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僕の夢物語4 幸運なる日々2

 5月のゴールデンウィークを間近に控え、僕は、九州へ向かうフェーリーの船上の人となっていた。
 4月も下旬になると暖かさから暑さを感じる季節になってくる。
 船上では潮風が心地良く頬をなぜ髪は大きくなびいている。
 四国から九州へ、段々に別府港につながる九州の山並みが近づいてくる。
九州に来るのは久しぶりである。
 子どもが小さかったころ、阿蘇山の麓にある猿劇団に行ったり、スペースワールドやサンリオハーモニーランドなどの遊園地に行ったりしていた。
 今回の目的は、福岡県の旧友の山本とのテニス交流である。
 有難いことにたくさんのテニス仲間を誘ってくれていた。簡単なテニス大会も企画してくれていて、山本と久しぶりにペアを組んだ。
 少しふくよかになった山本ではあるが、15年が経ってもプレイスタイルは変わっておらず、フラット系のストロークプレーは健在だった。
 当然にというかお約束通り、山本と僕のペアが優勝させてもらった。
 飯塚市の山本の友人たちと一日テニスゲームを堪能した。
 夜には彼の行きつけのスナックで夜遅くまで酒を飲み交わし旧交を温めた。

 飯塚市での楽しみがもう一つある。
 オートレースである。
 オートレース場は日本に5か所あるが、飯塚オートレース場は、開設されて65年になる。
 10年前まで飯塚市が直営で運営していたが、赤字に陥り、民間委託され運営されている。
 飯塚市直営の頃には、山本も運営管理者として3年ほど勤務したことが有るとのことだった。
 そんな山本と連れ立ってオートレース場を訪れた。
 数年前に改築されたとはいえ、もともと彼の管理していた施設だったので、微に入り細に入り、十分すぎる案内をしてもらった。
 ロイヤルスタンド4階エグゼクティブルームを借り上げ、ビールを飲みながらのオートレース観戦だ。
 エグゼクティブルームは3万3千円もする席料だったが、絨毯敷きの10席ある部屋は広々としており、2人だけの観戦とはまさに豪勢に過ぎたが、値段以上の価値があった。
 僕は、初めて間近に見るオートレースの迫力に引き込まれ、その熱気に興奮していた。
 レース情報を見ていると、第7レースに愛称女神という女性ライダーがいた。
 顔写真を見て驚いた。私の夢に見た女神に実によく似ていた。7番人気となっていたが、迷わず、彼女の車券を買うことにした。
 しかし、単勝というのも気が利かないので、彼女の前後にエントリーしているライダーの3連単を買うことにした。
 パチンコで稼いでいた軍資金も裕福で有ったので、3連単を50万円購入した。
 流石に山本は驚き、そんな無茶はやめた方がいいと止めてはくれたが、所詮あぶく銭である。無くなってもともとの金である。
レースは、8人の選手によって争われた。
 序盤から女神のマシンは好調に先行し、その後ろを名簿の前後のオートバイが追走する展開になっていた。
 まさに私の予想した3連単の順番である。このままいけば、大当たりである。
 手に汗握るというのはこういうことか。
 1周500メートルの周回レースも最終の6周目に入った。依然として、女神が先行し、その後ろを名簿前後のバイクが続いている。
 果たして、ビギナーズラックというか女神のおかげというか、レースはそのまま終了した。
 3連単で高額の配当となった。
 配当は30倍近くついて、一千万円を超える払い戻しがあった。
 友人は殊の外驚いたが、私はさほど驚くこともなく、最近の幸運からすれば当たるべくして当たったと超然としていたが、レースの興奮は言葉にならないものだった。

 飯塚市から帰って、取り敢えず、一千万円が入金されているか確認することにした。
 ネットバンキングにアクセスし、残額を確認して驚いた。
 新たに一千万円は入金されていたが、残額は2桁違っていた。
 流石に驚いて、詳細を見てまた驚いた。
 なんとクラブトトから12億円が振り込まれていた。
 退職の翌日いたずらに購入したメガビッグ宝くじが一等当選していたのだ
 流石にこれには驚いた。
 3千円が一気に12億円になっていた。
もはや金額の概念がなくなっていくようだった。
それもそのはずである。
ついこの前まで、40年働き続け、稼いだお金が2億円。
年間所得が良い時で700万円のサラリーマンが、いきなり12億円を超す大金を手にしたのである。
 驚くほかないが、幸運はまだまだ続いていた。

僕の夢物語4 幸運なる日々3 に続く


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