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ピアコンサルテーション:Slack利用例とコツ

前回の記事でオンラインでのピアコンサルテーションをお勧めしたところ、Slackでピアグループスーパービジョン(以下GSV)を行っているという帝京平成大学現代ライフ学部准教授の田代信久先生よりTwitterでコメントいただきました。「すっごく良い感じの機能するんですよね」という先生の言葉に、「そう聞いたらもっと知るしかない」と図々しくも具体的な利用法を伺い、約2年間SlackでのGSVを通して得たコツを教えて頂きました。田代先生の許可を得てこの記事でシェアします。SVやピアコンサルテーションの一つの形として参考にしていただき、皆さんが求める場作りのヒントにしていただけたら嬉しいです。(この記事ではGSVとピアコンサルテーションを同義語として使っています。)

きっかけ 

公認心理師そして臨床心理士でいらっしゃる田代先生がSlackでのGSVを始めたは、公認心理師資格成立によりSVの必要性が高まったことと、コロナ禍で対面SVが難しくなったのがきっかけとのこと。

募集方法

Twitterで募集。相互Followをしているかたがほとんどで、Slack内GSVでは実名と所属を表明しての参加。

メンバー構成と現在

臨床経験3~20年程の臨床家、約20名が参加。その半分ほどがアクティブに発言。臨床経験年数に幅があるものの関係性は割とフラットで、院生室での議論っぽい雰囲気で運営されているとのこと。発言したりケース出すのは臨床心理士や公認心理師の場合が多い傾向にあるとのこと。

SlackピアGSV運営とコツ

さて、実際にどんな形で運営されているのかを、ほぼ田代先生のお言葉をそのままお借りしてシェアします。

1)スレッド分け:自己紹介、雑談愚痴、ライト相談、ディスカッション臨床事例検討と、4つで構成。雑談愚痴からライト相談、ディスカッション臨床事例検討に移ることもあり、柔軟に発言者の考えで発言場所を移動出来る。

2)雑談愚痴:一番活用されているスレッド。雑談で良いことは何を言っても批判されないフラットな場所であるという認識が出来ることなので、雑談愚痴のスレッドが高い利用率を示しているのは健全な組織の指標になると考えています。

3)ライト相談:資料や書籍を知りたい場合や、困ったことを何でも聞けます。ライト相談かディスカッション臨床事例検討かは発言者がどこに書き込みたいか発言者の意向で決められる。

4)ディスカッション臨床事例検討:いわゆる事例検討のように主訴、家族構成、心理検査結果などを書き込み、それについて各々が意見を述べていくGSV方式。そこでも、批判はしない、追加資料については求められる。最終的に自分の面接に意見を反映させるかは自由。Slackという空間でも、院生時代や臨床研修に学んだ、どの情報をどこまで含めるかという事例発表方法やディスカッションの経験がとても生かされているよう。

最後に-服部より

田代先生がSlackをGSVに使っていると初めて聞いた時の感想は「SlackをSVに使うとは考え付かなかった!」 オンライン化が進んだことで自分が考えていなかった選択肢が他にもあるかもとちょっとワクワクしました。けれども、文字だけのSlackでどんな風にSVするのかちょっとピンとこなかったのでより詳しく聞かせて頂きました。

うかがって思ったのは、自分がしているSVが非言語情報にとても比重を置いているために、言語だけのSVやピアコンでも役に立つ部分がかなりあるのに、そこをすくいあげられるSlackという方法をまるまる見落としていたということ。Zoomを使ってのピアコンもいいのですが、常に時間が足りないという感覚が残ります。そこで、今思うのはこの二つのハイブリッドも結構いいのではないかという事。色々な方の実践方法をうかがうと、こんな風に自分にとってピッタリくる新しい方法を考えるきっかけになりますね。

また、私が「!」と最初に思った、田代先生の「すっごく良い感じの機能する」というコメント。それは「何を言っても批判されないフラットな場所」「困ったことを何でも聞ける」という、グループ内で共有されている文化や価値観というのを発起人である田代先生が意識して作ったという部分が大きいのでないかと思います。どんな方法を使うということよりも、どんな価値観なのかを明言することが、うまく機能するピアコンの最大のコツだと思います。

みなさんも、自分が望むピアコンの形が見つかるといいですね。みなさんがすでにしているオンラインピアコンやSVの方法がありましたら是非コメント欄でお知らせください。

最後に田代信久先生に改めてお礼を申し上げます。



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