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主婦からパリコレデザイナーへ②

ネイルを通じて、人を輝かせる

私はランウェイでネイルを見せることに意味を感じています。

動く人の指先にあるからネイルには命が宿り、
なにより人が輝きます。
それがランウェイでは伝えられます。

ランウェイでは、ネイルを通じて人の尊さを伝えたいのです。

「NOBU」の代表的なシリーズ「KOTOZUME」は、箏を弾く箏爪にデザインしたものです。
奏者の心が音色に表れるという箏のように、誰もが持つ心の大切にしている部分が、凛として現れる作品です。

「KOTOZUME」パリ ルーヴル美術館にて



ネイルアートとしては他にない、片手の、親指、人差し指、中指の3本がメインになります。

そのアートを魅せるようにポーズをするけれど、気配を決めているのは実はアートのしていない薬指と小指。 

“細部が包み隠した内面を想像させる”

私は和文化のこのようなところが本当に好きです。

日本舞踊50年の舞踏家の先生が、日舞は所作がすべて、指先から50cm先に気配を作る、ネイルショーは共感するし応援する、と言ってくださった。

私も常々思っています。
ネイルをつけるとその先に世界ができる、と。

私のネイルもそうありたいと思います。
それを感じ伝える作品を作っていきたい。


パリでは、ランウェイの外国人モデルや、街で撮影した日本人モデルなど、8人のモデルさんが作品を着けてくれました。


同じ作品なのに、それぞれの美しさを感じて、感動しました。

それぞれの景色が見えます。

その人の魅力を奏で出す。
その人の物語を感じます。

もちろんモデルさんの表現力もあると思うのですが、その人の持つ、優しさや強さ、また、野望や弱さまでも映し出すように思います。

それがとても美しく、心が震えます。

私がモデルさんに作品をつけてもらう理由は、
自分の「アート」を素敵に見せたいからではありません。
ネイルをつけた「人」を素敵に見せたいのです。

そして、自分もあんな風になるなら着けたい
と思ってもらうことです。

マネキンでは意味がないのです。

「扇 Ougi」 パリ オルセー美術館にて





一人の夢から公の夢へ

主婦から始めた自宅サロンから、ついにパリコレに参加するネイルデザイナーに選出されるまでになりました。

デザイナーとして海外コレクションに立った経験は、私の生き方を大きく変えました。
モデル、メディアなど関係者からの扱われ方やその後の反響から、「流行を作る側」になったのだと強く感じました。

流行りのものを買ったり、真似したりする側ではなく、まだ世の中にない新しいものを生み出す側になったのです。
いわば、他のどんなブランドとも同じ立場であり、もう、◯◯ブランド風のネイルは作れないのです。

これは常々、誰かが流行らせたもの、広く出回ったもの、みんながなぞったものを追い回すことにどこか乗り切れず、違和感を感じていた私の世界がクリアになりました。

もちろん、生み出す時には苦労も多く、簡単なことではありません。
でも、ないものを生み出す愉しさは大きく、喜びも格別です。

本質的な部分を感じること、行かないと手に入らないものがあること、そこに価値を感じる人たちといると楽しいし、そういう人たちと関わっていきたいです。

「紅葉」パリ ティイルリー公園にて


昨今は、AIがアートを作れるなんていう時代になり、これは結果だけを求める人や、類似品を作る人には驚異になるかもしれません。
でも、AIのデータにはないような、その瞬間に自由に創るものや、人知の枠を超えるぐらいの情熱をかけて創るアートはAIでは作り出しようがない次元の話で、逆に差がつくのではないかと考えます。

私だけでなく爪華師のネイルデザイナーの創る、高いクオリティと、想いのある極め尽くしたデザインは、これから先も必ず価値を感じてもらえるはず、と自負しています。

また、これまで私は、とにかく、私自身がワクワクすることを続けてきました。
作品を創ることや表現することが愉しく、海外に行くチャンスがあるのなら挑戦したい!と進んできました。

活動を知ってもらうため、さまざまな分野の方に話をしに行きました。

そうしていく中で、最近は、初めて行った店で「ネイルの永田さんですよね?」と言われたり、
「知り合いのネイリストさんが爪華師のこと知ってると言ってたよ」など
知らないところで爪華師や私のことを知っているという人が増えています。

私のような活動を目指したいと思ってくださる方、同じような思いで活動していて共感してくださる方、また、すでに多くの経験と実績をんできた方が「初心に戻り、大切なことを思い出せる」と応援してくださる、そんな方々がまわりに集まってくださっています。

私が進むことが、誰かの夢になるのだと気づきました。

社会に影響を与える、なんてまだまだだと思っていましたが、もしかしたら、もうそうなり初めているのかもしれません。

まだ、ここから。

叶う未来があるのならチャレンジしたいと思うのです。

ネイルには力があると信じています。
多くの方にネイルの価値を知ってほしい。

ネイルだけでどこまでの世界を作り出せるのかやってみたいです。

その創った世界はどこまで拡がるのか、
きっと広く遠く…
たくさんの人の気持ちや社会まで変える力になり得るかもしれません。

私にその力と可能性があるのなら挑戦してみたいのです。
一緒にその世界を見てくださると嬉しいです。


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