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メルキド出版
2020年2月27日 14:50
「もっと明るく」 ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (高橋義孝訳) Ⅰ 一九九八年四月のある日、彼は寝不足のままロフトから降りた。備えつけの冷蔵庫には麦茶しか入っていないので、当然のようにサンダルを履いて、駅前まで川沿いを歩いて食べに出かけた。気分は最悪だった。さいきんの外食ばかりの下宿浪人生活は、初めは楽ちんだったが、そのうちあまりにも非効率