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ラーズ・ヌートバー選手が来日!

 本日3月2日、日本代表に選ばれていたセントルイス・カージナルス所属のラーズ・ヌートバー選手が来日しました。ロサンゼルス発の飛行機に乗り日本までおよそ12時間の長旅だったにも関わらず、報道陣や一目見ようと訪れたファンに笑顔を見せてくれました。そして、

 「1つ目は(日本語で)ヨロシクオネガイシマス。長旅でしたけど、チームに合流するのも楽しみ。日本にタッチダウンする意味で、着陸できて楽しみにしています。緊張もしていますし、楽しみでもありますし、日本を背負って戦うことも楽しみ。日本を代表する選手とプレーできることを非常に楽しみにしています」
Yahoo!ニュース(スポーツ報知)  3月2日 6:50配信の記事より一部抜粋

 と、高校時代に経験していたフットボールの用語である「タッチダウン」も混ぜながら心境を語ってくれました。
 野球日本代表初の日系人(父がアメリカ人、母が日本人)の来日に栗山英樹監督は、「無理はしない方がいい」と冷静に語っていました。既にチームでは鈴木誠也選手が左脇腹の張りによって代表入りを辞退しており、これ以上の怪我人を出せば大会に大きな影響が出てきてしまいます。監督にとっても無理してほしくない状況なのでしょうね。

 さすがにこれだけでは短いので、ヌートバー選手の高校時代の話を少しさせていただきます。
 カリフォルニア州の4年制公立高校であるエル・セグンド高校に在籍していたヌートバー選手は、高校2年時から野球推薦によってスポーツの名門・カリフォルニア大学に進学することが確定していました。しかし、野球推薦を受けた選手でありながら高校3、4年時にはアメリカの国民的スポーツであるアメリカンフットボールのクォーターバックとして活躍してしまいます。この2年間でヌートバー選手はリーグのMVPに輝き、高校3年時にはチームを創設以来初の地区大会決勝にまで導いてしまいました。
 そうしてメディアからも「フットボーラー」として取り上げられたヌートバー選手に、なんと同じカリフォルニア大学からアメフトとしての推薦状が届いてしまいます。当時の状況についてヌートバー選手の母・久美子さんは

 「本人はすごく悩んだと思います。普通、野球の推薦にコミットしたら、他の競技には手を出さない、みたいな暗黙の了解がある。でも、ラーズは高校3、4年ですごくフットボールで活躍しちゃって……。ちょうど高校4年生になる夏かな、QBのキャンプがあって、それこそ何百人とか集まった中でMVPを取っちゃった。それでフットボールのオファーも届いたんです。同じ大学からね。野球のコーチは『ラーズはうちのものだから手を出すな』みたいな感じだったし……」
Yahoo!ニュース(Number Web)  3月2日 17:02配信の記事より一部抜粋

 と、当時の野球部とアメフト部のバチバチの争いを語ってくれました。どちらでもプロになれるほどの才能を持っていたヌートバー選手でしたが、大学に入ればどちらか1本に絞らなければなりません。特に、アメフトでのヌートバー選手のポジションは司令塔を果たす役職なので、なおさら掛け持ちすることはできません。
 両親に相談するなど、考えに考え抜いた結果、ヌートバー選手が選んだのは野球への道でした。ヌートバー選手が野球を選んだ理由の一つとして、ヌートバー選手の父・チャーリーさんは次のように話していました。

 「やっぱり、アメフトは怪我が……。高校でもラーズは肘や膝をやっていましたから。大学に行ったらもっと大変です。みんなもっと大きいし、ヒット(当たり)も強い。確かにQBとしての技術は高かった。今の各大学のQBを見ても、彼は絶対に通用したと思う。大学のコーチもそう言っていました。怪我がなければNFLにも行っていたと思うけど、将来を考えると、野球の方が長く続けられると思ったんじゃないかな」
Yahoo!ニュース(Number Web)  3月2日 17:02配信の記事より一部抜粋

 高校時代にアメフトで肘や膝を怪我していたヌートバー選手。アメフトはラグビーのように体当たりなどが多いスポーツなので、体には野球以上に負担がかかるはずです。なので、怪我のしにくさや将来性を鑑みた結果野球を選んだのではないかということです。
 本人に理由を聞いてみると、怪我だけで無くもう一つの理由がありました。

 「最終的に野球を選んだのは、私が野球一家で育ったからだと思う。自分の人生は野球に捧げられているのかな、って。野球の方がアメフトよりも長くやっていたし、何かがいつも自分に語りかけていたんだよ。『あなたには野球が合っている』と」
Yahoo!ニュース(Number Web)  3月2日 17:02配信の記事より一部抜粋

 というのも、ヌートバー選手の父・チャーリーさんは大学まで野球選手をしており、母・久美子さんも高校時代はソフトボールに打ち込んでいたそうです。久美子さんは幼きヌートバー選手に、王貞治氏の一本足打法を教え込んでいたそうです。そのため、今もヌートバー選手はメジャーでは珍しい、足を高くあげてタイミングを取るバッティングフォームをしています。

 このように、ヌートバー選手は野球をする道を選んだことで、今日野球日本代表に選ばれるご縁ができたのです。昨季も、メジャーでは主にライトに就いてアメフト上がりの強肩を唸らせていました。試合を観る時は、母から教わった一本足打法をチェックしてみるのもいいかもしれませんね。日本を愛する「榎田達治(日本名)」選手に筆者も胸が膨らむばかりです。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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