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新しい学校祭〜3年ぶりに対面で開催した生徒自治の「新陽祭」 【週刊新陽 #68】

今年、ひさしぶりに対面での学校行事を行っている小・中・高校や大学も多いのではないでしょうか。この2年間、世界中でオンラインの可能性が広がった一方で、人と人が顔を合わせてコミュニケーションすることや同じ空間で時を過ごすことの価値が見直されている気がします。

7月15日(金)〜16日(土)、新陽高校も、久しぶりに完全対面で新陽祭(学校祭)を行うことができました。

今年あらためて掲げた方針は『生徒自治の新陽祭』。生徒の、生徒による、生徒のための新陽祭への第一歩となった取り組みを紹介します!

みんな初めての学校祭

対面での開催は3年ぶり。つまり、すべての生徒にとって初めての対面での新陽祭です。クラスやハウス、グループごとに準備を進め、生徒も先生もワクワクドキドキで当日を迎えました。

特に3年生にとっては最初で最後の新陽祭。ステージ発表も模擬店もやったことも見たこともないけれど、中学生の時の記憶や動画などを頼りにそれぞれが描く学校祭を体現しようとしていたように見えました。

そしてその熱に1・2年生も刺激されたようです。最後の1週間は、全校を挙げて『自分たちの新陽祭』を盛り上げようというムードが高まっていきました!

〜スケジュール〜
14日:前夜祭
15日:全クラスのステージ発表
16日:模擬店・ミニゲーム・有志ステージ発表
(16日は在校生保護者、中学生および中学生保護者にも公開)

今年のキャッチコピーは「POPCORN」
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キャッチコピーに合わせて
開会式で私も弾けてみました
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学校祭といえばクラスTシャツ!
感染対策のため歓声NG
拍手での盛り上げ方を始まる前にみんなで練習
ダンスパフォーマンスやバンド演奏など
PA(音響)さんのおかげで盛大なステージでした
模擬店はキッチンカーに来ていただきました
生徒たちはPRや販売のお手伝い
校内の装飾は1年次の生徒たちが担当
エリアごとにテーマがあって個性的
3年生の「魅せる」パフォーマンスはさすが
ステージ発表の1位は3年6組!
片付けも終わって下校する生徒たち
みんな良い顔してました!

生徒自治の第一歩

新陽が一体となった2日間。この新陽祭を引っ張ったのは、生徒会執行部、そして行事委員や美化委員の生徒たちです。

閉会式のラスト、みんなへの感謝を伝えた
生徒会執行部&行事委員&美化委員

3年ぶりの対面での新陽祭は、あらためて学校祭のあり方を見直す良い機会でもありました。

「学校祭はなんのためにあるのか」

『自主創造』という校訓、そして『人物多様性』というビジョンを意識してみると、自ずと『生徒が主体の新陽祭』という方向性が見えてきたので、生徒会担当の細川凌平先生にその実現を託しました。

新陽祭を裏で支えた先生チーム、お疲れ様でした!
前列右側が生徒会顧問の細川先生

細川先生が『生徒自治の新陽祭』を明確に掲げてくれたことで、他の先生たちもそれを意識して取り組んでくれていました。

先日、教職員が対話する『中つ火を囲む会』で新陽祭のリフレクションを行ったところ、

「行事の時に主体性を発揮できるかどうかは日常から来るもの。日頃から主体的に行動するよう働きかけが大事。」

「口出し手出ししないようにしたが、間に合うのかずっと心配だった。」

「今年は私はなにもやらないからね、と最初に言っておいた。実際ほとんど自分は動かずに生徒たちがやっていった。」

など、生徒の主体性を尊重し任せようとしていたエピソードがたくさん出てきました。そして、「生徒たちはもっとやれると感じた」という意見が多かったのも印象的でした。

一方、生徒はどうだったのでしょう?

生徒会長の田浦さんの感想を一部紹介します。(新陽祭の翌週明けに広報担当の先生がヒアリング。)

正直、最後までやり切った実感がまだ湧いてないです。でも、みんなの笑ってる姿、盛り上がってる姿、模擬店の呼びかけをしている姿がフラッシュバックするんです。考えるだけで涙が出そうになるくらいに正確に。色々あったけれど最終的にはやるしか無くて、でもその分の達成感は凄かったです。テストで満点を取るよりも、検定に合格するよりも、なによりも達成感を感じました。もう一度プロジェクトがあるならば絶対に改善してより良いものが作れる!!という自信もあります。「ワクワク」「感動」「不安」「ストレス」「緊張」「楽しい」「信頼」「力」・・・本当に一言二言では表せない!!!そんな気持ちです。

対面実施については、3年生の私たちもお手本を見てきていないんです。だから何をどこまでやって良くて、どれだけやるとダメなのか、把握した上で注意事項を作成するのは難しかったです。とにかく「生徒の意見は大切に」、執行部はこれをずっと意識してきました。執行部はみんなのために、生徒がいての執行部であるということ。そこを大切に、対面学校祭をやり切ろう!と頑張りました。

準備期間は、1年から3年まで、コース・クラス・ハウス・グループで全然違いました。でも、共通して楽しそうな様子が見えたのは良かった。揉め事もあったようには見えましたが、それも学校なので。

私はステージ発表の待機までが準備期間だと思っていて、教室では色々あったかもしれないけれど、ステージ裏の待機場所はあたたかい言葉が飛びかっていました。互いに励まし合ったり、出るタイミングを教えあったり、直前まで振りの練習をしたりしているのを見て、1人で感動してました(笑)。期間はとても短かったけど、それぞれ仲が深まったように見えました。

