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「教育」と「お金」について考える〜寄付月間2023賛同企画 【週刊新陽 #137】

11月24日(金)の夕方に降り始めた雪は、街を白銀に変えました。

新陽高校がある澄川では今シーズン初積雪となった11月25日(土)、まもなく始まる寄付月間を前にオンライントークイベントを開催しました。

飛び入りゲストの参加もあり、大いに盛り上がった1時間のイベントをレポートします!


欲しい未来へ、寄付を贈ろう。

新陽のスクール・ミッションは、 『本気で挑戦し自ら道を拓く人の母校。 常に新たな改革に取り組み、高校教育を再創造する。』 。ファーストペンギンとして様々な取組に挑戦し、そのナレッジや経験談を広く共有・発信することで日本全体の教育に少しでも貢献できたら、と考えています。

そして今、新陽が挑戦したいことの一つが「子どもの学び」への寄付文化を盛り上げること。

以前より、大学や研究への寄付に比べるとまだ一般的ではない小・中・高校への寄付が当たり前になったり、アフタースクールなど子どもの居場所や学びを維持する活動に対してもっと多くのサポートが広がったりするといいなと思っていました。

そこで今回のイベントは、新渡戸文化学園の理事長であり放課後NPOアフタースクールの代表理事でもある平岩国泰さんと、コモンズ投信のソーシャル・エンゲージメント・リーダー 馬越裕子さんと一緒に「子どもたちの学びの可能性を広げるため教育分野への寄付をもっと身近にするには」というテーマでおしゃべりしました。

ちなみに、新渡戸文化学園の初代校長は、かの有名な新渡戸稲造博士。札幌農学校(現北海道大学)を卒業し、その後教授も務められるなど北海道とは深い繋がりがある方です。

また女子教育に熱心で、新渡戸文化学園も最初は女子経済専門学校としてスタートしたとのこと。札幌慈恵女子高校として創設された新陽高校との共通点のようなものもあり、新渡戸文化学園には親近感を覚えずにいられません。

そして理事長の平岩さんは、私がMCを務めるYouTube番組でお話いただいた時にお互い共感する点が多く意気投合。今回の企画を考えた時、平岩さんしかいない!と出演をお願いしました。

※先生の学校YouTube『社会を彫刻する人たち』(ゲスト:平岩さん)の動画もぜひご覧ください。

【前半】はじめの一歩は、ボランティア。市民先生と出会える放課後NPOアフタースクール立ち上げの物語
https://youtu.be/THrSmkx0iIA?si=h1zfm1mQ_FcEpxMw
【後半】子どもの声を聴くことから始めよう。小学生の自己肯定感の育み方とは?
https://youtu.be/DZfx4HlRJGo?si=lG3G0Qm_Ddwmznwb

新渡戸文化学園を訪問した際
平岩さんに撮っていただいた
新渡戸稲造先生との2ショット

みんなで支える社会へ

オンライントークの内容は、ぜひアーカイブ動画を観ていただきたいのですが・・・冒頭、経済格差が体験の格差、機会の格差を生んでいるという話が出ました。

平岩さんが代表理事を務めていらっしゃる放課後NPOアフタースクールの資料にも、「多様な体験が成長課程や教育的観点において重要視される一方で、体験の量と質が家庭の経済状況によって大きく左右されている」とあります。

高等学校就学支援金制度(私立高校の授業料実質無償化を含む)や奨学金など経済格差をカバーする制度はあるものの、修学旅行などの課外活動や塾や習い事のような学校外のアクティビティには経済格差が如実に反映されてしまいます。

また、知識格差が機会格差や経済格差につながる構造にも。申請すると受けられる公共のサービスやお得な制度なども、知らないと手が届きません。

「家庭の状況によって子どもに差が出るのではなく、みんなで支えていけるような社会だといいですよね。」と平岩さんも仰っていて、学校にも、学校外にも、様々なお金の流れが作られることが大事だとあらためて感じました。

途中、一般社団法人ハッシャダイソーシャルの勝山さんにも登場してもらいました!

ハッシャダイソーシャルは、「全ての若者たちが、生まれ育った環境に関係なく自らの人生を自分で選択することができるようにサポートをしていきたい。」という理念に共感した個人や企業の寄付・協賛によって運営されています。

勝山さん自身も「共感する活動に関わりたいという思い、あるいは自分ができないような活動をしてくれている団体に託し、そこから学びたい、という気持ち」でNPOなどに寄付している、と話してくれました。

寄付とは"想い"を受けとること

新陽では来年度から、在校生向けの新しい奨学金が始まります。その一つが留学のための奨学金。2〜3週間の短期留学の費用ほぼ全額をカバーできるように、一人あたり50万円を若干名に給付します。

異文化での経験は人生を変えるはず、家庭の経済事情であきらめずに挑戦してほしい、と設置された奨学金ですが、これは2021年に遺贈(遺言によるご寄付)によって実現しました。

遺贈はまさに「想いを受け継ぐ」寄付です。今後奨学生に選ばれた生徒には、お金だけでなく託された想いも受け取り、誇りを持って留学してほしいと思っています。

実は馬越さんは、ロータリークラブの交換派遣でブラジル留学した経験があるそうで、「ロータリーの皆さんのご好意で経験できたんだな、恩返ししたいな」と自然と考えるようになっていたそう。

自分が受けた恩返し恩送りの一つの方法としても寄付があり、そして、それを受けた人がまた意志を繋いでいく流れがもっと大きくなるといいな、と思いました。

そのためにも、寄付された側の法人として、託された想いの実現に尽力すること、そして「寄付してよかった」と思ってもらえるようなコミュニケーションをデザインすることに取り組んでいきたい、と平岩さんと私からお話し、イベントが終了しました。

▼11月25日のアーカイブ動画はこちら▼

▼▼イベント中にご案内した関連リンク先▼▼

札幌新陽高校〜ご支援をお考えの方へ〜
https://sapporoshinyo-h.ed.jp/support/

新渡戸文化学園「創立100周年記念募金」
https://nitobebunka.ac.jp/100th/donation/

放課後NPOアフタースクール 寄付ページ
https://npoafterschool.org/support/

コモンズ投信 セミナー情報
https://www.commons30.jp/seminar/

【編集後記】
教育現場は実はお金の面で苦労しているのに、それが意外と取り上げられませんよね、と平岩さんが仰っていました。まさに私自身、学校教育に関わるまでこういった現実をほとんど知らなかったので、自ら発信し課題や取組を広く知っていただきたいと思い、今回「教育×お金」をテーマにイベントを開きました。これを機に少しでも多くの方に知っていただいたり興味を持っていただけたら嬉しいです。
ご協力いただいた平岩さん、馬越さん、そして参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!

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