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2024年3月9日の僕。

日記です。

今の僕は、一年前の僕の惨めさをすっかり忘れて、なんであの頃あんなことで悩んでたんだろ?と僕が嫌いだと思っていた人たちと同じようなことを考えてしまいます。そんな僕がなんだか嫌で。
いつかこんなことを思う今の僕すら忘れてしまうのだろうと思うと、すごく薄情で不誠実な気がして。
あの頃、必死に悩んで、死にたくて、それでもそんな勇気もなくて、すごく惨めで。それでも生きてくれた僕がいるから、今の僕がいることを他の誰でもない僕に忘れてほしくないと思いました。だから、これからちょくちょく日記を書こうと思います。

そして、もしかしたら、未来の僕は日記を書いていた僕のことすら忘れてしまう知れないので、この駄文はここに置いておこうと思います。そうでもしないと今の僕が浮かばれないので。


なんとなく勉強が嫌になって、ふと、窓をあけると、青々とした寒空と、地平線から覗く陽の光とがぶつかり合って、紫とも白色ともいえぬわずかな空の境界をつくっていた。雲ひとつなくて、隙間なくきっちりと塗られた既製品のような空模様はこの世界がまるで小さな模型であるかのように思わせる。冬の澄んだ空気のおかげか、隣の家の屋根の形がいつもより鮮明に見えて、余計にそう思った。まだ日は完全に落ち切ってなくて、わずかな光が、ポツポツと並ぶ家々から後光のように漏れ出している。
などと、テスト勉強を思うようにできない心の屈託が、僕にこんなどうしようもない駄文をかかせる。ビュウ、と窓からぬき抜ける風は確かに冷たいけれど、それでも2月の身を切るような寒風とはにてもにつかなかった。こんな文章を書いているうちに、いつしか空の境界はきえて、薄暗い冬の夜空と、わずかな陽の光だけが残った。夜闇のせいで、もう屋根は見えない。冷たいけれど、わずかな暖かさも孕んだ風は、僕に高校2年生の終わりを酷薄に告げていた。

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