雨上がり
灰色の雲のスリットから白く輝く太陽が覗いている。
向こうの山脈には虹が架かっていつもより鮮やかだ。
水田にもうひとつの空があって、泥の色と混ざってぼやけていて、風がそよぐたびゆらゆら揺らめいている。
黒く濡れたアスファルトはまだ冷たい。
遠くの国道から聞こえる車が走る音は、この場所には不要だ。
脇道に茂る名の知れぬ草は、光の雫を数多にのせて、時折カシャカシャと震えては雫をぽたりぽたりと落とす。
電線で羽根を休めているムクドリと目が合った。
途端にバサッと飛び立ち、虹の方へ飛んでいってしまった。
私は虹と反対の方にある家へと振り向き、雨の残り香を胸いっぱいに吸い込んでゆっくりと歩き始めた。
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