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新しい学校をつくろう!高校リーダー研修 【週刊新陽 #134】

11月4日〜5日の週末、札幌大学 SUcoleの講義室をお借りして生徒会役員のリーダー研修を行いました。

新陽高校では毎年、新執行部の立ち上げ期にリーダー研修を行うのですが、今年度は生徒会担当の号刀(ごうなた)悠貴先生のアイデアで、他校の生徒さんとの協働企画や学校の枠を超えた先生同士の交流も組み込まれました。

中身の濃い2日間となった今年のリーダー研修をレポートします!

札幌大学のSUcole、素晴らしい施設!
いつも使わせていただき有難うございます。

新陽生徒会リーダー研修

1日目は、新陽の第65期生徒会役員生徒と教員で以下のプログラムを行いました。

  1. チェックイン&自己紹介

  2. ファシリテーション講座

  3. 旧生徒会から「しくじり」引き継ぎ

  4. ソーシャルスキル・トレーニング

あいにくインフルエンザの流行と重なって欠席となってしまった生徒もいましたが、新執行部のメンバーが集まり、役員としての自覚を持つと同時に、「生徒自治」を目指して進む1年間の土台づくりに取り組みました。

チェックインではゲームを介してお互いの価値観を知ったり、ソーシャルスキル・トレーニングでは合意形成の難しさと大切さを学んだり、「なぜ生徒会役員になったのか」「生徒会執行部としてどんな学校にしたいのか」、それぞれの考えを深め、お互いを知る機会になりました。先輩たちからのしくじりエピソードも1年生にとっては貴重なアドバイスだったようです。

1日目の終わりのリフレクションでは、川崎先生からフォロワーシップの大切さについての動画が紹介され、あらためてリーダーとは何か、という問いが投げかけられました。

最後に号刀先生が、新陽ビジョン2030『人物多様性』に触れ、「ムラとムダがイノベーションをつくる。人物多様性はまさにムラとムダ。生徒自治を牽引するみんなには、違う意見や一見遠回りに感じるようなことに対して、共感し理解しようとするスタンスを持ってほしい。」と話しました。

1日目を振り返る号刀先生と執行部生徒たち

本気のファシリテーション講座

初日のプログラムで、生徒たちがおそらく一番刺激を受けたのは本間正人先生によるファシリテーション講座です。

リーダー研修を行うにあたって「生徒たちにファシリテーションを学んでほしいので講師の先生を紹介してもらえませんか」と号刀先生から相談を受け、これは本間先生しかない!とご相談すると、新陽生徒のためならと快諾いただきました。当日生徒たちが本間先生とやりとりする様子を見ていましたが、グループコーチングセッションとも言える、なんとも贅沢な1時間でした!

冒頭、ファシリテーション分野における第一人者・堀公俊さんの著書『ファシリテーション入門』を紹介し、「ファシリテーションとは、チームの力を最大限に発揮するコミュニケーションのこと」と教えてくださった本間先生。

画面越しでも伝わってくる本間先生の
ユーモアとパッションに釘付けでした

ファシリテーション(Facilitation)の語源は、「実行できる、実行しやすくする」という意味のラテン語で、基本は「物事をシンプルにして促進する」ことだそうです。

本間先生が、「みんなは何のためにファシリテーションが必要?」と生徒たちに聞くと、「全校生徒に生徒会の方針を伝えるため」「みんなの気持ちを盛り上げて行事などに参加してもらうため」などの意見が出ました。

「執行部としてリーダーシップを発揮するには普段から積極的な行動で示せば周りも影響されて変化していくのではないかと思っています。たとえば挨拶は、信頼感を得られる一つのきっかけだと思います。」と言った生徒には、「すばらしいね!挨拶は大切。」と褒めてくださり、挨拶とは「かるく、つも、きに、づけて」するものだと教えてくれました。

また、「話す内容も重要だが、声の調子や顔の表情、身振り手振りといったノンバーバル(非言語)コミュニケーションも工夫すると良い」というアドバイスや、「相手の立場に立つことが大事。相手とは、"自分とは異なる他者"であることを意識すること」と説明。

例えば、「楽しい」もいろいろ。ワイワイ一緒にやるのが楽しいと思わない人もいるし、あるいは楽しそうではない人もその時まだ気持ちの準備ができていないだけかもしれない。

