見出し画像

眠ったまんまの可能性を解き放とう 【週刊新陽 #44】

「ヤンキーインターン」などを運営する株式会社ハッシャダイをご存知ですか?

中卒高卒の若者のキャリア支援サービスを行っている企業で、メディアでも取り上げられているので聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

そのハッシャダイから教育機関向け事業をスピンオフして一般社団法人HASSYADAI.social(ハッシャダイソーシャル)を設立した、勝山さんと三浦さんが会いに来てくれたのは昨年12月。

このご縁を繋いでくれた体育科の佐藤貫太先生は2年生の担任で、生徒たちに『出会いと原体験』を用意するためいつもアンテナを張っているアクティブな先生です。

画像4


社会が抱えている問題はすべて解決できる

1月27日、ハッシャダイソーシャルの三浦さんが、特進コース3年生に特別授業をしてくださいました。

画像2

「卒業を間近に控えた生徒たちの背中を押してくれるような方にお願いしたい」という担任の小熊あずさ先生の相談を受けたのが、三浦さんたちが新陽高校に来てくれた直後。すぐに依頼の連絡をしたところ即OKくださって、この授業が実現しました!

「可能な限り双方向で実施できれば」とご提案いただき、事前にnoteを読んで質問を準備しておくスタイルになりました。

▼三浦さんのnoteはこちら

こんな文章で始まります。

このnoteは愛知県の田舎で育ち、高卒で工場で作業員をやっていた僕が、コネクションゼロの状態から、東京のベンチャー企業に入社し、念願だった教育事業を立ち上げるまでの話を書いたものです。これから学歴を超えて自分のやりたいことに挑戦したい人、また学歴問わず自分の好きなことを仕事にしたい、夢を叶えようと頑張っている人へ、何かのヒントになったら嬉しいです。

まさに、社会に出て次の挑戦に向かおうとしている生徒たちへヒントをたくさんくださった、素敵な授業の様子をレポートします。

***

はじまってすぐ、まっ黒になっているzoomの画面に向かって「みんな顔見せてよ〜。こっち顔出してるのに見せてくれないのズルいやん!」と、テンション高めな三浦さん。

その声に応えて、一人、また一人とカメラをオンにする生徒たちに「〇〇さん、ありがとう!いいっすねー。あ、〇〇さんも!ありがとうございます!」と嬉しそう。あっという間に和やかな雰囲気になりました。

「あのnoteは他人に読まれることを前提にカッコつけて書いている部分もある。今日は、ほんまはどうなん?というところを直接話せればと思ってます。」と、まずは自己紹介とハッシャダイソーシャルの説明をしてくれました。

今の社会は多くの問題を抱えている。
でもそれらは全て解決できると思っている。
なぜなら、現代の日本社会は可能性をまだ眠らせているから。

小さきリーダー、ヒーローたちが、ワクワクして自分が持っている可能性を活かすことができたら、この社会はもっとよくなる。

だからハッシャダイソーシャルは、その「可能性」を迎えに行く活動をしています。

画像6


noteにも書かれていないホンネの話

10分も経たないうちに「やっぱり一方的に話してるのはちがうなー。みんなが聞きたいことを喋っていくスタイルにさせて。」と言うと、「不安なことがあるとしたら?」との質問に「自分に自信がない」と答えた生徒に声をかけました。

コミュニケーション力が低く友だちを作るのが苦手、と話してくれたその生徒は、これから新しい土地でゼロから人間関係を作っていくことに不安を感じているようでした。でも、自分と違う考えを聞けるので友だちはたくさんいたほうがいい、作りたい、とも思っているとのこと。

三浦さんは、「同じようなことに不安を抱えてる人もいそうだね。ところで、自信ってなんだろう?」と自分のエピソードを話し始めます。

僕もかつて自信なんてなくて、中学を卒業して寮生活していた時にいじめられたこともある。その後、いろいろな仕事をしたり海外に行ったりしたのは、自信を持てるようになったから行動したわけじゃない。やりたい、やるしかないと思ったら、行動してた。

