見出し画像

友達にかける言葉のようにツイートする〜インフルエンサーから学ぶSNSの極意 【週刊新陽 #69】

皆様いかがお過ごしですか。

新陽高校では夏休みが始まり、札幌は過ごしやすい日が続いています。(去年が異常だっただけで北海道の7月は涼しいのが普通らしい。)

夏休みに入る前の日、全校集会を行いました。今回も職員室からyoutubeライブ配信して各教室で投影するスタイル。全国大会に出ることが決まった生徒の表彰や留学生2名の紹介、生徒会執行部や教育相談部からのお知らせのあと、『多様性対談』を行いました。

対談のお相手は竹本萌瑛子さん・通称「たけもこ」さん。Twitterのフォロワー7万人のインフルエンサーです。

1つのツイートで人生が変わることがある

多様なゲストの価値観や生き方に触れることで、生徒が「多様性とは何か」を考え、自分自身と向き合うきっかけにしてほしい、と企画している『多様性対談』で、以前よりSNSを取り上げたいと思っていました。

新陽では学校公式アカウントでの発信を積極的に行っていて、 中でもTikTokはフォロワー5万8千人を超えました(2022年7月27日現在)。

生徒には身近なTwitterやInstagramは、使い方や付き合い方によってプラスにもマイナスにもなりますが、そもそもSNSに対する私と生徒の感覚は全く違うはず。だから、生徒に近い世代でSNSを個人でも仕事でも使っている方から、私自身も学びたいと思ったのです。

たけもこさんは、本と映画とゲームとお笑いが好きな26歳。新卒でヤフー株式会社に入社しイベントやSNS運用など広告のマーケティングを担当しながら、副業でライターやモデルをされていました。

2021年、副業はそのままに株式会社アマヤドリに転職し、広告の制作やSNS・メディア運用を担当。パソコンの前に座って作業するだけでなく、広告を作るために空を飛んだり海に潜ったり「世の中、本当にいろんな仕事がある!」と、転職して思ったそうです。

熊本出身で中学校までは野球に熱中。高校では弓道に打ち込んでいました。「勉強は嫌いだったけど普通にやっていた」という高校時代、将来の夢は「特に無し」。

卒業後は日本大学へ進学。東京や大学の空気に馴染めず、家と学校とバイトのループを繰り返すだけの日々に、ふと「このままじゃやばい・・・」と感じたそうです。大学2年の時に「何かやってみよう。」と思って始めたのがTwitter。これが転機となりました。

そして、人生を変えることになった”中学生と大学生の自分の写真を並べたツイート”がこちら。

12歳→22歳

熊本の芋野球少女から
表参道で撮影する女になっちゃったよ
お母さん

2018年11月21日のツイート

投稿すると、あっという間に話題に。まずTwitterの中でどんどんリツイートされ、次にYahoo!ニュースやまとめサイトで取り上げられたり、YouTubeなど様々なSNS内で焼き回しされたりして拡散されていきました。

その結果、起きたこと。

  1. いろいろな人から連絡が来た→新たな出会いがあったり、多方面で新たなつながりを築けたりしました。

  2. 個人的な仕事を受けるようになった→副業や転職のきっかけにもなりました。

あの1つのツイートで人生が変わった。

ただ、良いことばかりでもありません。人生で初めて誹謗中傷を受け、落ち込んだこともありました。でも、そこまでダメージはなかったそうです。なぜなら、どんな言葉を使うか、誰に対するメッセージにするか、実はめちゃくちゃ考えて投稿していたから。

様々なSNSを研究し投稿の影響を想像して分析し、”誰かを傷つけるリスク”を一つ一つ潰していった結果のツイートだったのです。

たった一つの投稿で数えきれないほどの人や領域に影響(influence)を与える可能性があるのがSNS、とたけもこさんは仰っていました。

「フォロワーの数に関係なく、アカウントを持って発信している人はみんなインフルエンサーである意識を持ったほうがいい。それが自分を守ることにもなります。」という言葉に重みがありました。

さらに、この影響は未来にも続くと、たけもこさん。

就職する時に会社から調査されても平気?将来お付き合いするパートナーや、子どもができた時に見られて大丈夫?

自分でコントロールできるのは、どんな投稿をするか、だけ。コントロールできない周りへの影響や時間経過によって起きることは「想像」するしかない。正解はないので、考え続けるしかないのです。

「迷惑」はかけていないかもしれない。でも誰かに「影響」は与えている。そして良くも悪くも、自分に返ってくる。それがSNSです。

それって結局、日常のリアルなコミュニケーションと同じ。「友達にこの話して大丈夫かな?」「こういう言い方で嫌な思いさせないかな?」と、友達にかける言葉くらい想像して投稿すること。SNSの投稿を見た人から「友達になりたい」と思ってもらえるような投稿を意識すれば大丈夫!、とアドバイスをいただきました。

自分がどうありたいかを大切に

SNSの極意』について講演いただいたあと、私から質問させていただきました。

-- すごく考え抜いて投稿されていることがわかりました!でもそれらがとても自然なつぶやきに見えます。そのコツはありますか?

