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5歳から始まるSTEAM教育_【教育視察レポート】2017年/イスラエル編

スタートアップ大国とも言われるイスラエル。『0から1』を生みだす人材の秘密が知りたくて、2017年7月、ハイファにある科学技術幼稚園を訪問しました。

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(↑写真はテルアビブ)
テルアビブから車で約1時間北に行ったところにあるハイファ市は、世界最高の教育・研究水準を誇るテクニオン大学やイスラエルを代表する科学技術博物館があるほか、近年はGoogle やインテル、マイクロソフトなどハイテク企業のオフィスやR&D拠点が集積しています。

イスラエルの科学技術博物館_【ミュージアム視察レポート】はこちら

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私たちが訪れたのはハイファ市の公立の幼稚園
近隣の子どもが通う普通の幼稚園ですが、5歳(年長)クラスだけ科学技術幼稚園としてのプログラムになっています。テクニオン大学と科学技術博物館の協力のもと、子どもたちが体感的に科学技術を学べるカリキュラムが作られているそうです。

STEM/STEAM:探究的な学び

この日は「氷」の授業。先生が丸くて大きな氷を持ってくると、雪が降らないイスラエルの子どもたちは興奮気味!見たり触ったりしながらまずは観察します。

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そのあと「どうやったら早く溶けるかな?」という先生の問いに、「塩をかける」「絵の具をつける」「水をかける」など子どもたちからはどんどん声があがります。この予測がとても大事。

続いて実験。塩と絵の具で試してみることになったようです。

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塩をかけるとどうやって溶けていくか、絵の具液だとどうなるか、氷の変化を観察します(この日は私たちという観客がいたため子どもたちのテンションが上がり、色々かけすぎてしまったみたい・笑)。

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ひととおり実験した後、最初にどう予測したか、実際どうだったか、をみんなで振り返ります。先生から、今回の現象(氷が溶ける)が実社会でどう活用されているか、例えば雪が降る日本では凍結防止に塩が使われている、などの話もしていました。

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この『仮説→検証』というアプローチを5歳の時から繰り返すことで科学的思考を身につけていきます。

テーマは、身の回りにあることや身近な出来事からの『問い』が起点。子どもたちが「なんだろう?」「どうして?」と思ったことを先生が日々集めておいて、それを繋げていくのだそうです。

Show and Tell: 自分の好きなことを調べて話す

また、欧米の幼稚園や小学校でもみられるShow&Tellが取り入れられていました。これは、自分の好きなものや興味のあることについてクラスメートの前でプレゼンすること。順番に発表する日がまわってくるので、子どもたちはその日に向けてしっかり準備し練習するのです。

自分の意見を言えるようになる力や表現力が育まれるだけでなく、自己肯定感がアップしたり、聴く力や多様性の理解など非認知能力を高めるのに効果的な活動として、日本でも注目されています。

この幼稚園では、お気に入りのアイテムや夏休みの思い出について発表することからはじめ、年長では自分が探究したテーマでShow&Tellを行います。残念ながら訪問した日はなかったので録画を見せていただきました。

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発表も立派でしたが、聴く方もしっかりしていて、プレゼン後に子どもたちがいろいろと質問する様子も感心してしまいました!

こちらは、探究したプロセスをまとめたレポート。保護者も手伝うことで一緒に学ぶのだそうです(自立や個性を大事にするイスラエルでは、あくまでも子どもが主体なので、親はサポートに徹します)。

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さすがイスラエルの英才教育・・・と驚いたのですが、案内くださった先生から最後に、あくまでも幼稚園での基本は「遊び」とのお話がありました。

イスラエルではプログラミングやサイバー教育も盛んですが、それは小学校高学年や中学校に入ってから。それよりも、幼児教育では、遊びの中で科学的な思考や技術を体験したり、独創的な物の見方や表現の素地を作ることが大切とされています。

だから、無理矢理やらせるようなことはないし、子どもたちのワクワクやチャレンジしたい気持ちを尊重するのが先生たちの役割、とのことでした。

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アルキメデスの螺旋の遊具やパレットやタイヤなどのリサイクルで作った什器など、日常の遊びの中から疑問や発想が生まれるよう、環境にも工夫が。

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ちなみにテルアビブのスタートアップが集まるコワーキングスペースで『0から1』を生むマインドについて数名にヒアリングしたところ、以下のような回答が返ってきました。

・勇気、大胆さ、図々しさ
・即興的、場当たり的である
・実践的、実用性を重視
・失敗OK。むしろ積極的にリスクをとる
・個性が絶対:「あなたは特別」と言われて育つ

これは、幼稚園で先生たちから伺った話と全く同じ。子どもの時から、家庭でも学校でも、そして社会でもこういったマインドが共有されていることが、イノベーションが生まれる土壌を作っているように思いました。

最後に、こちらの写真は室内の遊び場ですが、実は核シェルター。イスラエルでは公共施設や、近年では住居用建物にもシェルターの設置が義務付けられています。

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イスラエルは建国してまだ70年余り。天然資源が乏しく常に対立国に囲まれた地理であることから「人が資源」という考えのもと教育や子育て支援が充実しています。軍や産官学連携によるスタートアップのエコシステムが作られていたり、最初からマーケットを国内ではなくグローバルで見ていることなど、日本とは異なる歴史的背景や文化があります。

とはいえ、これからの子どもたちは22世紀まで生きる世代。
グローバル化が進みデジタルテクノロジーが浸透し、ますます予測不可能な方向へ急速且つダイナミックに変化する世界では、必要とされる力は国境を越えます。イスラエルの幼児教育からも学べる点が多々あると感じた視察となりました。

※株式会社チルコロ主催の教育視察ツアーで訪問しました。

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ウィーシュタインズ株式会社代表取締役 (http://we-steins.com/) / NPO法人インビジブル理事 / 一人ひとりが持つ彩り豊かな能力「多彩能®️」が輝く社会を目指し、分野横断的なSTEAMプログラムなどを通して学びの多様化に取り組んでいます。

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