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僕の夢物語 理想の町2                         ~変わりゆく夢野市1~

 吾一は、夢野市にネット販売の会社だけでなく、配送や製造を行う会社も設立し、夢野市に進出した企業の雇用は1,000人を超え、夢野市では1,2を争う企業としてその活動をスタートさせた。
 経営は順調で、更に、会社の規模を大きくし、CM撮影用の会社まで設立し、経営規模を拡大していた。

 一方で、彼を慕ってくる優秀な人材を重用するとともに、意欲のある者には夢を後押しし、ベンチャー企業を次々に誕生させていった。
 新たな分野へも次々に進出し、電気機器の製造や自動車部品の製造などあらゆる分野の工場や企業を驚くほどのスピードで設立し、ことごとく成功させていた。
 その根底にあるのが、想像できないほどの潤沢な資金であろうことは言うまでもないが、それ以上に、彼のもとに集まってくる人材によるところだろう。彼らが新たな事業を立ち上げ、また新たな資金を作り出すという好循環に支えられていた。
 
 吾一は、市外から彼を慕ってくる人材はもとより、積極的に地元の人材を登用することを考えていた。
 地元の高校から毎年数十人を雇用し、都会の大学に行っている夢野市出身者を中心に近隣市町村の新卒大学生を、百人単位で雇用し続けた。
 過疎の進む町にあって、吾一の会社だけは、若者があふれ活気に満ち溢れていた。
進出して瞬く間に、夢野市だけで5,000人を超える企業グループとなり、市の人口の五分の一が吾一の企業に雇用されるといった状況になった。
 その結果、夢野市の産業構造は大きく変わり、漁業や農業を中心とする一次産業の町から巨大なコングロマリットの統治する町へと変貌していった。
 
 豊かな海のある夢野市は、かつて養殖漁業を中心に漁業は活況を呈していたが、後継者不足もあり、衰退の一途をたどっていた。
 吾一は、漁業に対しても、多大な投資を行い、これまで行われていたタイやはまちなどの養殖業者を買収し、企業として、マグロやカンパチなど高級魚の養殖も手広く始めた。もともとの素晴らしい環境に新たな経営ノウハウが投下され、あっという間に、かつての活況を超え見違えるような企業の一員としての業種に変容していった。
 漁業の分野でも吾一の企業が夢野市の産業を独占する状況になっていった。
 
 漁業だけでなく、農業や林業の分野にも積極的に進出し、零細農家をどんどん組織していき、企業組織として農家を再編し、農業公社を次々に立ち上げていった。 
 夢野市の山々に造林されたまま放置されていた木々も山とともにまとめて買い上げ、間伐もされないまま放置されていた木々に手が入ることとなった。
 林業分野など、直ぐに経営が成り立つ業種ではないが、潤沢な財力を背景に、林業従事者を手厚く迎え、将来の投資として、林業分野でも虎視眈々と事業を進めていった。

僕の夢物語 理想の町3 ~変わりゆく夢野市2~ に続く


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