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#002 楽譜を読むということ

「楽譜」を見て演奏するとき、いったいどのように楽譜にアプローチするのでしょう?
今回のテーマは「楽譜を読むということ」について。
「楽譜」は読んでいくと、なかなか奥の深いものなのです。
「楽譜を読むということ」を大きく3つのステップに分けて説明します。

【その1 楽譜の見方】

まず初めに「楽譜の見方」です。
正確には楽譜に書いてある「記号」の見方と言うべきでしょうか。
楽譜に書いてある記号をいかに解釈し、意味を理解して演奏できるかで、表現のバリエーションが格段に幅広くなるのです。

楽譜の記号を正確に演奏することができれば、実際に曲を知らなくても、また、時代背景などを知らなくても、ある程度は作曲家の意図した演奏ができます。そこが楽譜の本当に便利なところでしょう。

しかし、「ある程度」と言った理由は、2つ目のステップ「楽曲分析」にあります。

【その2 楽曲分析】

「楽曲分析(アナリーゼ)」とは、ひとつには、楽譜から全体の構成、メロディーやベースライン、ハーモニーなど、様々な要素を把握し、曲がどのように組み立てられているか研究をすること。
そして二つには、楽譜から全体の構成を読み取るだけでなく、作曲家の時代背景、文化的背景、また作曲家の人生を知ること。そうすることによって、より作曲家が求めた音に近くことができるからです。
そしてなにより、時代背景や、文化的背景などからくる「暗黙の了解」を知ることがまた特に大事なことなのです。

分かりやすく一つ例を挙げてみましょう。

例えばウィンナーワルツは3/4拍子で書かれていますが、何も知らなければこの3拍子を均等に演奏してしまいます。しかし、もしウィンナーワルツのステップのリズムを知れば決して均等に演奏することはないでしょう。
そう。作曲家は、ウィンナーワルツという、ワルツのステップを、大きくいえば伝統文化を「暗黙の了解」で、当然知っていて当たり前、が前提で楽譜を書いているのです。
つまり、楽譜に書いてある記号だけでは、的外れな演奏になってしまうのです。
作曲家がどのように考えていたか、また過去の事実を知ることは当然の事ながらできませんが、「楽曲分析」をすることにより、少しでも作曲家の意図に近づくことはできるかもしれません。(作曲家の意図の通りに演奏しなければいけない、というわけでは決してありません。様々な演奏法に関する考え方がありますが、それはまた別な機会に触れたいと思います。)

【その3 演奏表現法】

そして3つ目のステップが「演奏表現法」です。「楽譜の見方」を知って、「楽曲分析」ができたら次は、それをどのように具体的に「音に」表現をしたら良いかを考えます。
「演奏表現法」は、料理で言えばレシピが出来上がったところで、今度はどのように調理をするか。という料理のテクニックのようなものでしょうか。

料理というものはなぜか不思議なことに、同じレシピを使っても、作る人によってだいぶ見た目も味も変わるものです。
同じように、音楽も、同じ楽譜を使っているはずなのに演奏する人によって全く違う音楽に聴こえてしまうものです。

実は「楽譜」というのもは、作曲家が思った以上に、頭の中で流れてる音楽を楽譜には書ききれなく、どうしても記号だけでは伝えるのに限界があるものなのです。
「楽譜には全て書かれている」ということではないわけですね。
正確には「楽譜に書いてあることは全て必要である」というのが正しく、「楽譜には全て書いてあるわけではない」のです。

演奏者は作曲家が楽譜に書ききれない部分を補って、演奏を聴く人に「音楽を伝える」ことがとても大事なのです。
そして、その「音楽を伝える」技術が「演奏表現法」です。
前回の記事にある「フレーズ」(参照「#001 フレーズってなに?」)もそのひとつです。

「楽譜の読み方」を知って、「楽曲分析」ができて、「演奏表現法」を知る。この3つのステップが演奏する上で必要なのです。

【楽譜を読むということ】

つまり「楽譜を読む」ということは、楽譜に書いてある記号を忠実に把握し、さらに、ただ楽譜に書いてある記号を読むだけではなく、「楽曲分析」により、作曲家の意図する構成を理解し、そして楽譜に書ききれなかった作曲家の意図を想像し、「演奏表現法」で、時には作曲家の想像すら超える演奏効果を生み出すこと。
これらすべてを含めて「楽譜を読む」ということなのです。

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指揮者&オーケストラプロデューサー。クラシックから、オペラ、ポップス、映画音楽はじめ、様々なジャンルのオーケストラを独自のスタイルで活動を展開する。また、クラシックの音楽を中心に「演奏法」ついて研究している。 https://www.okumuranobuki.com/
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