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パリコレデザイナーになるまでの道のり

ネイルデザイナーとして、パリコレメンバーに選出されました!

大好きなパリ。
ファッションの最高峰のパリコレへの想いを綴りました。

作品創りの原点
 パリを舞台にした大好きな映画があります。
3年前、私はそのワンシーンを描いた作品で爪華師ロスオーディションに合格、ネイリストとして海外に行きました。合格の連絡をもらった時は、信じられなくて、電話を切った後驚きでしばらく何が起こったのかわからずパニック状態でした。

 お客様の爪以外にアート描いたのは、実はその時が初めて。“ハリウッド”をテーマにアートを施したネイルチップ5本の写真が審査対象でした。何も分からずに選んだチップは、サロンのサンプルで使っているショートの6号。1センチほどの小さなサイズに全身の登場人物を描いたのです。伏せた目、握る拳、踏み締める脚幅に…拙いけれど熱く気高いその役の魅力と想いを込めました。細いアート筆の毛一本で描いたところもありました。

その時の作品がこちら


 時間を忘れて没頭し、そんな状態は初めてで我ながら驚きました。愉しくて一人で興奮して創り続けました。仕上がった作品は自分で見ても感動で泣けてきて、次の日またそれを眺めるのが幸せでした。
実際に目にしたお客様の何人かも泣いていました。
小さい世界に気持ちや時間を込めた作品は、人に伝わるんだと知りました。
 これが私の原点です。作品創りに行き詰まった時、この気持ちを思い出すようにしています。


日本のネイルが伝えられること。箏爪を使って
 この度、爪華師ネイルデザイナーとしてパリファッションウィーク(パリコレ)に参加させていただくことになりました。大変光栄なことで感謝の気持ちでいっぱいです。 

 私には伝えたいことがあります、叶えたい夢があります。

 今、これからの世界に必要なのは、古くから日本に伝わる“調和”と“利他の心”だと思います。正しさや、数字や量、勝ち負け、損得など物質的なことではなく、目に見えないことの大切さや尊さを伝えたいです。それを、正解のない「アート」と、「日本のネイル」にはできると信じています。

 私は和の心を取り入れた「和文化ネイル」を創っています。静けさや無にも意味がありその気配を表現することは、一見、華やかに見せるネイルとは相反するようですが、装飾するだけがネイルではないと思っています。

 また、日本舞踊の世界では、表現を内に込め、所作で礼節や感謝などの心を表すといいます。このことを知った時、ネイルのランウェイの価値もここだ!と思いました。日舞50年の舞踏家の先生もネイルでのランウェイに感動し大変共感してくださっています。

 動く人の指先に、極め尽くしたネイルがある時、その場の雰囲気は変わり、つける人は輝き、作品の物語が人々に伝わります。



 ミラノコレクション作品「KOTOZUME」は、伝統楽器の響きを借りるべく、箏を弾く『箏爪』にデザインを施しました。奏者の心を映すとも言われる箏と同じく、このネイルもつける人の心が映し出され、それぞれに持つ魅力が凛と現れる作品になりました。ミラノや国内で多くのモデルさんにつけてもらいそれを確信し、込み上げるものがありました。
もっといろんな方、いろんなシーンでつけてもらえたら嬉しいです。

 「ネイルを通して人の尊さと輝きを伝えたい。」

これは、壁に飾るアートではなく、私がネイルアートにのめり込んでいる理由です。


感覚のアンテナの大切さ
 ランウェイの作品は、手に付いている状態を考えてデザインします。動いた時のしぐさで美しく見えるもの、どういう場所で、どういうスタイルに合わせたものかイメージして創ります。最終チェックは自分の爪につけ、本番の曲を流し鏡の前でポーズをとり、観客からの距離も考えた上で、伝えたい表現になっているか確認します。

 ここで、装飾しすぎていると感じるパーツを外すことがあります。引き算することは勇気がいりますが、“ない方がいい”と感じる自分の感覚を信じます。
 このような細かな感覚のアンテナは、デザイナーとしてとても大事な部分です。自分のピントを極限まで合わせるイメージです。

 こうして作った作品が見る人に伝わり「見たことがない」「物語が見える」「圧倒される」など言っていただけた時は、嬉しく胸が熱くなります。


望みの叶え方
 そんな私の表現を、ファッションの中心パリコレで発表できることがありがたく、愉しみでなりません。ここから広がりゆく可能性を感じ心震えます。      

 私は決して特別な人間ではありません。できるようになってからやっているわけではありません。いつも怖いまま行動しています。初めて行った海外コレクションでは手が震え、悔しくてホテルで泣きました。
簡単にできないからこそ、もう一度やりたい、と思えるんです。怖さより、やりたい気持ちが勝ります。自分が“やりたい”と望んだことを、自分が行動して叶えてあげています。

 「想像できることは未来にある」と聞いたことがあります。

私はこの言葉が大好きです。調子がいい時も、悪い時は特に、“こうなったらいいな!”という状況を想像するのです。コツは笑ってしまうぐらいあり得ない大きな夢をイメージすることです。着ている服や、人の笑顔、顔にあたる風の冷たさや飲んでいるコーヒーの熱さまで想像します。

 嘘のようですが、3年前、あり得ないと思って想像した夢が今叶っています。しかも、想像した内容を大きく超えてきています。ならば、今、あり得ないと思うことも叶う未来がきっとある。

パリコレ ネイルデザイナーという、
社会を創る側に立ちました。

日本のネイルは世界のブランドになる。
その道を爪華師が創れる。

そんなメンバーの中にいれることが幸せです。

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