アオハル全開〜学校祭プロジェクト2023 【週刊新陽 #118】
7月14日(金)〜15日(土)の2日間、新陽高校の学校祭でした。
2019年以来4年ぶりに、ほぼ制限なしで行うことができた『新陽祭』。一般公開こそまだ保護者の方と中学生に限定しましたが、生徒たちは、ステージ発表の歓声あり、模擬店での調理・飲食あり、の学校祭を全力で楽しんでいたように見えました。
今しかない青春を
新陽祭には毎年テーマがあります。今年のテーマは青春(アオハル)。
昨年まで中学・高校時代にまともな学校祭ができなかった生徒たち。コロナで失われた青春という時間を取り戻したい、と、生徒会執行部のメンバーがこのテーマを決めました。
ちなみに、辞書によれば青春(せいしゅん)とは・・・
あえてアオハルとしたのは、青春を取り戻すだけでなく、それを超える学校祭をという想いから、なのだそうです。
みんなで創る学校祭
新陽祭は2日に渡って行われます。
1日目:開会式、ステージパフォーマンス(クラス・ハウスごと)
2日目:模擬店、ステージパフォーマンス(有志生徒)、閉会式
全体を仕切るのは生徒会執行部と行事委員の生徒たち。美化委員や図書文化委員、写真局のメンバーも、影の立役者として活躍してくれました。
全生徒は、3年生はクラスごと、1・2年生はハウス(赤・青・黄・緑)ごとに、ステージ・模擬店・校内装飾に分かれてそれぞれの役割を担います(掛け持ちしてる生徒もいます)。
準備期間には揉めたりグダグダになったりする場面も見られましたが、本番になれば全力でやりきるあたりはさすが新陽生。
特に3年生は、ステージパフォーマンスを盛り上げたり、模擬店のテントの準備や片付けを率先してやってくれたり、頼もしさを感じました。
〜1日目・ステージ発表〜
〜2日目・模擬店〜
〜フィナーレ〜
生徒自治の梯子掛け(生徒会担当の先生インタビュー)
おそらく多くの高校でもそうかと思いますが、学校祭は年間行事の中でも一番のビッグプロジェクト。新陽では生徒自治の生徒会、生徒主導の学校祭を目指しているので、リーダー生徒たちのプロジェクトマネジメントと生徒全員のリーダーシップが、成功のカギを握ります。
そしてそれを支える先生たちのスタンスも重要。今年度、生徒会を担当してくれた号刀悠貴(ごうなた ゆうき)先生にお話を伺いました。
-- 初めての新陽祭おつかれさまでした!率直な感想を聞かせてください。(号刀先生は、別の学校から今年度転職してきてくれました。)
悔しかった、の一言です。こんなに自分の経験が役に立たないとは・・・(苦笑)。
以前勤めていた学校は生徒数が200名くらいだったのが新陽は700名超え、生徒の動き一つ取っても全く規模感が違う。それから、要項(行事等を実施する際に必要な事項が書かれている文書)の作り込み具合もレベルが違いました。新陽では、学校祭当日だけでなく数日前の分から1日ごとのスケジュール表があったり、先生一人一人の動静表があったり、緻密に計画が立てられ共有されていることが当たり前。6月のYOSAKOIの要項を見たとき圧倒されました。これはヤバいな、と。
敢えてアウェーに身を置く越境経験をしたくて新陽に来たものの、想像以上に自分が動けなくて、葛藤の連続でした。そのせいで困っていた先生も少なからずいたと思いますが、先生方の経験でカバーしてもらい何とかなりました。
同時に、何より感じているのは感謝です。もちろん先生方への感謝もありますが、生徒たちへの気持ちが大きいですね。
昨年、生徒会担当だった細川先生が素晴らしい方と聞いていたので、ある意味で真逆のタイプの自分が担当になり、生徒たちは「怖いし、口うるさいのが来た」と思ったはずなんです(笑)。でも、彼らは一度も「細川先生のほうがよかった」と言わずに着いてきてくれました。
-- 号刀先生を訪ねて職員室に来る執行部の生徒とのやりとりを見ていたのですが、4月頃と比べていつの間にかずいぶん雰囲気が変わったな、という印象です。
5月後半に実施した生徒総会が一つの転機だったと思います。それまで探り探りで様子を見ていた感じでしたが、このままでは上手くいかないと感じたので「生徒自治とは言うけれど、一度がっつり手出し口出ししちゃえ!」と。
そのあと生徒会長を呼んで、「本当はこれを君にやってほしかったんだ。学校祭はやれそう?」と聞くと、「急には厳しいと思います・・・」と正直に言ってくれました。「ならば伴走するから一緒に走ろう」という話をしたことを覚えています。
あと、中澤先生との朝の生徒会談義というのがあって。(中澤先生は、生徒思いの大ベテランの国語の先生。)朝7時過ぎ、まだほとんどの先生が出勤していない時間に、中澤先生から色々経験談やご意見を伺えたのもありがたかったです。
-- 悔しかった、とのことですが、もし1週間前(インタビューは7月19日)に戻れるとしたらどうしたいですか?
7月12日じゃ遅すぎますね(笑)。もう1週間戻りたいです!
実は7月9日(日)に執行部の生徒たちを集めて、新陽祭1日目の最初から2日目の終わりまで一旦通しリハしたんですけど全然ダメで、これじゃマズいぞと。そこからは執行部全員フルパワーで、すべての時間を使って全力でやってくれました。1週間戻れても何も変えようがないくらい隙間がなかったです。
前日と初日には、下校してからもGoogle meetをつないでミーティングしてました。金曜日(学校祭初日)の夜、ミーティングしている間に一瞬寝落ちしてしまって・・・。生徒にはバレてないかなと思ってたんですが、後になって「実は寝ちゃってたんだよね」と言ったら「知ってました!」と(笑)。優しくて良い子たちなんです。
先日、執行部生徒のリフレクションの会があったのですが、その時の一人ひとりのコメントからも達成感を得ていたように感じられて嬉しかったです。
-- 号刀先生の考える『生徒自治』とは何でしょうか?
理想は、教員が入らずとも生徒たちで回せること。本当は自分は黒子でいたいんです。今回はマイクを3回握ってしまったんですけど、それが無くなるのが目標かなぁ。
とは言え生徒自治という言葉に甘んじて教員が何もしないのも違う。生徒が自立して動けるように梯子掛けするのが教員の役割ですよね。それには生徒の現状を知ることが大事なので、まずは話を聴くこと。それから、進め方などスキルを教える必要もあると思います。
ただ、新陽の生徒たち実は結構できるんです。例えば生徒総会の要項は教員ではなく生徒が作っています。それだけでも充分すごいですよね。
新陽祭のエンディングで流れたスライドショーは、副会長が作ってくれました。映された生徒たちの顔も、それを見ている生徒たちの表情もみんな輝いていて、改めて良い学校祭だったなと感じました。
次年度もっと学校祭が上手くいくにはどうするか、今から考えていきたいと思っています。そのためにもまず直近で9月末に行われる生徒会役員選挙をどう盛り上げるか。「選ばれた生徒会」という自覚を生徒が持てるように、色々仕掛けていきます。
また、リーダー研修や、総合的な探究の時間のソーシャルアントレプレナーシップと新陽祭をどう絡めるかなど、先生方からアイデアやご意見をいただきながら、生徒自治の基盤を作っていけたらな、と思います。