見出し画像

オープン戦を総括!各チームの長所と課題は?〜パリーグ編〜

 オープン戦が終わり、開幕まで残すところ2日となりました。今回は、パリーグの各球団の長所や課題についてオープンの順位ごとに書いていきます。

オープン戦1位タイ:ソフトバンク
(10勝5敗2分)

 パリーグの中でオープン戦1位に輝いたのはソフトバンク。

 試合数:17(6位タイ)
 打率:.248(3位)
得点:66(1位)
本塁打:18(1位)
 盗塁:14(4位)
 防御率:2.74(5位)
 失点:47(5位)
 失策:6(2位タイ)

 と、どの項目においてもトップクラスを維持しており、非常に強力なチームであることが数字の面からもわかります。

長所:破壊力

 やはり今年のソフトバンクには、他球団にない破壊力があります。打線では1番の周東佑京選手が足で塁をかき乱し、2番の今宮健太選手から7番のアダム・ウォーカー選手まで強打者揃い。下位打線にも牧原大成選手が控えているなど、足も力も技もある打線が完成しました。

 投手陣では圧倒的な球威と変化球を誇っていたリバン・モイネロ選手が先発転向。藤井皓哉選手が中継ぎ再転向で出力を取り戻すなど、投げる方でも力のある選手が並んでいます。

課題:救援力

 では逆に、負けた試合の要因はなんだったのか。試合結果を見ていくと、負けた試合の多くが中盤以降、投手が2番手以降に代わったタイミングでかなり点を失っています。
 特に、まだ経験の浅い若手投手の失点が多く、それに関しては少し勿体無い気がしますね。

 現在のソフトバンクの中継ぎ陣はモイネロ選手の先発転向により陣容が昨季とかなり代わっており、津森宥紀選手やロベルト・オスナ選手、松本裕樹選手ら昨季の一軍のレギュラーだけではまだ枠が空いてしまいます。
 そのため、今季獲得した即戦力ルーキーの一軍帯同、二軍で好成績を収めている若手投手の一軍昇格が必要になってくるのですが、ここがまだ突き詰められそうです。

 中盤以降さえしっかりと締められれば、序盤のうちに打線が相手先発を攻め立て、投打で圧倒できる試合が増えます。若手の中継ぎ投手には奮起を促したいところですね。

オープン戦4位:楽天
(9勝6敗2分)

 今江新監督の元、ドタバタしながらスタートした新生楽天でしたが、多くのファンの予想をいい意味で裏返し、4位でフィニッシュしました。

 試合数:17(6位タイ)
 打率:.247(4位)
 得点:54(5位タイ)
 本塁打:3(12位)
 盗塁:16(3位)
 防御率:2.34(3位)
 失点:42(1位タイ)
 失策:8(4位)

 守備走塁面では12球団で見てもトップクラスのものを持っており、堅実で時には思い切った攻撃をする野球でオープン戦を戦ってきました。

長所:走力

 一言で「走力」とだけまとめてしまいましたが、この「走力」には多くの意味が詰まっています。
 まずは単純な走力。今年は茂木栄五郎選手が復活の兆しを見せており、小深田大翔選手と共にオープン戦では俊足1、2番コンビを組むことも少なくありませんでした。他にも辰己涼介選手や、一軍に帯同しはじめた辰見鴻之介選手など純粋に足の速さで内野安打や先の塁を掴んでいました。

 そして、守備面での足の速さ。楽天の失点数は12球団で最も少ない42点でしたが、これは投手の力があるだけでなく、バックの守備がしっかりしているということ。
 今季から浅村栄斗選手がサードを守るようになったことで、小深田大翔選手がセカンドに固定。これだけでもだいぶ守備範囲が広がりましたが、ショートの村林一輝選手が期間中多くの好守備を披露。三遊間を抜けそうな打球をスライディングで止めており、かなり内野が堅実になりました。

課題:長打力

 一方で、足が速い選手や守備が上手い選手が増えた分、ホームランを含む長打がかなり少なくなってしまいました。
 よく言えばスモールベースボールなのですが、投手のレベルが軒並み上がっている今、打力が鍵を握るパリーグではもう少し長打が欲しいところです。

負けた試合ではヒットこそ出ているものの単打ばかりでなかなか得点に結び付かず、打力で押し負けている印象が強く、ここに関しては浅村選手や島内宏明選手、岡島豪郎選手らに期待したいですね。
 ただ、つなぎのバッティングで得点を奪えるようになれば話は別。長打がなくともヒットをコツコツと積み重ね、相手投手の集中力を削ぐような打撃ができれば現在の楽天には最適です。