全校生徒のみんな、先生方、外部の方、一般来場の中学生、保護者の方、そして執行部!!本当にありがとう。


学校祭プロジェクトの推進

年度当初に『生徒自治の新陽祭』を掲げたものの、実際にどのくらい生徒主導でできるか、自分たちでやれたという手応えを生徒に感じてもらうにはどうすればよいか・・・細川先生とも相談して行き着いたのが、学校祭をプロジェクトと捉え、そのプロジェクトマネジメント(プロマネ)を生徒自身がやってみること。

そこで、友人の定金さんが代表を務める株式会社コパイロツトさん(以下、COPILOT)に協力を依頼したところ、プロマネの知見やスキルを、生徒会執行部の生徒たちに直に伝授していただけることになったのです。

定金さんと山城さんのお二人が毎週行うミーティングに参加してくださり、COPILOTさんの開発したプロジェクト推進メソッドに基づき、新陽祭を進めてもらいました。

4月に始まった定例ミーティングはトータル14回。

2回目の会議では「学校祭のゴール(目的)は?」と話し合いが行われ、『新しい新陽祭』満足感も興味も得る新陽祭』というゴールが決まり、プロジェクトがスタート。

とは言え、最初は「タスク」「アジェンダ」「ガントチャート」と慣れないカタカナ用語に戸惑ったり、他の行事が忙しくて学校祭の準備に集中できなかったり、会議への参加率が下がったり・・・心配になる場面も何度かありました。

それでも、生徒主体のプロジェクト形式で進めることも、感染対策をしながら完全対面で実施することも、一から作る初めての新陽祭。生徒が掲げた『新しい新陽祭』というゴールに向けて進んでもらえるように見守ろうと決めていたので、不思議と焦りは感じませんでした。

そして迎えた新陽祭直前のミーティング。

1ヶ月ぶりに除いた会議では、生徒がファシリテーション、タイムキーパー、記録を分担し、タスクの進捗確認や洗い出しを行なっていました。その日はその様子にただ感心したのですが、それが感動に変わったのは新陽祭の後。

2日間を終えてあらためてミーティング動画を見てみると、生徒たちが目指した『新しい新陽祭』とはなんだったのか、3ヶ月の積み重ねが『生徒自治の新陽祭』としてどう身を結んだか、実感しました。

▼最後の会議の録画です。プロマネに興味がある方もぜひご覧ください!)

最後に、COPILOTのお二人からいただいたコメントを紹介します。

新陽祭をプロジェクトとして生徒会メンバーと一緒にすすめてほしい、という依頼をいただき、高校生にプロジェクトを体験してもらう社会的意義を感じ引き受けました。 通常の仕事以上に、自律性と体験の知識化について考えることが多かったプロジェクトでした。

プロジェクト推進の知識や経験がそれほどない生徒さんたちに、どうやったら自らが考え決定して進めていってもらえることができるのか。 コパイロツトメンバーや先生方といろいろと検討し、以下のような進め方に決めました。

◎開催日が決まっているため予測型プロジェクトマネジメントで行う
◎進めながら徐々に詳細化していくプロジェクトであることから、定例会議を活用して反復的・漸進的に推進するメソッド「Project Sprint」とサービス「SuperGoodMeetings」を採用する
◎前半は、情報や知識のインプットと意思決定やプロジェクトが推進する行動の体験をしてもらい、後半は生徒さんが主導権を持ち生徒自治でプロジェクトを進めてもらって私たちが助言にまわる

はじめてみると、前半は会議中の発言が控えめで生徒主体で進めるイメージがつきにくかったのですが、後半になってその心配は不要だったと感じました。 うまく進まなかったら介入すればよいかと思いながら会議の進行を任せたところ、主導権を生徒さんたちが持った会議では積極的な議論がおこり、様々な意思決定が行われ、プロジェクトらしい多くの試行錯誤が生まれていました。

最初から主導権を持ってもらえばよかったのでは?私たちの前半の介入はもっと少なくてもよかったのでは?と思うぐらい伸び伸びと進んでいきました。 この状態になれたのは、チームとして一定以上の信頼関係がすでに存在しているからだとも感じました。

特にそれを感じたのはホラクラシー(自律型組織の方法論)の「テンショントリアージ」を参考にしたプロセスを導入したとき。「 いま違和感がある・不安に思っていること(これをテンションと呼びます)」をチャットに書き出して、その場ですばやく解決策を決定していくのですが、このテンションが最初から多様に出ることはあまり例がありません。でもここでは違いました。生徒自治を掲げそれが生徒会にも先生たちにも浸透している、すでにチームとして関係性がある、だからこそできたプロジェクトの進め方だったのかなと改めて感じました。

といいつつ私たちは新陽祭に参加していませんので、まだ最終的な成果についてチームから聞けていません。どんなにプロセスがよくても成果がでていないと残念なプロジェクトだったことになってしまいます。 プロジェクトの振り返りでチームから成果を聞きながら、みんなの実践を言語化し認識を行います。私たちも学習することが多かったプロジェクトなので、 チームとしてどんな気づきが得られるのか、今から楽しみです。 ​

COPILOT・定金さん&山城さんコメント
閉会式直後の生徒会執行部のメンバー
(と壇上にいる細川先生)

【編集後記】
細川先生によると、終わった後に生徒たちで円陣を組んで感想を言いながら号泣していたとのこと。そして、その後、生徒会室で爆睡していたメンバーが2人(が誰かは特定しませんが)いたとか・笑。完全燃焼した証ですね。
なおプロジェクトの振り返りは、7月22日に生徒会執行部のメンバーとCOPILOTのお二人、そして細川先生で行なわれ、あらためてレポートになる予定です。お楽しみに!

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