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一手で成功は作れないが、たった一手間違っただけで崩壊させることはできる

昨日、将棋の王位戦第3局がありました。
結果を言うと、藤井聡太王位の勝ち。これで2勝1敗。
7番勝負ですから、あと2勝で永世の称号を得ます。

ここ数年、藤井7冠が世に出てきてから将棋を見るようになりました。

意味はわからないですが、AIの登場でどちらが優勢だとか、次の手はどれが悪手かがわかります。

僕は昔から「めちゃくちゃ将棋が強そう」と言われてきました。なぜだかは分かりません笑  シンプルに強そうらしいです。

でも端的に言って「めちゃくちゃ弱い」です笑
コマの動きがわかる程度。

最近、藤井さんの将棋を観戦する習慣がついてから、色々勉強してわかったんですが、

「なるほど。定石を覚える」というのがとにかく第一歩なんだなということ。

先人がこれでもかというほど試行錯誤をして世に残ったものが「定石」なのですから、そこをまず学ぶのって、当たり前だよなと思うのです。

基礎的な学習を一通りしてから、オリジナリティのある学びや理論に発展する…当然のことです。

で、定石がある程度頭に入って、見てると、

「勝ち」に持っていくためには、何十手も正しい道のりを進まなければなりません。

序盤、中盤と適当にやっていて、最後なんとなく勘で最高の一手を打ったら勝ちました!なんてことは絶対にない。

積み重ねに積み重ねて、全ての駒とのパートナーシップを築いて、盤面に展開し、意図を持って網を作り上げる。

しかし、重要な局面で、敵の誘いに乗り、あまり考えずに一手を打ち込むと、それまで積み重ねてきたものが全て崩壊する。

99%勝ちに傾いていたのがたった一手で、全てが崩壊し、負けの筋が見えて(そして、同時に、考えて、普通にしていれば勝っていた道筋も見えて)、激しい後悔と共に頭を掻きむしることになる。

将棋のタイトル戦をみていると毎回のようにどちらかの棋士がそんな姿を見せます。

本当に恐ろしい光景です。
何時間も徹底的に思考してきたのに、(それが長時間になったからこそ?)一瞬緩んだ瞬間にもう取り返せない絶望に包まれている姿。

先日の超RIZIN3での朝倉未来選手もそうです。
ほんの一瞬、ゼロコンマ数秒の判断ミス、対応ミスにより、これまで積み重ねてきたことが崩壊する瞬間をみせられた気がします。

逆に言えば、「それまで積み重ねてきて栄華を極める」という状態になっていたらまだ良い方なのかもしれません。

ほとんどの人は、「定石すら知らず」に、「将棋わからん、難しい」とか「興味ない〜」とか、「痛そうだからやらないー」となっていて、「強い」とか「凄い」がなんなのかという感覚もわからないまま、基本的には悪手を繰り出し続けているでしょう。

こういう姿をみて、「本当に一手を大切にしなければ」と思うと共に、すくなくとも「考えない」ということはしないで生きていかないと…と思いました。

考えずに、なんとなく打った一手が悪手で全てが台無しになるなんて耐えられないですから。

考えに考えて出した一手ですら頭を掻きむしるほど後悔するのですから。放心状態になるのですから。

基本的に「取り返しはつかない」のですが、その一手に向き合って、新しく積み上げ直す…ということはできる。そう信じる力も負けた棋士の皆さんや格闘家からの姿から見せてもらうことができます。

真剣勝負って最高ですね。






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