水温
私は何者でもない
「何者」にすらなれなかった
何でもない日だった
あの日と同じ場所を流れたとき
私はあなたを思い出した
前に会ったときとは
何もかもが違う私
不思議とあなたは
私が「私」だとわかる
それは奇跡でも偶然でもない
紛れもなく絶対的な愛だと
涙を流す私に気づくのは
私の温度を知っているひとだけ
あなたが私を
私が私であることを
私が私でいてもいいことを
永遠に赦した
安堵の涙だった
私は何者でもない
私は「私」だ
あなたの中に私が存在する限り
永遠に──
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