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【岡山弁で書いてみた映画レビュー】 周防正行監督作品 「カツベン!」じゃ!

「カツベン!」いうたら、若(わけ)え人らはトンカツ弁当と思うかもしれんのお。じゃが違うんじゃ。「活動写真の弁士」の略じゃ。
映画の最後に、阪妻の「無法松の一生」他、活動写真時代からの大監督・稲垣浩さんのコメントにあるように「日本にはサイレント映画はなかった。なぜなら弁士がいたから」の通り、こりゃぁ日本独自の文化じゃったんじゃ。
周防正行監督の「舞妓はレディ」以来5年ぶりの新作は、映画興業草創期を描いたコメディじゃった。

わしが観る前に想像しとった映画と、ちいと違(ちご)うとったんじゃ。周防監督らしゅうねえ映画じゃのぉ、と思うたら、脚本は片島章三ちゅう人で、今回は監督だけじゃったんじゃて。

もし周防さんが脚本書いとったら、後半は活動写真の時代が終わって、トーキー映画になり、弁士がいらんようになるっちゅうドラマになるんじゃねえかと思うとった。じゃけど、後半はドタバタ喜劇が続いてそのまま終わってしもうたわ。

この映画は、あれじゃのお、周防監督らは、バスター・キートン、ハロルド・ロイドやチャップリンみてえな、スラップスティック・コメディを撮りたかったんじゃろうのぉ。
主人公がヘマこいて、ギャング(やくざ)に追われ、それを警察官が追う、ちゅうのは洋物サイレント映画の定番じゃけぇのぉ。

Reference YouTube

弁士が映画興業のスターになった時代があったっちゅうのは、やっぱ日本は講談や落語の語り芸の文化があったからじゃろう。
永瀬正敏扮する山岡秋声ちゅう弁士が、「最近は活動を映画と呼ぶようになった。映画に説明はいらねえ」と言うけど、サイレント時代は、弁士の舌先三寸でメロドラマもコメディに変えることが出来たんじゃけぇ、すげえのぉ。

出とる人らぁは、みんな芸達者じゃったのぉ。主演の成田凌ちゅうのは弁士も上手にやっとらぁ。ええ男じゃけぇ、けえから先にスキャンダルを起こさにゃあええがのぉ(笑)。映画スターになる沢井松子役の黒島結菜は、大河ドラマ「いだてん」で見た事があったわ。あの学校にピケをはった気の強(つえ)え娘じゃろ?

周防作品の常連さんの竹中直人、渡辺えりはやっぱ面白えわ。井上真央、小日向文世、竹野内豊、高良健吾、音尾琢真、田口浩正… それに草刈民代も無声映画のシーンで出てくる。みんな上手じゃわ。

時代の流れで、芝居小屋が映画館に変わっていったんじゃ...。フィルムの端切れを繋ぐのは「ニュー・シネマ・パラダイス」じゃのぉ(←ネタバレすな!)

そんな映画愛あふれる、面白え映画じゃった。けど、100年前を描いとるけぇ、けえから100年後に残っとるか?ちゅうと、それはクエッション・マークじゃのぉ(笑)

ほんならまたじゃ!

16-Oct-20 by nobu

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!