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メルキド出版
2020年8月12日 06:57
1 僕は鋭く尖った小石を、あたう限りの力で女に投げつけた。憐れみをかけることもなく頭に命中したその投石は、首をガクリと傾げた女になんの反応も起こさなかった。僕はがっかりして、用意していた数個の小石を地面に落とした。野良犬が、動かなくなった女に何度か吠えた。 町はずれの処刑場の参加者たちは、とっくに興味を失って誰もいなくなっていた。行刑官が囲いの中に入って、壁から鎖で垂れ下がった手枷を外し、