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8.ケニアAA

アフリカの豆を焼きたくて、今回はキングオブコーヒーを深煎りに。休みの日に珈琲豆を焼く意味なんてなくて、あるのは珈琲への愛なんだ。何十年後の未来は見えないけど、きっと明日も珈琲豆を焼き淹れていると思うし、少なくとも今は珈琲豆を焼いている。それでよい。気温は19℃と、キッチンも春の陽気で充満している。火加減は、いつも通り強火で始める。1ハゼは、6分20秒あたりから始まる。換気扇の音を止めるように、ブチッと鈍く太い音が響く。今までにない音で、何かはわからないけれど、でもたしかに何かが始まろうとする音が、焼き始めから9分くらいまで続く。豆たちは緑色のコートを脱ぎ捨て、茶色い素肌を見せ始める。2ハゼは、13分20秒あたりから始まる。いつも通り変わらないように見える日常も日々少しずつ変わっていくように、豆も中深煎りから深煎りへ変わらないように見えて、しかし確かに変わっていく。焼き止めは、前回までの深煎りよりは早めの16分30秒。季節の変わり目は、焙煎の変わり目でもあるのだ。さすがキングオブコーヒーと言わんばかりの、重厚なコクとキレのある苦味。未熟者の焙煎でも、それなりに味が出てくれる。それでも、まだまだ。深く焼いても、豆本来の果実味を消さずに、生かしたい。道は長い、気楽に行こう。

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