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【人間観察】「ボク!なん年生?」

昨日、図書館へ行った帰り道でのこと。

前を行く、下校途中の小学生が目に留まった。背負うランドセルが真新しい。おそらく今年の春、小学校に上がったばかりで、ピカピカの一年生だろう。小さなマスクに、<やまのぼ>のこころが傷む。楽しいはずの学校生活なのに・・・。

コロナウイルスが容赦なく奪っている現実に、無言の怒りが込み上げてくる。そんな思いを懐きながら、その一年生に追いつきかけときのことだ。

彼は突然振り向きざま、<やまのぼ>に「こんにちは!」と挨拶をした。
<やまのぼ>は、ドギマギしながら、辛うじて「こんにちは!」と返すのがやっとだった。

なんて、外交的で利発そうな一年生だ。

<やまのぼ>は、つい気軽に「ボク!なん年生?」って問うてみた。
多分、「一年生だよ!」って、にこやかに応えてくれるだろうと思っていた。

ところが、ドッコイ!全く予期せぬ言葉が、その小さなマスクを通して届いたのだ。

「個人情報なので応えられません!」
「・・・」<やまのぼ>は軽い眩暈がして、返す言葉を失いかけていたが。

「そうだね、個人情報だモンね~!お利口だね」というと、彼は軽く頷くような仕草をした。

気を取り直して、彼を追い越し、振り向きたい気持ちを、グッと抑えながら、帰路についた。

実は、あのとき、ふり向いて彼が自宅に入るのを目撃したら、「個人情報だから、見ないで!」って、厳しく指摘されるという、現実には起こりそうもない情景が、頭をよぎっていたのだ。

ところで、誰がどこで、何の目的で「個人情報」という文言を、彼に教えたのだろう!そして、彼はどこまで理解しているのだろう?

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