ヒキガエルの変容
葡萄の液で十分に満たされたヒキガエルの内臓は真鍮色になり、苦しみと痛みのため、器官はすべて膨らみ始めた。
その後、毒を持った腸の内部から、ヒキガエルは「毒」を吐き出した。
毒の汗をしたたたらせながら、秘密の巣に帰った。
巣である、「ほら穴」には煙が立ち込めヒキガエルはすっかり「白く」なった。ヒキガエルの体からは、「金色」の体液が流れ出、土を「赤い」色で汚した。そして・・・ヒキガエルの息遣いは力を失い始めた・・・。
死にゆくヒキガエルは、まもなく「石炭」のように「黒く」なった。毒液に満ちた自分の血の中で、ヒキガエルは溺れ、八十四日間、変化していった
この「毒」の変化こそ、我々が求めていたもであったとは!
驚くべきことが起こったのである。
あとで回想すればするほどに。驚くべきことが・・・変化の過程でばらばらになったヒキガエル・・・ばらばらの体から新しい「白」が表れたのだ。「白」が。その後、赤く色づいて、永遠に続いた・・・そう、永遠に。
その思想はシェイクスピアの『お気に召すまま』(As You Like It)という作品にも見つけることができる。
甘美は逆境から
逆境の御利益というものは、
すばらしいものだ
直訳:
失意、逆境ほど身の為になるものはない。
それはあたかもひき蛙のように醜く、毒を含んではいるが、
頭の中には貴重な宝石を宿しているのだ。
土は純金、そしてその魂も純金である。
ただの純金ではなく、四大要素の金である。
一番安いものを選べ
詭弁家、屁理屈屋には言わせておけ。そして、私の忠告に従うのだ。
裏切られるな。真実はたった一つしかない
これは賢者の石で、どこにでも在る物ではない
石は、一見、汚く見える
そして、明らかに、それは土星の産物で
安っぽいが、その毒の力は偉大である
冷たく、熱を持たない物質である
錬金術の最初の過程(浄化)では「ヘビ(serpent)」と呼ばれ、それから「ドラゴン」、その次に「緑の獅子」と呼ばれる。これらは強い体力と生命力を持つゆえに、腐敗によってその毒はいっそう強くなり、しまいには毒を持つヒキガエルとなる。一方、これらの動物達は、「偉大なる業」の過程を象徴するものと考えられる。これらの動物は『The Crowning of Nature』の原書では以下のプレートに登場する。
緑の獅子 7-8
ヒキガエル 17-18
ペリカン 37
サラマンダー 41-55, 58
天使・賢者の石 66-67
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