僕は、「自信がないと言えている時は、自信を持たなくても問題ない時。やっていないから自信がないだけ。」と自分に言い聞かせるようにしている。

その力を使ったことがないだけで、本当はその力を持っている。だから新しい環境でやらなくちゃいけない場面になったら、きっとコミュニケーションできる。ぜったい人と関係を作れるようになる。

まずやってみてから考える。そうすれば、自信のある・ないとは関係ないところに行ける。自信がないと言って一歩踏み出さないことほど、もったい無いことはない。やりたいと思っていることにはぜひ一歩踏み出してほしい。


noteにも書かれていた、寮で周りから避けられるようになった経験について質問した生徒もいました。

三浦さんは、「自分でもなぜいじめられたか分からない。明確な理由はたぶんないんだと思う。昨日まで普通に喋っていた人が急に距離を置くようなことが、波のようにじわじわと広がっていった感じだった。」と話した後、「自分で思い当たることがあるとすれば・・・」と続けました。

僕は、ここで頑張ろう!と学校に入ったので、がんばっていない人が許せなかった。「ちゃんとやろうぜ!」などと言っていたのがウザかったのかもしれない。自分の当たり前は相手の当たり前ではないことに気付き、一人ずつ話をしていった。

その時の学びが、今、生きている。自分の期待を他人に押し付けることの暴力性、そして、加害者の被害者性を知ったこと。

みんなも社会に出ていくと、理不尽なことで叱られたり悪く言われたりすることがあるかもしれない。どう考えても相手が悪いと思っても、その人も誰かの被害者かもしれない、と想像してみてほしい。「もしかしたら、この人も何か嫌なことがあったのかも」と見えない部分を想像する力を持つと、人間関係が少しラクになる。いろいろな人と一緒に生きていくことができる。
そうやって想像できる人が増えるといいな、と思う。

すると、「その、見えない部分を想像することが苦手。相手のことを考えると、相手が自分のことをどう思っているか考えすぎてしまって、うまくできない。コツはありますか?」という質問が出ました。

まず、「自分は相手のことを分かっていない」ということを分かること。そこから始めることが大切。あなたはこういう人でしょ、という決めつけから入るとうまくいかない。

たとえば「少年院にいました」という人をどう思う?
それだけで怖いと思うかもしれないが、どうにもならなかった、周りに助けてくれる人がいなくてやってしまった、という人もいる。

相手の気持ちを想像し、見えているものだけでなくその先を考える力を持つためには、いろいろな人と話す、いろいろな人生を知ることが有効。

そのために旅に出ることと、本を読むことはお勧め。知識が増えると、いろいろな人のモノの見方があることが分かり、少しずつ想像力が広がると思う。


他にも、

・カンボジアに行った目的は?
・訪れた中で一番良かった国は?
・三浦さんの行動力はどこから?
・お肌がきれい・・・どんなスキンケアしてる?

など質問は途切れなかったのですが、一つ一つ丁寧に答えてくださいました。

「もしも余命1ヶ月だったら何しますか?」という問いには、「大量のビールをカバンに詰めて、日本全国各地これまでお世話になった人に会いに行って乾杯する!」と即答。

皆さんに話をすることになり、一つだけ必ず伝えたいと思ったのは「友だちを大事にしてほしい」ということ。

友だちや家族がいない人生は寂しいと思う。僕はいろいろなものを切ってきてしまって、それは自分の反省でもある。だから勇気を持って友だちをつくってほしい。

お話の中でも「何もない自分がここにいるのは人とのご縁があったから。」とおっしゃっていましたが、三浦さんが、人との出会い、人との縁を大切にしていることが伝わってくる回答でした。

18歳のみんなへ伝えたいこと

最後に、三浦さんから生徒たちへ。この日の授業に向けて「18歳の自分に、今、伝えられることがあるとすればなんだろう」と考えた言葉を贈ってくれました。

迷った時は、「正解を探す」より「本当を探る」ことを。》

「これから社会に出て、迷うことはたくさんあると思う。どっちが正解か悩むかもしれない。その時は、自分の本当はどちらなのか、自分の中の本当を探ってみてほしい。みんな自分の中に答えは持っているから。
この社会にたった一つの正解はなくて、自分の本当(の気持ち)を正解にしていくことが大事だと知っておいてほしい。」

