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つれづれ読書感想文(その14)

Youtube の本紹介チャンネル。
それを見ているとたびたび紹介される作家さんが「千早 茜」さんだ。

今まで読んだことがない作家さん。
とりあえず気になったので読んだのが
「透明な夜の香り」

花の香り、町の香り、森の香り。
いろんな香りがある中で人も香りを放っている。
それが体臭にも表れる。ダイエットしていて炭水化物を食べていない香り。
肝機能が悪くなっている香、死臭。
そして嘘をついている香り。

どんな香りもその人の記憶に意識しない深いところで結びついている。
つまり、いろんな香りが再現できるのであれば思い出したい記憶や、思い出したくない記憶まで本人の意思とは別の部分で香りが導いてくれる。

調香士という職業がある。
香りを作り出す職業だ、香水はもちろんのことシャンプーやボディソープといった製品にコンセプトに合う香りを作り出す。
もし抽象的な香りを作り出すことができる調香士がいるのであればどんな記憶も思いのままになるのかもしれない。

といった話しかな。

とても読みやすい作品です。いや、分かりません、香りをテーマにしている作品だけあって香りを表現する文章がたくさん登場します。
人によってはわかりづらい(これは経験によるものだと思いますが)

ですが、香りがすき。イメージがしやすい人にとってはとても読みやすい物語だと思います。

また、描写がとても繊細で緻密です。

主人公が何をしていてどんな感情でどんな行動をとっているのかとても分かりやすい。
あまり書きすぎてしまうと、くどくなってしまうところですが、想像してほしい道筋がはっきりしているため想像が容易にできる。

今日のような金曜日の夜や、お休みの日に一気に読み切ってほしい作品です。


余談。
この物語の顛末について私の中で抽象的に表現したいことを題材をベースに表現したいと思います。

新海誠監督の作品は皆さん見たことはありますか。
「君の名は」で大きく取り上げられ、「天気の子」、「すずめの戸締り」
などがあります。

ただ私は少し上の世代でして、「秒速5センチメートル」から入り「雲の向こう、約束の場所」などが新海誠さんの作品のイメージです。

この話は秒速5センチメートルにも君の名はにもなりえる物語にかんじます。そのくらい話の着地点を選べる話だと感じました。

実際にどちらになるのかは読んでみることをお勧めします。


おわり


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