見出し画像

単独ネイルランウェイができるまで #5

4月10日京都宇治 興聖寺
世界初 単独ネイルランウェイの舞台裏

-NOBUコレBackstage ⑤-


【神がかったランウェイ】

 ランウェイ本番の4月10日。
会場の京都興聖寺は、春の眩しい光と澄んだ空気で私たちを迎えてくれました。
前日まで自分のできる準備をやり切った私は、後は天に任せる気持ちでした。できれば本番だけはぐっすり寝て挑みたかったのですが…、作品の仕込みなどの準備が朝までかかり、徹夜で迎えました。



 この日まで、ネイル作品、場所、モデル、衣装、ヘアメイク、音楽、演出などゼロからすべてを決めてきました。
表現したいことをイメージしてそれぞれを決めてきましたが、すべて私の頭の中だけで考えていたことで、それを初めて合わせるのが当日でした。


 本堂や回廊の障子や重い木戸をすべて外し、200席の椅子を並べた会場は、光と風が通り、ため息が出るほど神々しい空間になりました。
モデルさんのヘアメイクが終わり、衣装を着て、ネイルをつけて…本番をバックステージの戸の隙間から見た時、「なんだこれは」とびっくりしました。
まるで何か別の力が働いたかのように、創り出したはずの私のイメージを超え、ため息が出てしまうほど神秘的な気配の素晴らしいものでした。

私のイメージを軽く超えてくる世界でした。



 今回、表現したのは「日本精神」と「人の輝き」です。
 第一部は、枯山水の庭を囲んだ長い回廊すべてをランウェイにして、遠くから黒と白の衣装のモデルが近づいてくる演出に。客席のある本堂の前で、光を背に光が透けたり反射して魅せるデザイン15ルック。後光が差して浮かびだすシルエットは確かな存在感を見せました。


 第二部は、自然豊かな小さな庭を望む和室にて。水と音と箏の音色が響く中、墨染めをイメージしたメイクに柔らかなストールを巻いたモデルが風を纏って通ります。目に見えない脈々と受け継がれるものを大切にする日本の心を表現した15ルック。

ラストルックは、墨染めの衣装での扇のデザインは、その時代の彼らが目の前にいるように見せました。



 すごいものが出来上がりました。
ネイルだけを見せるという小さな視点ではなく、人が輝き、あの時間、お寺全体が私の表現になっていました。
来られた観客の皆さまも本当に感動し、涙を流してご感想を伝えてくださいました。
ゲストのみなさんの気持ちも一緒にあの場を創ってくださっていたのだと感じています。動画や写真では伝わりきらない、現場の実際の表現を見てくださった皆さまに感謝いたします。


 思えば、本番の数日前。
私は「ここまですべてをかけてきたものに、『何か』が起こらないわけがない。」とどこかで確信したような気持ちになっていました。
たくさんの方にサポートしてもらっていたとはいえ、準備は多岐に渡り、時間はいくらあっても足りず、寝食を忘れて取り組んだ数ヶ月。
それでも、やりたいことに向かう過程の時間は、辛さなどはなく、時間があるならあるだけ準備したい、そんな気持ちでした。

自分でもこれ以上できないところまで心を費やしました。
その結果には、必ず「何か」起こると感じていました。
それは、ショーの成功とか、失敗とかそんな次元ではない『何か』です。

 私はやりたくないことを我慢して続ける馬力は、きっとありません。逆に、誰よりもないかもしれません。
単独ランウェイを出来ること自体が大変幸せなことで、これをやると決めて頑張らないなんて考えられませんし、なにより、たくさんの方に応援してもらっていることがやり切る力になっていました。





 当日バックステージにいたスタッフは約60名。
モデルさん、ヘアメイク、ネイリスト、衣装、箏演奏、映像、カメラマン、演出、会場設営、お客様対応…など、多くの人の力があってショーが作れました。
「こんなスムーズにいったショーははじめて」と、いつもショーをプロデュースする代表の磯部さんに驚かれました。
想いに共感し、みなさんがそこを目指してくれたからだと思います。

まだ見ぬものを創る挑戦に、力を貸して下さり、ご協力くださった皆様には感謝しかありません。本当にありがとうございました。




【ここからがスタート】

 ランウェイが素晴らしいものになったので、会場に来られていない方からも大きな反響をいただき、大変有難いことに作品も数点ご購入していただきました。
 作品を使っていただけることは、私のなによりの目標であり、その道が拓けたことが本当に嬉しいです。
「ランウェイを見て、インスピレーションが湧いた」とたくさんのご意見をいただいています。
こんな時にネイルが必要だと価値を感じもらえる、こんな喜びはありません。これからもそう感じてもらえる作品とショーを創っていきたいです。

 また、これまで私はショーの現場では実際に作業をしてイベントを作る側でした。
今回のように、自分がプロデュースし、まわりの人たちが動いて、自分の想いがカタチになっていく経験ははじめてでした。

さらに、集客、資金集めも一人でやりました。
あとから知りましたが、クラファンを一人でやることはかなり稀だったようで、驚かれます。


「今」から「全体」へ
「プレイヤー」から「マネージメント」へ
「愛情」から「志」へ


 目指していた場所に足を踏み入れたのだと感じています。
達成感を感じている暇がないほど、ここがスタートだと感じています。
私はゴールとしてこのランウェイをしたわけではありません。ここから、さらに活動を広げていくことが、今回関わってくれた方や応援してくださった方への恩返しだと思っています。

 また、一度経験した私は、自ら進みながらも、これを伝えていく役目があります。私が一歩を与えてもらったように、ネイルデザイナーをしたい人にその場を創れたら幸せです

 進んでいくには、いろいろな困難もあるかもしれませんが、一緒に夢を見てくれる仲間がいれば、とんでもない力になることを知りました。
 これこそがやりたかったことで、これこそが表現したかったことなのかもしれません。

 行動するとたくさんのことが見えてきます。
行動した人だけが知る世界。大変大きな経験をさせていただきました。本当にありがとうございました。
これからも、邁進していきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?