フリーターのとある休日

遮光カーテンの隙間から射し込む光で目が覚めた。こいつは休みの日に限って起こしてくる。だから何度でも寝直してやるのさ。

朝の張り合いにも飽きたら、床に転がっているペットボトルのミネラルウォーターを飲む。この時期のはぬるくておいしくない。でもそれでいい。冷蔵庫で冷やしてあるものは、今日頑張る人たちが飲むから。

スマホでTwitterを見る。寝る前のTLと今のTL、何が違うのか確かめる。その違いにほっこりすることもあれば、怒りや悲しみを感じたりすることもある。今日は……べつに、かな。

自分の心の機嫌は毎日変わる。寝る前の心と今の心、何が違うのか比べることはないが、一緒ではないことはわかる。今日は、あまり機嫌が良くないみたいだ。頭がモヤモヤして、胸がざわざわして、何かから解放されたいような気持ち。

将来への漠然とした不安がまとわりついて吐き気がする。だらしのない自分が嫌になる。全て投げ捨てて、どこか遠い誰も知らないところへ逃げ出したい。あるいは消えたい。

どうにかしてこの不安や焦り、苛立ち、自己嫌悪から逃れる術はないのか探す。Twitterに垂れ流してみても、甘味をバクバク食っても、何も変わらない。胸のざわつきと息苦しさに耐えられるタイムリミットが迫ってきているのがわかる。

精神科で処方されたブロナンセリンをODしたら楽になるのかと、薬をかき集めたところまでいったがやめた。何も変わらないぞと、理性が止めてくれた。(ブロナンセリンは統合失調症に効果のある薬だが、自分では全くその自覚がなく、これを
されたことに納得いっていない)

気を紛らわすために窓の外を見る。遠くの山に雨が降っている様子を見て、鳥になりたいと思った。なんとなく、自由になれる気がしたから。
逆に、鳥は人間になりたいと思うのだろうか。

人間で良かったと思うこともある。それは、夏の夜風を浴びているときだ。強い太陽光で熱された大気が、ひんやりと落ち着いて穏やかに流れ、火照った体を癒してくれる。人間でしか味わえない極上の幸福。

今日は雨が降ったからか、心地よい風がその残り香をのせて、真っ黒の自室に色を持たせてくれる。ずっとこの時間が続けばいいのに。

明日は仕事がある。しかも早出だ。いつもより1時間ほど早く家を出て、正社員と変わらない仕事を正社員よりも安い給料でこなさなければならない。自分で選んだ道とはいえ、やりたい仕事ではないし楽しくもないから、早く辞めたい気持ちがある。しかし、人手不足なので辞めてしまったら残った人たちに迷惑をかけてしまうから辞めづらい。無論、休みも取りづらい。パートのくせに自由に働けない。ちっ。

考え事をして苦しんでいるだけで終わった一日だった。これが明日も明後日も続くようなら、ちょっと困る。不毛な思考ばかりして、仕事も趣味も集中できないだろうから。
あぁ、早く寝ないと。

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