オープン戦5位:オリックス
(8勝6敗1分)

 昨季のパリーグの覇者であるオリックスは勝ち越しで終了。山本由伸選手らを欠いた中順調に開幕まで来ています。

 試合数:15(10位)
 打率:.257(2位)
 得点:45(10位)
 本塁打:4(11位)
 盗塁:8(7位タイ)
 防御率:3.18(9位)
 失点:49(6位タイ)
 失策:9(5位タイ)

 試合数が少ないため本塁打など数字を積み重ねていくような項目の順位が低いのは当然ですが、失点に関してはもう少し減らしていきたいですね。

長所:投手と野手の連携

 オリックスは俗に言う「投手と打線が噛み合った野球」が得意であり、投手が失った点数に応じて少なすぎず多すぎない反撃をすることができています。
打撃は水物。反撃が足りず負けるのはもちろん良くないですが、打ちすぎると翌日の試合に響き全く打てなくなる、なんてことも珍しくありません。

 今年のオープン戦のオリックスのような、しっかりと勝ち切ることもできるけど、オーバーキルはしない程度の試合が1年を続けてできるようになれば楽に勝てるのでしょうが、なかなか難しいです。
 ただ、投手と野手の噛み合いに関しては12球団トップクラスであることは間違いありません。

課題:先発力

 一方で課題として残ったのはやはり先発投手問題。山本由伸選手が退団し、エースこそ宮城大弥選手がいますが、しっかりとローテを1年間守れる先発がまだ6枚集まっていません。
山下舜平太選手東晃平選手ら若手の勢いのある投手はいるのですが、彼らが離脱した時の中堅投手がいてほしいですね。

 田嶋大樹選手くらいの年齢層の先発投手がもっと出てきてほしいのですが、この枠は現役ドラフトで入団した鈴木博志選手や、覚醒を期す村西良太選手に託したいです。
 若手の多いチームは見ていて気持ちがいいですが、やはり経験のある投手がいざとなった時には必要です。自身の体験を伝えるなど試合以外でも大切ことはあるため、先ほど挙げた選手たちは一軍に上がってきてほしいですね。

オープン戦6位:日本ハム
(7勝6敗5分)

 新庄政権3年目の日本ハムはオープン戦を勝ち越しでフィニッシュ。

 試合数:18(3位タイ)
 打率:.241(5位)
 得点:60(3位)
 本塁打:6(6位タイ)
 盗塁:18(2位)
 防御率:3.26(10位)
 失点:64(11位)
 失策:14(10位)

 盗塁数や得点数で12球団トップレベルの数字を残しており、今年こそは6位脱出を達成したいところです。

長所:流動性

 今季の日本ハムは打線の流動性に優れています。というのも、オープン戦では日本ハムは得点したイニングの多くが複数得点を記録していたのです。
 複数得点が入るということはつまりチャンスを作るまでも、チャンスを作ってからも打線が繋がっているということです。

 連続安打や四球でチャンスを作り出し、二者連続タイムリーで2点を追加、なんていうシチュエーションが今季オープン戦の日本ハムには多くありました。
 前の打者に自分も続こうという気概が感じられる日本ハムの打線今季12球団でも屈指のものになるかもしれません。

課題:控え層の薄さ

 ただ、シーズンを通して戦う上で日本ハムの課題となってくるのは控え層の薄さ。スタメンこそ素晴らしい選手はたくさんいるのですが、大事な局面での代打試合終盤での守備固めなど、大事な部分が抜け落ちています。
 新庄監督就任1年目から日本ハムは若い選手を積極的に起用し、万波中正選手や田中正義選手などの覚醒の一助となってきましたが、その分出場機会を失った多くの中堅選手、ベテラン選手が二軍でのプレーを余儀なくされました。

 2016年の優勝を一軍戦力として知るメンバーは投手では加藤貴之選手と宮西尚生選手、野手でも中島卓也選手と淺間大基選手くらいです。
 これらの選手が一軍の試合で後半からでもいいからチームを支えられるようなチームになれば、昨季や2年前よりももっと安定して勝てるようになるかもしれません。そのためにはこの4選手に期待したいですね。

オープン戦8位:西武
(6勝6敗1分)

