離婚に伴う財産分与と税金2(分与される側)

贈与税
 離婚に伴い財産分与で財産を受け取った場合、原則として贈与税はかかりません。贈与ではなく、夫婦の財産の清算などのための財産分与請求権に基づき給付されたものであるのが理由です。
ただし、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他一切の事情を考慮しても多過ぎる場合には、その多かった部分に該当する額に贈与税がかかり、贈与税や相続税を免れるために財産分与が行われたと認められる場合には、全額に贈与税がかかります(相続税法基本通達9-8)

第二次納税義務
 第二次納税義務とは、納税義務者が国税を滞納していた場合、その財産について滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に納税義務者と一定の関係を有する者が、納税義務者に代わって租税を納付する義務をいいます。
 そして、その不足と認められることが、当該租税の法廷納期限の1年前の日以後に滞納者が行った無償または著しく低い額の対価による財産の譲渡、債務の免除、その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得しまたは義務を免れた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(滞納者の親族その他の特殊関係者の場合は、受けた利益の限度)において、第二次納税義務を負うとされています。
 財産分与が行われた場合で、無償譲渡等の処分に該当するのはどのような場合かについて、国税不服審判所の裁決例では「離婚における財産分与が民法第768条の規定の趣旨に反して不相当に過大である場合には、不相当に過大である部分について徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分に該当するというべきである」としたうえで、財産分与は、1清算的要素、2扶養的要素、3慰謝料的要素の3つの要素から構成され、財産分与が民法第768条の規定の趣旨に反して不相当に過大であるか否かは、「1夫婦双方がその協力によって得た財産や夫婦それぞれの財産の額、並びにこれらの財産の形成への協力や貢献の状況等、2婚姻期間の長短や、婚姻期間中の生活状況等、3離婚後の扶養の必要性、及び4離婚の原因等の諸事情を考慮して、財産分与の三要素に相当する額をそれぞれ算定した上で判断するのが相当である」としたものがあります(平成30年1月11日裁決)。
 分与する側に国税の滞納があるときは、注意する必要があるでしょう。

不動産取得税(都道府県税)
 夫婦の財産関係の清算という性質の財産分与である限りは、不動産取得税はかかりません。

登録免許税・固定資産税

登記名義の移転手続きをする際には、登録免許税を支払う必要があり、また所有者に課せられる固定資産税も支払っていくことになります。

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