やっぱり慣れですかね(笑)。考えて投稿する、を繰り返すこと。

人のツイートもたくさん見ます。例えば、炎上しているツイートを見てその原因を知ったら、そこを踏まないような投稿を考える、とか。未然に防げるところは防ぐのが大事だと思っています。

とは言え、100%防ぐのは難しい。アンチコメントに対して1番の対処は結局無視することなんですが、逆に、ポジティブなコメントに返信するなどしてコメント欄の空気感を明るく暖かくする工夫もしています。

あと、ライブ配信の時は、ウケを狙ったような強い言葉を使わないように心がけてますね。シナリオ無しの本音を話さないとライブの意味はないんですけど、ライブこそ大切な友達に語りかけているつもりで。そしてライブでも、残ることを常に意識することが大切です。

-- キャリアについて聞かせてください。高校時代、大学進学や今の仕事を想像したり目指したりしていたのでしょうか。

いえ・・・「SNSは逆算」と言いながら、キャリアについては逆算したことないです(笑)。大学でも、とりあえずできることはやっておこうといろいろなインターンをやりました。

就職活動は大変でした。面接で一緒になるのは高学歴の人たちで、みんなすごい人に見えるし、精神的にもきつかったです。自分はできることもやりたいこともないと悩んでいたのですが、ふと「何がやりたいか」よりも「どうありたいか」という思考に移った瞬間があって。そこから変わりました。

ヤフーも自分の「どうありたいか」と合致したので、自信を持って面接に臨めたんだと思います。

-- たけもこさんも転職したり副業したりされていますが、複数のキャリアを持つ良さはなんだと思いますか?

いろいろなことができること、いろいろな人と出会えること、ですね。そもそも様々な環境でないと自分はきっとすぐに飽きてしまうと思っていました。だから副業OKというのもヤフーを選んだ理由の一つです。

同時に、一つしか所属がないことはリスクでもあると考えています。それがだめになったとき他がないと不安なので、複数持つことの意味があると思います。

依存ではなく共存しよう

最後は、生徒たちのいる教室へ!生徒から出た質問から、いくつかピックアップしてご紹介します。

-- 自分はバズろうと思ってやっていないのですが、たけもこさんがバズろうと思ったのはなぜですか?

きっかけは「今後フォロワーは資産になる」と書いてあった本です。それまでは自分もバズろうと考えたことはなかったけど、フォロワーが資産というのは面白い考え方だな、自分も増やしてみたらどうなるかな、という好奇心が湧きました。

実際増えてみると仕事にも繋がったので、フォロワーが資産というのは本当だった、と思っています。

-- SNSで認知度が高まり、顔を出すとプライベートの時間がなくなる気がします。いつでも誰かに見られることを考えて生活しなければならないのでは、と。それって疲れないですか?

7万人フォロワーがいても、実際そこまで顔が割れているわけではないです。だから、実生活で「いつも誰かに見られている」という意識は低いかもしれません。そもそも家にいる時間が多くてあまり出歩かないというのもありますが(笑)。

逆に、実生活よりも、SNS上でのほうが気をつけているかな。「あのツイート見ました」と言われることは多いので、どういう投稿をして、どう見られているかは気にしています。

-- 高校生のSNSの使い方について、どこを気をつけたら良いかアドバイスください!個人情報は出さないように気をつけているつもりですが・・・

まず、ぜんぶ筒抜けだと思ったほうがいいですね。Instagramで公開範囲を"親しい友達"にしても、Twitterでカギ付きアカウントにしても、画面をスクショして拡散されたり、それがコピーされてしまう可能性は十分にあります。どれも「世界中に発信している」という気持ちで投稿すること。

そして、ぜひSNSに依存せず、共存するという気持ちで使ってみてください!

放課後、質問に来たり「写真撮ってください!」と
列を作ったりする生徒たちに、
ずっと笑顔で対応してくれました!

【編集後記】
「何をしたいか、何になりたいか」よりも、「どうありたいか、どう生きていきたいか」に目を向けたら自分の進む道が見えてきた。これはまさに、新陽が大事にしたいキャリア観です。

たけもこさんが「どうありたいか(Being)」、人生のスタンスについて語っているこちらの記事も、ぜひ全国の中高生に読んでほしいです。↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?