チャップリンのスピーチと、英語を学ぶ意味

中学1年生の教科書のラストはチャップリンの"City Lights"。

今、チャップリンと聞いて浮かぶのは映画『独裁者』。ヒトラーと外見が似ていたことを逆手にとり、ヒトラーはもちろん戦争そのものまで笑いに変え、最後に伝説のスピーチで泣かせる映画。一説では、映画公開後ヒトラーは笑いのネタにされた演説を嫌がるようになって求心力を失い、敗戦へ向かったという。

授業でこの映画にまで触れるかどうかはかなり迷った。ウクライナの話題には侵攻翌日から度々触れてきたものの、かなり神経を使っていたから。偏った見方を伝えていないか?多感な中学生の心が恐怖で覆われてしまわないか?社会科じゃないのに政治的な話題に触れる理由は?

夜中に目が覚めて眠れなくなるくらい悩んで笑、結局私の不安も正直に伝えた上で映画を観て、途中英語のままで理解してもらいたい部分を練習した後、最後のスピーチを聞いた。投げかけた問いと抜粋箇所の一部は以下。

◯英語を学ぶのは何のため?外国語を通して自分とは異なる場所や人々に関心を持つ、英語にしかない響きを味わう、…?
◯自動翻訳が進めば語学学習は無意味?このスピーチのリズム、力強さ、美しさは翻訳可能?
◯言語の壁が完全になくなるなら、ロシアが挙げる停戦条件「ロシア語の公用語指定」もノープロブレム?
◯映画『独裁者』は英米で大ヒットして市民の心に訴えた一方、日本では公開されなかった。今も、ロシア国営テレビだけが情報源の人は戦争などないと信じている。もしくは私たちは、ロシアが戦争をしていると思い込まされているのかも。情報を得る手段や、言語が限定されていることにリスクはないか?
◯反戦映画なんてリスクしかないと言われても、チャップリンは「自分の信じるものを作れないのなら、今まで何のために成功し、金を稼いだのか?」と、制作をやめなかった。成功とは?お金とは?

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You, the people, have the power - the power to create machines. The power to create happiness! You, the people, have the power to make this life free and beautiful, to make this life a wonderful adventure.
君たちには、人間には、力がある。機会を作る力、幸せを作る力。この人生を自由で美しいものにする力、素晴らしい冒険にする力が。
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