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パンデミックの今話す映画『コンテイジョン』&『ワールド・ウォーZ』

2020年3月11日、WHOの事務局長が、新型コロナウィルス感染拡大を「パンデミック」に相当と表明した。
それで思い出すのが、感染症パンデミックの恐怖を描いた、スティーヴン・ソダーバーグ監督の『コンテイジョン』(11年)だ。

コンテイジョン』”Contagion”の意味は、「伝染、接触感染」など。映画はその感染の原因がラストにわかるようになっている。ネタバレになるので、後でその辺りを書くが、今見るとめちゃリアルで余計に恐さを感じた。

あらすじ

マット・デイモン扮するミッチの妻ベス(グウィネス・パルトロー)は、香港出張から自宅のあるミネアポリスへ戻り体調を崩し、病院へ担ぎ込まれるがすぐに亡くなる。途方にくれる夫だが、幼い長男も直後に同じ病気で命を落とす。
実はベスは、出張帰りにシカゴへ立ち寄り元カレと密会していた。シカゴ、東京、ロンドン、香港からも同じ原因不明の感染で死亡者が報告され、やがて感染は世界に拡がりパンデミックになっていく・・・

劇中「顔を触らないで」とか、新種のウィルスは豚とコウモリの混合で進化しているとか、病床が足りなくて体育館にベッドをおいたり、ネットのおかげで人々がパニックになる様子だとか、今現実に新型コロナ肺炎により世界中でおきていることが重なり、公開当時見たときよりもリアルを感じてしまう。

Reference: YouTube

※ここよりネタバレあり(注意)

人類を助ける女性たちの活躍

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)で働く医師のミアーズ(ケイト・ウィンスレット)は、ミネアポリスでベスの解剖をし、調査半ばで感染し命を落としてしまう。遺体として処理される彼女は痛々しい。
同じCDCのヘックストール医師(ジェニファー・イーリー)は、ワクチンを見つけ出し、自ら処方しその効果を見る。まるで「華岡青洲の妻」である。
WHOから派遣され香港で調査を進め、感染源がベスであると突き止めたオランテス医師(マリアン・コティアール)は、ワクチンを身代金に誘拐されてしまう。

かように命を張って、人類を助けようと奔走するのが女性たちなのだ。
男どもというと、CDCの責任者チーヴァー医師(ローレンス・フィッシュバーン)は、シカゴにいる恋人にそっと「すぐ逃げろ」と教えたり、ワクチンを早めにもらったりとちょっとセコいし、人間が優しすぎるのが難点。
フリージャーナリストのアラン(ジュード・ロウ)に至っては、ネットで感染が始まり政府は隠蔽しようとしていると果敢に攻撃し、フォロワーを増やしインフルエンサーとなってから、感染したがレンギョウが効くなどとデマを流し、暴動騒ぎを起こしても、自分は億万長者となりワッハッハなんだからなぁ。まったく情けない。

映画の中では、権威を持っていたり、立場が高かったりの専門家や、ネットで声が大きくなってる人間を信用しちゃいけないという事を教えてもらえるし、一番大変で頑張っているのは現場の人間だということを改めて思わされた。表に出ない人ほど本当はエラいのだ。それを描いてる事がこの映画の存在価値だと思う。

(ぼくが暮らす)香港でこの映画の評判が悪い理由

そしてラストに明らかになる、ベスが感染した原因は、彼女が働く大企業アルダーソンが(中国内の)森林を伐採したため、感染源のコウモリが養豚場に飛んでいき、そこで豚に感染。その豚を調理中の香港の料理人とベスが素手で握手したため感染したというオチなのだ。

この映画が香港で公開された時に評判が悪かったのは、そのせいである。だからなのか香港のNetflixではこの映画は現在見れない(日本では見れる)。
つまり、2003年にSARSで痛い目にあった香港人はトラウマになり、衛生面では非常に敏感になっている。調理途中のシェフが手も洗わず客前に出るなど(映画とはいえ)あり得ないと香港人は思ってる

今回の新型コロナ肺炎は中国・武漢の中心部にある市場で、生の動物(コウモリやネズミなど)を食べていたことが原因ではないかと言われている。コウモリはホント怖いのだ。

香港で話題となった『ワールド・ウォーZ』

その中国・武漢からウィルスが出始めた2020年の旧正月頃(1月下旬)、これは『ワールド・ウォーZ』にそっくりだな、と香港人の間で話題になった。

WORLD WAR Z』の原作では、ゾンビの感染源は中国で、共産党の無策により全世界に拡がってしまう
原作のゾンビは、未知のウィルスに感染して変貌する。物語はゾンビ発生源である中国を始め、アメリカ、ロシア、日本、ドイツ、インド、ブラジル、オーストラリア、イスラエル、パレスチナ、イランと様々な国におよび、ゾンビ・パンデミックが拡がっていくというもの。

映画版『ワールド・ウォーZ』(13年)は、原作とは全く違い、フィラデルフィアに暮らす元国連職員(ブラッド・ピット)が、家族を守るため、世界各地で流行しはじめた謎の疫病によるゾンビを抑え込むために奔走する。

この映画は、莫大な興収が期待できる中国での公開を視野に入れ感染地の変更を行ったが、中国では公開されなかった(香港では公開された)。
当初の予告編では”Chinese is duck“というシーンもあったらしい。それら全てをカットしたが、中国の検閲は通らなかった

映画自体は、優秀な科学者が登場してすぐ滑って死んでしまったり(←なんのために出てきたのか?)、ゾンビから主人公のブラッド・ピットが必死に逃げてる時に奥さんが携帯にかけてきたり、墜落した飛行機から歩ける距離にWHOのラボが突然あったり、ブラピが数十本あるワクチンの中、偶然効くワクチンを見つけ、ラストで唐突にペプシコーラを飲んだり(はぁ?)とツッコミどころ満載の楽しめる作品に仕上がってる😅 (これもNetflix で見れます)

マスク、手洗いを徹底して、くれぐれも感染防止に気をつけましょう

てなことで。



最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!