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11.ペルー・オルテギア

どんな道を歩もうとも、駆け出しの若者にできることは何度も失敗すること。量より質を問うことができるのは熟練の達人のみであり、未熟者は質より量をこなすのみである。今回はペルー・オルテギアを深煎りに。気温は20℃と春の陽気、焙煎の進むスピードは早くなりそうなので、火加減をいつもより弱めて、中火で焼き始め。1ハゼは8分40秒あたりから、火加減の調整からかイメージより少し遅めの1ハゼ。12分30秒あたりまで続く。1ハゼからまもなく、2ハゼが始まる。ストップウォッチは13分40秒を示す。深海は暗く狭く冷たい。微かに見える光の方へ、呼吸を忘れて潜る。もう少し、もう少し。空気を求めて陸へ上がったのは19分10秒あたり。見た目はイメージより深く焼けすぎた印象。見た目通り、強い苦味がしっかり出ている。若干ナッティーな味もあり、味のバランスが良い豆なんだと思う。中煎りから中深煎りの間にできると味わいが良さそう。すべてイメージだけど、イメージしないことには生まれないものもある。もちろんイメージしないから生まれるものもまたあることはたしか。深く潜ることはできるが、暗く狭く冷たい深海で追い求める味を見つけ手にするのは容易ではない。潜り続けるしかないのだ。

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