちらがマーキングされている。「♪お~さかミナぁミのぅ虹ぃのぅまち」というCMソングが今も耳に残っている(日吉ミミが歌っていた)。大阪の地下街の充実ぶりは昔から。そして噴水があちこちにあったのが子ども心に好きで、噴水の水でびちゃびちゃになって服を濡らして怒られたこと覚えてます。

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ぬくい

暖かい温かいの意。
さぶいの反対語。部屋入れば「ぬくいわぁ」ジャンパー羽織れば「ぬくいわぁ」うどんすすれば「ぬくいわぁ」。関西を代表するほっこりする言葉だと思います。

【は行】

ぱちもん

ニセモノの意。

関西人は潜在的にぱちもんが好きなような気がする。わざとぱちもんを購入しては自虐的になっているような気がする。ま、話のネタにもなるし、みたいな感覚。しかし、ことブランド物に関してはぱちもんに対して厳しい。安もんのぱちもんには優しいが、高もんのぱちもんには自虐的にはならないんやろな。

へてから

それでねという意。
老人たちが話を変えるときや続ける時によく使っていた。あとは落語家さん。ほてからとも言う。

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ひらパー

枚方市にあるひらかたパークという遊園地のこと。
現在営業している遊園地としては日本最古だそう。USJがオープンしてからは客足が減り経営危機も噂されたものの自虐的なアイディアと発想の転換でいかにも大阪らしいユニークな展開を繰り広げ、客足が伸び人気の遊園地となっている。ひらパーのイメージキャラクターは地元出身のV6の岡田准一である。ちなみに自分は2017年に「三文芝居」というフラッシュモブアトラクションの構成と演出をさせていただいた。お客さんが突然園内で起こる三文芝居に参加し、最後は踊るという狂った内容。よくやらせていただいたと感謝してます。

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ブラック・レイン

1989年に公開されたアメリカ映画。
監督は『ブレード・ランナー』などのリドリー・スコット。出演はマイケル・ダグラス、高倉健、松田優作、アンディ・ガルシア。日本とアメリカの刑事が協力し、ヤクザと戦うという話。この映画の目玉はなんと言っても大阪が舞台ということ。今はもうない大阪の景色が、まるで『ブレード・ランナー』のような映像で収められている。まだ見てない人は必見。キリンプラザ大阪や、阪急の荘厳なコンコースはもう幻。

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【ま行】

マクド

マクドナルドの略名。
東京はマックで大阪はマクドって言うよねという、こすり倒したあるあるの代名詞。アクセント的には上がる。中田カウス・ボタンを略した時のカウボや、お尻の関西弁おいどもマクドと同じ。

真っ赤いけ 

赤いこと。
「ビール乾杯しただけやのに顔真っ赤いけやな」みたいな時に使います。

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『魔法のレストラン』

毎日放送から毎週水曜日夜7時からの放送されているグルメ番組。
ものすごく贅沢に出演者を使って、そんな無理から取材せんでもいいん違うの?ってお店まで取り上げてる。大阪の繁華街、環状線内のエリアではあらゆる店に番組名のステッカーと水野真紀のサインが貼られてる。

【や行】

『やすよともこのどこいこ⁉︎』

テレビ大阪で毎週日曜日の午後3時から放送されているバラエティ番組。
女流漫才師の海原やすよともこが司会で毎回パートナーと関西のあちこちのショッピングエリアなどを中心にあーだこーだ言いながらひたすら買い物をするという内容。ここで取り上げられた商品が主婦などの間でバカ売れするという現象が。やすともの薦めるもんに間違いなしという絶大なる信頼感が寄せられている。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

2001年に西区、港区に隣接する此花区にオープンしたテーマパーク。
略してUSJ。最初はアメリカの映画をテーマにしたアトラクションが集まった物だったが徐々に日本のアニメなども取り入れ、今では独自の進化を遂げており、ディズニーランドやディズニーシーとはまた違った世界観が凝縮されている。ところどころゆるい感じも、大阪にあるテーマパークといった趣。

よう言わんわ

なんとも言えないの意。

ブギの女王・笠置シズ子が名曲『買い物ブギ』で「わて、ホンマによう言わんわ」と言ったのははるか遠い昔。しかしよう言わんわと言う言葉は今も確実に生きてる。相手に対するツッコミであり、自分に対するツッコミであったり。よく言うよ的な意味も。

【ら行】

ラジオ大阪

港区弁天町にあるAMのラジオ局で正式名称は大阪放送。
設立は1958年。その昔、『鶴瓶・新野のぬかるみの世界』というこれぞ関西やんというもっちゃり下世話な深夜番組があり、それを録音しては何度も聞いていた。今もラジオは好き。特に関西のAMラジオは連綿と続くもっちゃり下世話感がちゃんと溢れているのがいい。
ら抜き言葉関西弁は諸説あるようだが、ら抜き言葉の発祥らしい。
食べられるは食べれる、出られるは出れる、帰られるは帰れるなどなど。日本語の乱れのひとつと、一時はら抜き言葉に気をつけようといわれたりしていたけれど最近はあまり聞かない。特に関西はら抜きに対して寛容かも。が、書き言葉になると気持ち悪い。幼い感じがする。自分も文章を書くときはら抜き言葉には気をつけている。

冷コー

冷たいコーヒー。
アイスコーヒーのこと。注文するときアイスという人が多くなった今、冷コーをいう人は貴重な関西人である。とはいえ、分煙・禁煙なんて知るかとばかり、今もガンガンタバコを吸っていいような純喫茶にはしっかりこの注文は根付いている。しかもすでにシロップやミルクも混ざてあるバージョンの冷コーもしっかりある。足を組んでスポーツ新聞を読みながら、時折思い出してはストローでチュウチュウ吸い飲む姿は冷コーという響きが似合う。スタバやタリーズなども関西限定で冷コーを根付かせればいいのにと思う。

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【わ行】

わて

自分自身のこと。
主に年齢を重ねた女性が使う。他にもわたい、あても同様。
若ごぼう根を食べる普通のごぼうとは違い、根・軸・葉まで食べることができる八尾の特産野菜で繊維質が多いのが特徴。
出荷されるときは矢を束ねたように見えることからやーごんぼと地元八尾では言われているそう。大阪の人は若ごぼうが好きな人が多い。炊き込みご飯にしたり、豚肉と炒め煮にしたり、薄揚げとたいたり。ちなみに旬は春。



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