 昨季の5位からの順位上昇を目指す西武は勝率5割でオープン戦を終えました。

 試合数:13(12位)
 打率:.224(9位)
 得点:33(11位タイ)
 本塁打:6(6位タイ)
 盗塁:6(11位タイ)
 防御率:3.08(8位)
 失点:42(1位タイ)
 失策:10(7位タイ)

 サンプル数が少ないためこういう類の成績表示はあまり当てになりませんが、負け越しなしでオープン戦を終えることができたのは西武にとって大きいんじゃないかなと思います。

長所:投手力

 数年前までは"山賊打線"とも呼ばれた打力で栄華を誇った西武ですが、たび重なる打者のFA宣言によりチーム全体が投手力と走力に特徴を持つようになってきました。
 中でも、髙橋光成選手らを擁する生え抜きの先発陣は圧巻です。今井達也選手や平良海馬選手などパワー型の投手がいれば、隅田知一郎選手のような技術型、與座海人選手などの変則型もローテに名を連ねます。

 そして、今季はドラ1で本格派の武内夏暉選手が入団。すでに開幕ローテ入りは当確となっており、1年目からどれだけの成績を残してくれるか楽しみです。
 中継ぎにも甲斐野央選手やジェフリー・ヤン選手など計算できそうな新戦力が多数。投げ勝つ野球を展開したいですね。

課題:外野手の攻撃力

 いくら投手力が良いと言っても、野球は多く点を入れた方が勝つスポーツ。一定の打力は必要になってきます。しかし、現在の西武において特に外野手の攻撃力が足りない感じが否めません。
 補強として新外国人のフランチー・コルデロ選手をレフトで使ってはいますが、守備の不安定さからシーズン途中からは指名打者での起用も考えられます。

 現在の西武の外野陣はF.コルデロ選手の他に復活の予感を漂わせる金子侑司選手、俊足強肩が魅力の若林楽人選手がスタメンに入っていますが、金子選手はオープン戦打率.360ながらF.コルデロ選手、若林楽選手は共に1割9分台と打力不足が顕著に表れています。
 外野手は守備と共に打力も求められるポジションなので奮起してほしいですね。

オープン戦11位:ロッテ
(2勝9敗3分)

 オープン戦中は阪神の連敗具合がかなり話題となっていましたが、ロッテも2勝で終了。

 試合数:14(11位)
 打率:.212(11位)
 得点:33(11位タイ)
 本塁打:5(9位タイ)
 盗塁:9(6位)
 防御率:3.60(11位)
 失点:53(9位)
 失策:6(2位タイ)

 目立って良かった項目はあまりありませんでしたが、その中でも失策は12球団中2番目の少なさと鉄壁さを見せつけました。

長所:バランス力

 ロッテはオープン戦から持ち前のバランス力を発揮していました。
 すごく曖昧な言葉なので言い表すのが難しいですが、"総合力"とは違い、様々な要素がバランスよく備わっているのがロッテなのです。

 上位打線には俊足を誇る荻野貴司選手らがスタンバイ。オープン戦では打撃で苦戦していたものの、守備で大きくチームに貢献していました。
 さらに、クリーンナップには今季からネフタリ・ソト選手が加わり、強打の中軸を形成します。下位打線にも守備と強打が魅力な中村奨吾選手や類稀なる足を持つ和田康士朗選手などがおり、走攻守でバランスの取れたスタメンになっています。

 投手でも小島和哉選手をはじめとする表ローテ3人がしっかりと先発の柱となっており、中継ぎに関しても直球自慢の投手や変化球を得意にする投手がいて、レーダーチャートを作るならロッテが最も綺麗な図形になると筆者は思っています。

課題:流動性

 では、なぜロッテはオープン戦でなかなか勝てなかったのか。それは打線の流動性の無さです。オープン戦で敗戦した試合の経過を見ていくと、ヒットは出てはいるものの、次打者からなかなか続いていきません。俗にいう打線の「線」が「点」になっている、というやつです。

 打率も12球団11位と低いのですが、それ以上に打線が繋がっていないことが得点不足に起因していると思われます。
 1点しか入っていない試合でも5安打以上出ているケースはよくあるようなので、打線を組み替えるなどとにかく「打線」として1本に繋がるようにしたいですね。

まとめ

 今回はパリーグのオープン戦を総括しました。いよいよ開幕まで残り2日、野球ファンのボルテージは各地でどんどん高まっているようです。
 筆者も本当の"春の訪れ"を待ちつつ、記事を書いていきます。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

出典・画像引用元

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?