だから、自分の考える積極性や楽しさをたった一つの「正解」としないこと、勝手にレッテルを貼らないこと、など、コミュニケーションや人間関係を育む上で大切なことをお話くださいました。

本間先生によると、ファシリテーションの本質は、「観察」「傾聴」「質問」の3つ。異なる意見を持つ人同士が対話を通じて共通点と相違点を見つけながら納得解を導き出すために、ファシリテーターは情報を集めることが大事。

つまり、執行部はまず一般の生徒から集めた情報をしっかりインプットすること。それからアウトプットをみんなに伝える、そうすればちゃんと伝わる、という本間先生のアドバイスは、何をどこから始めればいいか迷っていた生徒たちの背中を押してくれたのではないかと思います。

本間先生は、「人生、今やるか、やらないかという決断の瞬間は必ず来る。そのときに”一歩踏み出す勇気”があるかどうか。一歩踏み出してもうまくいかないこともある。でも勇気を出してその時の自己ベストで臨んだ経験は必ず人生の宝物になる。」とした上で、「皆さんが役員に立候補したことは、まさに一歩踏み出す勇気を出した証拠。生徒会執行部という自分が成長するチャンスをぜひ最大限活かしてください。」とエールを送ってくださいました。

新しい学校づくりワークショップ

2日目は他校の生徒さんたちも加わり、対面とオンラインのハイブリッドでリーダー研修を開催。

今回、初めての試みにも関わらず呼びかけに応じてくださった札幌市内外の複数校から、10名以上のリーダーたちが参加してくれました。

初めて会う他校の生徒同士、
最初は少し緊張していましたが・・・
アイスブレイクの後はすっかり打ち解けてました!

アイスブレイクを兼ねたチーム分けの後、いよいよ『新しい学校』を作るワークショップが始まりました。

Mission 1:新しい学校のスクールソングを作ろう

「皆さんは新しい高校の設置委員会です。役割は、スクールソング(校歌)の作詞をすること。学校の立地、規模、校種などは自由に決めてOKです。」

各チーム、かなり具体的に学校の立地や規模、
スクールミッションやビジョンを設定しました。
言葉を紡ぎ、新しい校歌の歌詞が完成。
なんと30分で「新しい学校」のWebサイトを
作ってしまったチームも!(Google Siteを使用)

Mission 2:新しい学校が求める教師像を決めよう

「作った校歌の精神が求められる先生とは、どんな先生でしょう?あなたの学校の先生に求められる3つの要素を考えて、採用面接を行なってください。(先生たちは人生をかけて職場を選んでください。)」

各校の面接を受ける先生たち。真剣でした。
内定が貰えますように…最後は神頼みです(笑)
祝・内定!もらった先生、本当に嬉しそうでした。


学校づくりワークショップを終えて、参加した高校生から特に多かった感想は、"違い"に関する視点。

同世代でも意見が違うこと、学校が違えば考え方や前提に違いがあること、そして、異なる意見を持っている同士でもよく話をすると共感する部分があることに気付いた、など。交流を通して刺激を受けたという生徒も多数いました。

「あなたにとってこれからの学校はどんな場所であるべきと考えますか?」という質問には
・生徒主体で物事を進める、皆がやりたいことが叶う学校
・自由が尊重され、自分で決められる学校
・皆が安心して成長したり挑戦したりできる学校
・創造性を育む、新しいものを生み出す学校

などの回答があり、リフレクションからも生徒が当事者として学校について真剣に考えていること、そして自分たちが学校を変えたり作ったりできるという手応えを持ったことが分かりました。

解散した後も「楽しかった!」「また会おう!」と言いながら名残惜しそうに連絡先を交換している生徒もいたので、ぜひ来年も開催したいと思います。

参加くださった高校生の皆さん並びに先生方、ありがとうございました!

【編集後記】
生徒が校歌作りに取り組んでいる裏で、先生たちは「近未来の学校について理解を深める」ラウンドテーブルに参加しました。ゲストに新陽の前校長で現在は衆議院議員の荒井ゆたかさんをお招きして、教育現場の課題やこれからの学校はどうあるべきかなど、勤務する学校も年代もキャリアも多様な11名の大人たちが「子ども」中心に熱く語り合いました!

念願のゆたかさんとの再会を喜びつつ
隣に並んで緊張している号刀先生(笑)
研修の企画から運営までお疲れ様でした!

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