やりたいと思っちゃったことには全部、意味がある。

「自分のやりたいは自分だけのもの。自分が「やりたい」と思ったのなら、ぜんぶやってみたらいい。行きたいところには行くといい。
日本の教育を受けていると「やりたい」と口に出す経験があまりないかもしれないが、やりたいことを口に出すといい。
そして、社会の役に立つことをやろうとしなくていい。結果的に役に立つから心配しなくていい。いま、自分のやりたいことを。」

人を、大事に。

「人生の時間には制限がある。その中で出会える人は限られている。だからいま自分が出会っている人を大事にすること。
そして人を大事にするには、自分を大事にしなければ。まずは自分を大事に。自分がご機嫌でいられると人のことも大事にできると思う。」

人生は、選べる。

「これからみんなは自分の足で生きていくことができる。自分で選べる。
目の前のことがつまらないとすれば、自分がつまらなくしている可能性がある。自分はつらいと思いながら働いていたが、それを「楽しくやる!」と決めたら変わった。どうやったら目の前のことを楽しくやれるか。楽しい方を選ぶ力が人間にはある。
みんなも、自分の人生を自分で選び続けてほしい。」

スクリーンショット 2022-01-27 11.27.45


先生が最後に届けたかった「出会い」

2時間の特別授業のあとに生徒たちが書いた感想を読ませてもらいました。以下ほんの一部です(みんな、たくさん書いてくれていました)。

〜〜〜

自分の可能性を応援されている感じがして、とても気持ちがいい講演でした。

自分の好きなことをしてる人はかっこいい。

人生を変えることにおいて大切なことは、自分の気持ちに向き合うことと、行動力と素直さだと感じた。まずは自分のやってみたかったことを思い切ってやってみようと思った。

三浦さんは自信があってやりたいことがあるからいろんなことに挑戦したりしているのかと思ったけど、自信がなくても行動はできるということが分かり、少し自信がわいた。

まず自分を大事にすることから始めたい。

大切な友だちには、「あなたを大切に思っているよ」という気持ちをしっかり伝えるようにしている。今日、話を聞いてやっぱり大事なことなんだ、これからも大切にしていこう、と思いました。

今後辛くなったり、諦めたくなることがあったとしても「楽しむ」ことを忘れず自分の目標に向けて頑張っていきたいと思った。

〜〜〜

三浦さんの話を聞いていた生徒たちの進路先は多様です。大学入試を控えて受験勉強中の生徒もいます。そしてどの生徒も、北海道内外の大学・専門学校・就職先など、それぞれの選んだ道へ進んでいくことになります。

今回の特別授業は、「まもなく旅立つ生徒たちへ、学校が最後に届けられる出会いを通して背中を押したい」というクラス担任の小熊先生の願いから生まれました。画像4

終了後、生徒たちの感想を報告しに来てくれた小熊先生によると、この授業に先立って一人ひとり高校3年間のモチベーションがどのように上下していたかを振り返るワークをしたそうです。

自分の3年を振り返り、これから先のことを真剣に考えていた生徒たちだからこそ、なおさら三浦さんの言葉に感銘し、三浦さんの生き方から勇気をもらったのではないかと思いました。

3月1日の卒業式まであとわずか。『本気で挑戦する人の母校』として、最後の最後まで生徒たちを『本気で応援』していきます。

【編集後記】
感想で、「間違いなく新陽高校は自分が今まで通ってきた学校の中で一番良かったので、大学ではもっと充実した学校生活が送れるよう努力したい。」と書いていた生徒がいました。新陽での高校生活が充実していたと思ってくれているのも嬉しかったですが、次のステップではそれ以上を目指しているという挑戦マインドに頼もしさを感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?