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2年前の10月3日(この日は水曜日)

10月だというのに台風が・・・という騒ぎが起こっていました。
チームビルディングやコミュニケーションのあり方について、この時考えて実践していたことが今後に役立つヒントになるかもしれません。

10年日記で振返る

当時私は沖縄に本社のある会社で仕事をしていて、10月5日に2019年新卒の内定式を沖縄で行なう予定で準備を進めていました。そこに突然「台風が来る(直撃)」というニュース。もう10月なのに何で?勘弁してほしい・・・それがこのニュースを聞いた時の正直な感想でした。

内定式なのに台風直撃・大慌ての日程変更

降ってわいたような台風騒ぎで必要だった作業はこんな感じでした。

・中止ではなく「延期」として新たな日程を決定
・内定式の会場に連絡をして「日程変更」をお願いする
・新卒内定者に「5日は延期することと新しい日程」の連絡をする
・新しい日程を会社の幹部に連絡してスケジュールをキープ
・沖縄以外から参加するメンバーのチケット手配 などなど・・・

私は東京勤務でしたので主に後方支援の役割、沖縄在勤のチームメンバー二名(人事・総務担当)が手分けをして作業開始、内定式の会場はキャンセル料なしで日程変更を了承(運よく同じ会場が使えることに)、内定者とはそれ以前からLINEで連絡を取り合っていたので全員に延期を通知、会社幹部の日程調整も無事終了、チケットもキャンセル料なしで変更、ということで翌4日にはすべての手配が完了していました。

直撃が予想されていた台風25号、オフィスの台風対策(備品の移動や窓ガラスへの飛散防止テープ貼りなど)も早急に対処しなければならない中でしたが、他部署の人たちが協力してくれた、と後で聞きました。

同じ場所に居ないからこその密なコミュニケーション

実は沖縄のメンバー二人は「内定式」を担当するのが全く初めて、それなのにこの想定外の台風騒ぎでどうなることやら、と正直不安はありました。ただ彼らは私が細かく指示を出さなくても、自分たちで必要と思うことを進めてくれました。

私自身は過去に何度も内定式を企画・運営したことがあるので、この内定式についてすべて私が決めてしまうことも可能でした。ただ、新卒採用や内定式をしないという会社もある中で、貴重な機会を是非経験してもらいたいと思ったので、最初のミーティングの時にそのことを伝えました。

「誰にでも初めてはあるし何事も経験。物理的に離れているけれど、情報は細大漏らさず共有するし、不安になったらサポートもする。唯一ハードルの高そうな上(経営陣)との交渉は私が頑張るから」と話しました。
その後のメールやオンライン会議などのやり取りでは、単なる進捗報告だけでなく「ものごとの進め方(段取り)」や「交渉にあたっての考え方」などについても話をしたのを覚えています。

自分達で会場の下見や見積り依頼、価格交渉、内定者との連絡などを担当していたので、「延期」になった時にどこにどんな影響が出るか、何をすれば良いのかがイメージできたのでしょう。私に言われて何かをするのではなく、自分達で考えて主体的に動いていたからこそ、想定外の事態にも対処できたのだと思います。

また、新卒内定式も事や、その準備で人事・総務の二人が動いていることは私から沖縄オフィスの他部署メンバーにも伝えていたので、台風対策ではナイスなチームワークを発揮してくれたのだと思います。

チームの成果はメンバーのもの

延期になった内定式は、爽やかな秋晴れのもとつつがなく終了(と日記に書いてありました)。
「台風騒ぎでどうなるかと思ったけれど、良い内定式だったね」「内定者のほとんど全員と色々な話ができて楽しかったよ、ありがとう」などという経営陣からのお褒めの言葉は、頑張った二人に直接伝えてもらいました。

内定者達も自分たちのために色々と準備をしてくれた沖縄のメンバーには、口々にお礼を言っていました。内定者達が翌年入社して一番最初に接するのも沖縄の人事・総務担当の二人です。内定式できちんと顔つなぎをしておけば、翌年4月の入社後も新人たちは安心して過ごすことができます。

実はそこまで考えて私は黒子に徹していたのですが、私には沖縄の二人が内定式を無事に企画・実行できたことや、東京と沖縄に離れた私達がチームとして機能したと実感できたことが最高のご褒美でした。

2020年チームビルディングのあり方が変化する

同じ場所や時間をメンバー全員が共有できないというチームは、2年前には珍しかったかもしれませんが、2020年10月時点では特別なことではなくなりつつあります。

在宅勤務をする人が増える、会社の指示でオフィスに出社できる人数が限られる、出社しても短時間しかオフィスに居ない、など働き方は大きく変わっています。オンラインで顔を見ることはできても、会えないのです。同じ空間を共有できないのです。

テレワークは便利なものではあるものの、きちんと工夫をしないとコミュニケーションの頻度や密度が変わってしまいます。オフィスの廊下やエレベーターホールなどでのちょっとした立ち話や、ランチタイムの何気ない雑談などの機会が少なくなっていく中で、チームの中での自分の位置に悩む人が増えるかもしれない、と危惧しています。
自分はチームにメンバーとして認めてもらっているのか、自分の仕事ぶりはどう見られているのか、”目の前に相手がいない”時代だからこその悩みだと思います。

私自身も今年参加し始めたプロジェクトでは、未だにチームメンバーの誰とも一度も会えないまま半年以上が過ぎてしまいました。そんな状況なので最近リーダーが危機感を抱いて、月1回の定例オンライン会議が始まりました。また、私自身も少し不安になることがあったので、お願いして他のメンバーと顔を見ながら(オンラインながら)話す機会を作ったことで、ようやくチームの一員として安心することができました。

社会人経験の長い私ですら不安になるのですから、この不安感は誰もが抱くものなのかもしれません。組織を運営する立場のリーダー達は、今後ますますコミュニケーションの取り方やチームビルディングの方法に工夫が必要になってくるのだと思います。

たまには会って話がしたいと言う思いから「日を決めて月に2回、メンバー全員が集まることにした。それも10時30分開始、12時30分終了。通勤ラッシュにならない時間帯でオフィスに集合して、ミーティングの後、希望者でランチに行って解散。会社で一番広い会議室を使って、マスク越しだけれど同じ空間で話をすることで、ずいぶんメンバーの表情が明るくなった」とは最近知人から聞いた話です。

コロナとの付き合い方に絶対の正解が見えない中、まずはトライしてみる、不都合があったらやり方を変える、そんな柔軟な姿勢が必要なのだと思います。

(3 Oct. 2020)



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